セブン&アイ・ホールディングスは、企業行動指針に基づき、大規模災害発生などの不測の事態が発生した場合においても、その被害による事業への影響を最小限にとどめ、店舗営業やサービスの提供を継続することでお客様の生活に必須な商品を供給するという社会インフラとしての役割を果たすことができるように、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定しています。
事業継続への対応力を向上させるために、平時からの継続した取り組みとして、社員への教育、訓練による検証、計画の見直しなどの事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の活動を実施しています。
・人命最優先で行動し、お客様・社員・関係者などの安全確保
・事業会社の店舗の営業継続・早期営業再開
・地域社会への貢献
当社およびその連結子会社(以下、「当社グループ」)、および関連会社は、ステークホルダーの皆様の期待や社会からの要請に応えるため、一体となって事業継続マネジメントの活動に取り組んでいます。
(1) 事業継続計画の策定
当社グループは、想定するリスクに応じた事業継続計画を策定しています。
(2) 周知・教育
当社グループおよび関連会社では、事業継続について理解を深めるため、役員を含む関係者を対象とした事業継続計画の読み合わせ、災害発生直後に求められる行動を身に付けるための災害模擬演習などの教育を積極的に行っています。
また当社では、独自の防災カードの配布、eラーニングなどを通じて、社員とその家族に対して被災することを想定して事前準備をするように促しています。
事業継続計画の読み合わせ
災害模擬演習
セブン&アイ・ホールディングス 防災カード(社員用)
セブン&アイ・ホールディングス 防災カード(社員家族用)
セブン&アイ・ホールディングス 防災カード(子ども用)
eラーニング画面「自助」
eラーニング画面「家族の安否確認と避難場所」
eラーニング画面「災害備蓄」
(3) 訓練・演習による検証
当社グループでは、災害の発生を想定したさまざまな訓練・演習などを実施し、策定した事業継続計画の実効性について検証を行っています。また、外部の訓練にも積極的に参加しています。
訓練・演習の実施状況 | |
2024年度 |
9回 |
2025年度上期 |
3回 |
備蓄品試食訓練(2024年9月2日)
図上演習(2025年8月1日)
(4) 見直し
当社では、社内において防災に係る会議を定期的に開催し、災害対応についての見直しを継続的に行っています。また、当社が主催し、当社グループおよび関連会社の防災部門の担当者が集まる会議も定期的に実施し、課題や改善策を共有しています。
会議の実施状況 | |
2024年度 |
9回 |
2025年度上期 |
7回 |
HD大規模災害対策会議(2024年9月26日)
災害対策グループ情報交換会(2025年4月24日)
当社グループおよび関連会社では、以下の3点を事業継続マネジメントにおける重点項目として各項目への対策を強化しています。
自然災害などの大規模災害が発生した際にもお客様の生活に必要な商品を供給するために、店舗・物流網を活用した取り組みを行っています。また、災害発生直後のみならず、中長期にわたって被災地の復旧・復興にも取り組んでいます。
●指定公共機関としての役割
2017年7月に、セブン&アイ・ホールディングス、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂の3社は「災害対策基本法」に基づく指定公共機関に指定されました。全国のグループ各社物流網を活かした、迅速な支援物資の調達と供給が期待されています。
物資の緊急輸送に使用するトラックなどの車両を「緊急通行車両」として事前登録し、被災された方々に対して迅速に支援物資をお届けすることができるようになりました。また、中央防災無線網へのアクセスが可能になり、被災や対応の状況をいち早く把握することができるようになりました。
救援物資配送トラック
●災害対応の実績
2024年1月能登半島地震への対応 | |
1月1日 16時10分 |
令和6年能登半島地震(M7.6)発生 |
1月2日 |
当社グループおよび関連会社にて、募金活動を開始 |
1月3日 |
水2L 100ケースを七尾市役所、氷見市役所へ提供 |
1月4日 |
ペストリー5,500食を石川県へ提供 |
1月4日 |
カップラーメンや缶詰などの食料を加賀市の姉妹都市である福島県白河市へ提供 |
1月5日 |
カップラーメン3万食を石川県へ提供 |
1月5日 |
水500ml 2万本を石川県へ提供 |
1月7日 |
マスク36万枚を石川県へ提供 |
1月7日~1月19日 |
パン、菓子類などの食料500食を七尾市田鶴浜地区などへ毎日提供 |
1月8日 |
缶詰3万食を石川県へ提供 |
1月11日 |
使い捨て哺乳瓶960本、おしりふき28万枚を石川県へ提供 |
1月11日~1月19日 |
ひじき煮やサラダなどを七尾市へ毎日提供 |
1月12日 |
水2L 1,200本、カップラーメン600食を神奈川県消防へ提供 |
1月13日 |
食料、飲料、日用品などを東京消防庁へ提供 |
1月15日 |
おしりふきを石川県へ提供 |
1月18日 |
食料、飲料などを長野県消防へ提供 |
1月24日 |
日用品を石川県へ提供 |
2月19日 |
食料、肌着、日用品を石川県へ提供 |
令和6年能登半島地震における支援物資供給
●災害情報の提供・共有が出来る「セブンVIEW」
情報を集約するだけでなく、お取引先様などと協力して、災害情報の提供・共有ができるシステム「セブンVIEW」の構築に取り組んでいます。「セブンVIEW」は被災地の店舗・物流拠点の状態をクラウドマップ上に表示し、関係部門が状況を把握できるシステムです。
セブンVIEWの画面
「セブン&アイ・ホールディングスお取引先サステナブル行動指針」に基づき、すべてのお取引先様に災害や事故などの発生に備え、事業継続計画を策定し、情報セキュリティの確保に努めるよう、ご理解と遵守をお願いしています。当社では、お取引先の企業に対して、東京都中小企業振興公社と連携した事業継続計画の策定支援を行っています。
●お取引先の事業継続計画策定支援
商品供給を行うためには、サプライチェーンとの協力が必要不可欠です。当社では、お取引先様に対して、東京都中小企業振興公社の協力の下、事業継続計画の策定支援セミナーを開催しました。
当社グループおよび関連会社の廃棄物処理に係るお取引先様を対象に、事業継続計画の策定支援を行いました。また、当社の事業継続マネジメントの取り組みについても紹介しました。
2025年7月11日 事業継続計画策定支援セミナー
ご参加お取引先:有限会社板越商事、株式会社要興業、株式会社木下フレンド、 株式会社十河サービス、株式会社永野紙興、
株式会社日本協力、株式会社増渕商店、 有限会社山本商店(五十音順)
●燃料供給網の確保
緊急物資配送用の商品配送車両に使用する燃料を備蓄する基地を、国内小売業で初めて設置しました。埼玉県北葛飾郡杉戸町に設置したこの基地では、燃料400キロリットルを常時備蓄しています。災害発生時には、被災地域をはじめとする避難所や首都圏にあるグループ各店舗に最大10日間、緊急物資や商品を配送することが可能となりました。発災時に円滑に運営できるよう、当社主催で給油訓練を実施しました。
車両に使用する燃料を地下タンクに備蓄
杉戸燃料備蓄基地での給油訓練(2025年2月21日)
地域社会への貢献
「セブン&アイ・ホールディングス企業行動指針」に基づき、当社グループおよびその関連会社では、地域のインフラとしての役割を認識し、安全で安心な街づくりに貢献するために、平時から地域の皆様に対して防災に関する取り組みを行っています。
●災害時の地域救援活動と地域への啓発
当社グループ各社の店舗では、災害時においても地域のライフラインを守るため、安全が確保されていることを前提に、営業継続と早期の営業再開に努めています。本部も商品供給や人員の応援などで店舗をサポートし、現地と一体となり、社会インフラとしての役割を果たしています。
また、グループ各社は自治体などとの「災害時の物資支援協定」や「帰宅困難者支援協定」の締結を推進。災害時には自治体などからの要請に基づき支援物資を提供するとともに、帰宅困難者に対しては、水道水、トイレ、道路情報などを提供しています。加えて、当社グループの各店舗においては被災者を支援するために募金活動を実施しています。なお、イトーヨーカ堂の店舗では、災害対策コーナーの展開や地域防災活動への協力、防災イベントの開催など、平常時にも地域行政と連携してお客様の災害に対する意識啓発に取り組んでいます。
●災害時の各自治体との協力
セブン-イレブンでは、協定を結んでいる一部の都道府県で店舗を「災害時帰宅支援ステーション」として登録しています。大規模災害時に帰宅困難者に対して、可能な範囲で水道水、トイレ、災害にまつわる情報を提供しています。