セブン&アイグループは、社是に掲げる「信頼と誠実」の精神のもと、お客様、お取引先様、株主様、地域社会、従業員などあらゆるステークホルダーの人権を何よりも優先されるべき重要な権利と考えます。私たちはすべての活動に関わる人の人権を尊重するとともに、社会的身分・国籍・人種・民族・信条・宗教・年齢・性別・性的指向・性自認・心身の障がいの有無などによる不当な差別やいやがらせを許容せず、人権が尊重される社会の実現を目指します。
私たちは、すべての人の人権を理解し、人権尊重の責任を果たすため、人権に関する国際的な原則、基準※を踏まえて2021年10月7日に「セブン&アイグループ人権方針」を定めました。本方針はすべての役員、従業員に適用され、すべてのビジネスパートナーに対しても本方針の支持を継続して働きかけ、協働して人権の尊重に取り組んでまいります
私たちは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく手順に従って人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への悪影響を防止または軽減することに努めます。本方針の推進、および人権デュー・ディリジェンスの実施にあたってはグループ横断組織を設置し、取締役会の監督のもと人権尊重の取り組みを進めます。
人権侵害の未然防止と人権侵害を受けた方が救済へアクセスするため、内部通報制度を含めたグリーバンスメカニズムを適切に運用します。私たちは自社およびビジネスパートナーの人権侵害を容認または黙認せず、人権が尊重されていないという通報や申し立てを受けた場合は適切に調査を行い、是正に向けた取り組みや働きかけを行います。
私たちの人権尊重への取り組み、活動内容については、すべてのステークホルダーの皆様に随時情報開示を行い、透明性を確保するとともに人権が尊重される持続可能な社会を目指し、責任ある行動に努めてまいります。
2023年4月14日
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
代表取締役 専務執行役員 最高サステナビリティ責任者
伊藤 順朗
セブン&アイグループ※1(以下「私たち」)は、社是※2に掲げる「信頼と誠実」の精神のもと、お客様、お取引先、株主、地域社会、従業員などあらゆるステークホルダーの皆様に支えられ、身近な暮らしと社会の発展に資する事業活動に取り組んでいます。私たちのあらゆる事業活動の礎は人と社会にあります。私たちはすべての人の人権を理解し、人権尊重の責任を果たすため、2021年10月に「セブン&アイグループ人権方針」を定めました。
この方針は、社是とともにセブン&アイグループすべての事業活動の基盤です。また、私たちは人権尊重が未来世代と共有すべき地球環境の保全と不可分一体であるととらえ、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」とともに本方針の実践を通じて、ステークホルダーの皆様と協働し、人権が尊重される持続可能な社会を共創します。
セブン&アイHLDGS.は、人権方針をグループで推進するためのグループ横断組織として、「人権推進プロジェクト」を発足し、継続的な取り組みを実施しています。このプロジェクトには、CSR統括委員会傘下の4部会(企業行動部会・サプライチェーン部会・コンプライアンス部会・環境部会)の各部会長や人権啓発やノーマライゼーションに関わる業務を統括した専門部署として常設された人権啓発センターのセンター長などが参加し、事業特有の人権問題の特定、予防是正対応、定期的なモニタリング、情報開示など、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを推進しています。取り組みの計画立案や実施進捗状況の確認は、人権推進プロジェクトの会議において実施しています。
企業行動部会では、定期的に人権啓発に関する取り組みの進捗状況を共有し、グループ各社の従業員一人ひとりが人権を正しく理解・認識し、差別や偏見のない企業風土・文化の醸成に向けた活動を推進しています。サプライチェーン部会では、お取引先様にグループの人権への考え方をご理解いただき、継続的な取り組みの実行をお願いしています。コンプライアンス部会では、従業員のお取引先様に対する人権を尊重した言動の実践を推進しています。環境部会では、持続可能な調達原則・方針に基づき、人権を尊重した調達活動を推進しています。
また、人権啓発センターでは、グループ各社の人事部門やCSR推進部門と連携し、さまざまな啓発・教育活動を行っています。
これらの人権に関する取り組みは、年2回開催されるCSR統括委員会において報告・共有しています。
セブン&アイグループは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」および「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づく手順に従って人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への悪影響に対する予防、是正措置の実施、また軽減に努めます。
グループの事業活動が人権侵害を引き起こしている、あるいは、それを助長していることが明らかになった場合は、その是正・救済を行います。また、グループの事業活動が引き起こした、あるいは、助長したものでなくても、取引関係によってグループの商品・サービスが人権侵害に直接関与している場合は、是正への働きかけを行います。
セブン&アイグループは、グループの事業活動が人権に影響を及ぼす可能性のあることを認識し、人や社会に対する負の影響の原因を特定し、その影響の軽減・是正に努めています。
当社グループは2022年に、グループおよびお取引先様の事業が人権に及ぼす潜在的な負の影響評価を実施し、自社およびサプライチェーンに対するヒアリング、調査を行い、人権課題を特定しました。当該特定された人権課題については、国際機関などが公表している人権リスク指標に基づき、深刻度と発生可能性を算出、マッピングすることで人権リスクを評価し、リスクの軽減を図っています。当該人権課題の特定は、外部の専門家の支援・助言を得ながら実施しています。
※それぞれの人権課題に対し、「発生可能性」と「深刻度」を算出し、マッピングを実施した
※各国における人権課題の発生可能性を算出するにあたり、BHRRCやESG Data Model などの国際機関が公表している指標を使用した
※深刻度については、規模・範囲・救済困難度からスコアを算出した
セブン&アイグループは、重点的に発生の防止と対応に取り組んでいく人権リスク(および国・地域)を特定し、当該特定された優先順位の高い人権リスクに対して、グループ内において是正措置を実施するとともに、予防に向けた教育や研修などの活動を実施しています。また、サプライチェーンにおける人権リスクに対しては、関連するステークホルダーとの対話と協議、指針の周知を継続的に行い、人権尊重の取り組みの向上と改善に努め、リスクが顕在化した際には、その是正を行っています。
セブン&アイグループは、お客様、お取引先様、株主様、地域社会、従業員などのあらゆるステークホルダーに対して、人権を尊重し、あらゆる差別・偏見に気づき、差別をしない・させない・許さない、企業風土作りを目指し、さまざまな啓発活動と従業員教育を行っています。
1987年から、東京に本社を置く企業を中心に122社(2024 年 7月現在)で組織されている「東京人権啓発企業連絡会」(加盟当時名称「東京同和問題企業連絡会」)に入会し、毎月の会議へ参加することで、会員企業各社と相互研鑽しながら人権教育・啓発体制のさらなる充実を図っています。また、「国民生活産業・消費者団体連合会」が定める「外国人の受入れに関する基本指針」に賛同しています。
セブン&アイグループは、管理職からパートタイマー・アルバイトまで含む従業員に向け、基本的な人権の考え方を伝える研修や、ハラスメント防止を目的とした研修など、人権尊重のためにさまざまな啓発教育を行っています。
2023年度は、全従業員を対象に人権に関するe-ラーニングを実施し、グループ内の人権尊重の意識を高めています。また、グループ各社の教育を一層後押しするために、人権啓発ハンドブック「学ぶことから始まるみんなの人権」や「ノーマライゼーションサポートガイド」を活用し、従業員の理解促進を図っています。
※2023年度人権e-ラーニング実施実績 22社 約40,000名
例えば、イトーヨーカ堂では入社時をはじめ、新店・地方店赴任時や、役職に合わせた教育内容で階層別に人権啓発研修を実施しています。研修内容は、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどについての具体的な事例や最新の動向・話題を採り入れながら、人権問題が身近なもので日常生活の中にあることへ意識を向け、日々の行動に結びつけられるものとしています。そのほか、セブン‐イレブン・ジャパンやセブン&アイ・クリエイトリンクなどでも、基本的な人権啓発研修を適時実施しています。
※2023年度人権啓発研修実施実績 5社 約500名受講
※2022年度ハラスメントe-ラーニング実施実績 16社 約11,000名受講
セブン&アイHLDGS. は、サプライチェーン上の人権リスクなどの低減・緩和のため、お取引先様およびグループ各社の商品開発・仕入担当者に向けた、コンプライアンス研修も行っています。2023年度は、お取引先様および従業員向けコンプライアンスオンライン研修を社内外で実施し、約6,100人が受講しました。
セブン&アイグループは、グループ内の人権リスクを低減するために、さまざまな社内環境・制度の整備を実施しています。働きやすい職場環境づくりに向け、ノーマライゼーション・労働安全衛生の向上・ダイバーシティへの取り組みを積極的に実施し、従業員がやりがいを感じ、働きやすい職場環境づくりを目指しています。
セブン&アイグループは、人権が尊重される企業風土を創るために、役員とパートタイマー・アルバイトを含む全従業員とそのご家族を対象に、人権啓発標語を毎年グループ内で募集しています。人権標語を考える過程において、従業員一人ひとりが「人権」と向き合う機会を作ることにより、人権に対する意識の向上を図っています。応募作品の中から選考した優秀作品については、社内報や社内ポータルサイトなどを通じて従業員へ発表し、表彰しています。33回目となる2023年度の応募作品数は12,914点と、例年同様、多数の応募となり、日常生活の中で感じたことからより広い視野に立って考えたものまで、人権課題について改めて考えることの重要性を提起した作品が揃う結果となりました。
セブン&アイグループは、人権の尊重と保護を何よりも優先し、サプライチェーンのお取引先様に「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」のご理解と実行をお願いしています。
プライベートブランド商品の製造を委託しているお取引先様のうち、CSRリスクが高いと思われる中国・東南アジア地域について、「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」とCSR監査に関する説明会をライブ配信とオンデマンド配信のみで実施しています。2023年度は416社、618人のお取引先様がライブ配信に参加されました。
セブン&アイグループの企業活動が与える、人権への負の影響を特定し、継続的な改善を進めるために、グループ内およびサプライチェーンに対し、モニタリングを実施し、社内外の情報を収集しています。
セブン&アイグループは、セブン&アイHLDGS. およびグループ各社の従業員を対象に従業員エンゲージメント調査を実施しています。質問の中には、多様性の尊重や、職場で従業員の問題のある言動を見聞きしたことがないかどうか、などを問う質問を含めており、企業行動指針で定めている人権の尊重の遵守状況を確認しています。2023年度の調査では、国内グループ26社、約67,000名の従業員を対象に調査を実施しました。
セブン&アイグループは、お取引先様に「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」をご理解いただき、この指針の遵守に必要な具体的事項を明記したお取引先様向けの「セルフチェックシート」を運用しています。「セルフチェックシート」の項目には、工場で働く人が相談できる窓口の有無、自社のお取引先様に本指針の遵守を求めているかといった、人権の尊重に関する内容を含む61の項目があり、回答内容はデータベース化して取引継続の判断材料にしています。
セブン&アイグループは、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」および海外でのグループプライベートブランド商品製造委託先の最終製造工場に対して、「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」への遵守状況を確認するCSR監査を実施しています。
CSR監査では、「ISO26000」「経団連企業行動憲章」「OECD多国籍企業行動指針」「ILO中核的労働基準」などを参考にして、セブン&アイHLDGS. が独自に作成した人権や労働環境などに関する監査項目(16の大項目と117のチェック項目)に沿って、外部の審査機関がお取引先様の工場を監査しています。2023年度は国内外13カ国の781工場に対してCSR監査を実施しました。
セブン&アイグループは、お取引先様に対する当社グループの従業員の言動が、社是や企業行動指針に則ったものであるのかを確認するため、お取引先様に無記名でご回答いただく「お取引先様アンケート」を実施しています。2023年度は、グループ各社合計で約12,000人のお取引先様にご回答いただきました。
セブン&アイHLDGS. は、人権尊重の取り組みについて、当社のウェブサイトや経営レポートなどのコミュニケーション手段を通じて、定期的に開示します。
セブン&アイグループは、社会からの信頼を失うような行為の防止と早期発見、早期是正、再発防止を目的に、日本国内の事業会社の従業員とのその家族、退職者を対象とした通報窓口「グループ共通従業員ヘルプライン」を設置し、人権問題が発生した際も利用できる体制を構築しています。また、国内グループ会社のお取引先様の役員、従業員、元従業員が相談・通報できる通報窓口「お取引先専用ヘルプライン」を設置しています。通報窓口は、当社が業務委託契約および機密保持契約を結んだ第三者の通報窓口を連絡先とし、通報・相談者のプライバシーを厳守しています。通報・相談があった場合は、必要に応じて相談者の同意を得た上で事実関係の確認および問題の解決を図ります。また、相談者本人および事実関係の確認に協力した方に対して、不利益な取扱いをしないことを通報窓口の運用ルールで定めています。
また、国内グループ会社の取締役、監査役、執行役員など、経営幹部の関与が疑われる社会からの信頼を失うような行為に関して、経営層から独立して通報を受け付け、調査対応を行うことを目的に、2019年2月より「監査役ホットライン」を運用しています。通報を受け付けた場合は、当社の監査役が連携して事実を確認し、違反行為を発見した場合は是正、再発防止に努めています。