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株式会社セブン&アイ・ホールディングスおよびその連結子会社(以下「当社グループ」)は、2024年10月に「セブン&アイ・ホールディングス自然資本に関する方針」を策定し、国内外の多様なステークホルダーと連携しながら、バリューチェーン全体を通じてネイチャーポジティブの実現に貢献することを明確にしました。また、2022年4月には「セブン&アイ・ホールディングス持続可能な調達原則・方針」を改定し、人権の尊重、コンプライアンスの徹底、環境および生物多様性の保全、さらには生産地までのトレーサビリティ確保といった重要な要素を盛り込みました。これらの取り組みは、当社グループが掲げる環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の目標達成を通して、自然共生社会の実現を目指すものです。なお、「GREEN CHALLENGE 2050」では、持続可能な調達に関する具体的な目標として、2030年までにオリジナル商品(セブンプレミアムを含む)に使用する食品原材料の50%を、2050年までに100%を持続可能性が保証された原材料に切り替えることを掲げています。
当社グループでは、豊かな海の恵みを未来世代に引き継ぐためにMSC※をはじめとした持続可能性が担保された商品の販売に取り組んでいます。また、生産者とお客様をつなぐ小売業の責任として、持続可能性が担保された商品の価値や生産者の想いを店頭・ウェブサイトなどを通じて、お客様にお伝えすることにも力を入れています。
MSC:Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)
「持続可能で環境に配慮した漁業」の認証制度を運営・管理する団体
MSC(海洋管理協議会)のウェブサイトはこちら2018年10月から、当社グループのプライベートブランド「セブンプレミアム」の水産食品において、MSC認証の商品をグループ各店舗で販売しています。これらは水産資源や海洋環境に配慮した漁業で獲られた天然水産物で、その加工・流通の過程でも管理体制に関する認証を取得した企業で生産された 商品です。 2022年10月には、セブン&アイ・ホールディングスが、自然環境に配慮した漁業で獲られたMSC 認証水産物の流通管理に関する認証である『CoC認証』を取得しました。これにより、グループのスーパーストア(イトーヨーカドー、ヨークベニマル)の店内で加工したMSC認証水産物についても認証商品として販売することが可能になりました。
セブンプレミアムの水産商品に占めるMSC認証商品の割合
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
|
8.2% |
8.1% |
9.2% |
15.0% |
MSC認証の水産商品
MSC「海のエコラベル認証」ラベル MSC-C-59602
イトーヨーカ堂、ヨークベニマルの鮮魚売場では、環境と社会に配慮した責任ある養殖業に与えられるASC認証※を取得した商品を販売しています。 2022年10月には、セブン&アイ・ホールディングスが、ASC認証の自然環境に配慮した認証水産物の流通管理に関する認証規格の『CoC認証』を取得しました。これにより、グループのスーパーマーケット(イトーヨーカ堂、ヨークベニマル)の店内で加工したASC水産物についても認証商品として販売することが可能になりました。
ASC: Aquaculture Stewardship Council
養殖に関する国際認証制度を運営・管理する機関
ASCのウェブサイトはこちらセブンプレミアムの水産商品に占めるASC認証商品の割合
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
|
3.7% |
3.0% |
15.7% |
5.0% |
ASC認証を取得した水産食品
ASC認証ラベル ASC-C-03754
イトーヨーカ堂は、日本の大手小売業として初めて、環境に配慮し漁獲・養殖された水産物の認証制度である「MEL 認証」を取得しました。2020年4月からオリジナル商品『顔が見えるお魚。』のぶり、かんぱち、真鯛、平目の合計4魚種に「MELマーク」を付与。さらに、わかめと銀鮭で認証を取得し、2025年2月末現在、合計14魚種の認証商品を全国190店舗で販売しています。 また、お客様に認証商品の価値をお伝えするために、鮮魚売場では、各認証について説明するPOPを取り付けています。
MEL:マリン・エコラベル・ジャパン
水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベル
MELのウェブサイトはこちら
MEL認証を取得した水産食品
MELマーク
水産認証の説明POP
当社グループの各店舗では、環境に配慮した漁業を実践する「アラスカシーフード」を積極的に販売し、お客様に商品の特長やその商品価値をお伝えしています。「アラスカシーフード」は、すべて天然の水産品で、産地のアラスカ州ではこの天然水産資源が育まれる生態系を損なうことのないよう資源管理・漁業管理などを徹底しています。
2024年度は、イトーヨーカ堂の食品売場で、アラスカシーフードの塩紅鮭、銀鱈を販売しました。また、2022年11月からセブン‐イレブンで販売している手巻きおにぎりの具材である「紅しゃけ」と「辛子明太子」の原材料にアラスカシーフードを使用し、包材にロゴマークを表示しています。
アラスカシーフードを使用した手巻きおにぎり
アラスカシーフードのマーク
当社グループは、持続可能性が担保された農産物の調達を推進するために、安全な農場運営や適性管理のためのGAP(Good Agricultural Practice)認証の取得を進めているほか、農薬の使用を低減したもの、オーガニック、フェアトレードなど認証された原材料を調達しています。
イトーヨーカ堂のオリジナル商品「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」と、イトーヨーカ堂による環境循環型農業「セブンファーム」では、農産物の安全性確保、農場の適正な経営などを目指し、GAP(Good Agricultural Practice)認証取得を推奨しています。
GAPとは、農林水産省が導入を推奨している農業生産工程管理手法の一つで、安全性向上や環境保全を図るために、日々の農場管理の中で実践すべき基準が定められています。GAPの中には「食品安全」と「環境保全」に関する取り組みがあるため、農薬の使用は必要最低限に抑えています。
イトーヨーカ堂とヨークベニマルは、農薬の使用を法律基準値よりも低減させたオリジナル商品を販売しています。例えば、イトーヨーカ堂では減農薬で栽培され、生産地と生産履歴が担保されたオリジナル商品「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」を販売しています。これらの商品を含め、イトーヨーカ堂における2024年度の「顔が見える」シリーズの食品全体の売上は約231億円でした。
また、農薬の使い方や使用回数は地域や作物によってさまざまですが、「顔が見える野菜。」などでは、それぞれの地域で通常使用されている回数(地方公共団体などの公的機関が各作物について定めている平均的な使用回数)の半分以下を目標としています。
GAP認証取得商品を拡大に向けて、グループの商品開発担当者のJGAP指導員資格取得促進を促進し、お取引先や生産者様との連携を進めています。
当社グループのJGAP指導員資格取得者数(人)
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|
|
指導員資格取得者数 |
62 |
139 |
100 |
77 |
※セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、デニーズジャパン、Peace Deli、セブン&アイ・ホールディングスの従業員
※JGAP青果と畜産の総計
イトーヨーカ堂「顔が見える食品。」売上金額
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
売上金額※(億円) |
228 |
246 |
243 |
248 | 216 | 231 |
※概数
顔が見える野菜。
「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」5つの約束
GAPの取り組み(抜粋)
食品安全(食品の安全を保つためのルール作りを行い、実施する)
環境保全(農場および周辺の環境の安全を守るためのルール作りを行い、実施する)
当社グループのプライベートブランド「セブンプレミアム」では、たけのこなどの農産品やコーヒーなどの加工食品で有機JAS認証商品を販売しています。また、イトーヨーカ堂でも、オリジナル商品「顔が見える野菜。」で有機JAS認証を取得した商品を販売しています。
大豆は、健康志向や大豆ミートの開発などで需要が高まっている一方で、農地拡大のための森林破壊や生態系の破壊、農薬による土壌汚染、農園で働く生産者の人権の問題など多くの課題を抱え、欧州森林破壊防止規則(EUDR)の対象にもなっています。また、当社グループで実施したTNFDフレームワークに基づく分析においても、自然への依存・影響が大きく、グループにおける調達量も多いことから、コーヒー豆・米と並ぶ重要原材料として特定しました。
当社グループでは、2023年からグループのオリジナル商品セブンプレミアムの「TOFU BAR」シリーズで、アメリカ大豆輸出協会(USSEC)の「SSAP(サステナビリティ認証プロトコル)認証」原材料の使用を開始しました。SSAP認証は、生産者までのトレーサビリティの確認はもとより、環境保全、生物多様性保全、労働者の人権への配慮などの視点から基準が設けられています。
2025年度は、商品部がUSSECの協力を経て直接生産地へ訪問し、生産者と対話を行い、肥料削減や節水、不耕起栽培といった低環境負荷の農法を現地で学ぶ機会(サプライヤーエンゲージメント)を計画しています。
SSAP認証の大豆を使用したTOFU BAR
SSAP認証マーク
SSAP認証の4つの基準
1.生物多様性及び炭素貯蔵量の多い生産に関わる管理方法と規制
1.1 土地利用、影響を受けやすい生息地および生物多様性
2.生産活動に関わる管理方法と規制
2.1 土壌の健康状態と生産性
2.2 作物の健康状態と農業の最良の管理手法
2.3 廃棄物と汚染
2.4 温室効果ガス排出、化石燃料の使用および大気の質
3.一般市民及び労働者の健康と福祉に関わる管理方法と規制
3.1 水質と水量
3.2 植物保護と養分管理
3.3 労働条件と労使関係
3.4 労働者と一般市民の安全
3.5 地域社会との関係
4.生産活動及び環境保護の継続的な改善に関わる管理方法と規制
4.1 継続的改善
当社グループのプライベートブランド「セブンプレミアム」では、開発途上国の生産者の持続可能性と生活を支える仕組み「国際フェアトレード認証」カカオを使用した商品を販売しています。
また、サプライチェーン上での人権・児童労働に関する課題や、森林破壊や土地転換などの課題解決にむけて、カカオ原材料に関わる様々なステークホルダーの方々と連携・協力していくため、2024年1月、独立行政法人国際協力機構(JICA)が事務局を務めるサステイナブルカカオプラットフォームへ加盟しました。
国際フェアトレード認証のカカオを使用したチョコレート
サステイナブル・カカオ・プラットフォームのマーク
当社グループでは、コンビニエンスストア事業のカウンターコーヒーから、セブンプレミアムのコーヒー関連商品まで、幅広い商品カテゴリーでコーヒー豆を使用しています。一方で、コーヒー豆は大豆やパーム油と同様に欧州森林破壊防止規則(EUDR)において、森林破壊や土地利用転換に伴う森林減少リスクが大きい「森林リスク・コモディティ」とされています。そのため、当社グループでは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言にそって、スコーピングで14の重要原材料を選定、自然への依存・影響の評価を行い、コーヒー豆の調達に関してLEAPアプローチ分析を実施し、結果を開示しています。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づくLEAPアプローチ分析についてはこちら
※なお、TNFDに関しては、コーヒー豆とともに重要な原材料として選定した「大豆」についても、今後、自然への影響を低減するための取り組みを実施していくとともに、「食」を中心とする事業を展開するグループとして、「畜産物」 「水産物」についても評価を拡張していく予定です。
パーム油は、さまざまな加工食品をはじめ、洗剤などの住居関連商品にも広く利用されていますが、生産国での自然環境破壊や農園での児童労働・強制労働などの問題も指摘されています。当社グループは、2020年1月に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil)に加盟しました。当社グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」の一部の商品では、持続可能性が担保されたパーム油を使用しています。
当社グループのRSPO認証のパーム油調達に関する年次報告はRSPO公式HPからご確認いただけます。
当社グループは、お客様の安全・安心、環境に配慮した商品への関心の高まりを受け、持続可能な調達の取り組みの一環として、肌着やタオルなどで使用するオーガニックコットンの調達を進めています。2020年2月から、オーガニックコットンの価値をわかりやすくお客様に伝えるために、オーガニック繊維を認証する国際認証「オーガニックコンテント基準(OCS)」、またはオーガニック繊維製品を認証する国際認証「オーガニックテキスタイル世界基準(GOTS)」を取得した商品に、共通のアイコンを順次取り付けて販売しています。
オーガニックコットンのアイコン
当社グループのプライベートブランド「セブンプレミアム」では、厳しい有機製造基準をクリアした靴下や女性用肌着「オーガニックコットン100%インナー」を全国のイトーヨーカドー約80店舗(2025年2月末現在)とネット通販サイトで販売しています。この商品には「アメリカ有機繊維基準(OCS)」の認証を取得したオーガニックコットンのみを使用しています。 そのほか、オーガニックコットンを使用したタオルも販売しています。
「セブンプレミアムライフスタイル」オーガニックコットン 100%インナー
動物の育てられた環境に関心を持つお客様が増えています。「セブンプレミアムフレッシュ」において、鶏の育てられる環境にも配慮し、自由に動き回れる平飼いの環境で育った鶏から取れた平飼いたまごを、プライベートブランド商品として販売しています(2025年2月末時点、スーパーストア全店およびセブン‐イレブンの一部店舗で販売)。
セブンプレミアムフレッシュ 「昔ながらの平飼いたまご」
セブン‐イレブン・ジャパンのオリジナル商品「ななチキ」「揚げ鶏」に使用される鶏は、自由に動き回れる広い養鶏場で、温度・湿度が適切に管理された快適な環境で育てられています。ストレスが少ない健康的な飼育環境によって病気にかかるリスクも抑制され、おいしさだけでなく、食の安全・安心を実現しています。
<取り組み内容>
・広い敷地で自由に動き回れることができ、太陽光や外気を取り入れた快適で自然に近い環境で飼育
・自由に飲食できる空間、ストレス発散できる遊び道具など、鶏本来の行動ができる環境で飼育
・一羽ずつ体調を管理し、ケガの有無などを確認
・養鶏場への人・車の入場を厳しく管理し、入場時は疫病対策を実施