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- 食品ロス・食品リサイクル対策
株式会社セブン&アイ・ホールディングスおよびその連結子会社(以下、「当社グループ」)は環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を策定し、食品ロス・食品リサイクル対策をテーマの1つに掲げ、重点的に取り組んでいます。「GREEN CHALLENGE 2050」では、食品廃棄物量(売上100万円あたりの発生量)を2013年度と比較して2030年までに50%削減、2050年までに75%削減すること、食品リサイクル率を2030年までに70%、2050年までに100%にすることを目標※としています。
社会課題である食品廃棄物を削減するためには、発生自体を抑制する取り組みが重要です。このテーマは、循環型社会形成推進基本法における基本原則でも第一優先として位置づけられており、当社グループも発生抑制を第一優先に取り組んでいます。また、発生してしまった食品廃棄物についてもリサイクルできるよう努めています。
食品廃棄物の発生量
| 年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
売上百万円当たりの 発生量(kg)※ |
22.35 |
21.01 |
20.28 |
19.83 |
17.68 |
16.88 |
※食品関連事業会社5社(セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、シェルガーデン、デニーズジャパン)
当社グループは、サプライチェーン全体を通じた食品廃棄物削減の取り組みを継続して実施しています。一例として、セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマルでは、商品の納品期限の緩和を実施しています。これまでは商習慣として、商品を製造日から賞味期限の「3分の1」が経過する前までに店舗へ納品する「3分の1ルール」で運用していましたが、2012年以降は、食品ロス削減の取り組みとして一部のカテゴリーの商品を対象に製造日から賞味期限の半分までに納品期限を緩和する「2分の1」に見直しました。2022年度には対象カテゴリーを拡大し、常温加工食品全体で実施しています。また、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」については、2019年度から賞味期限の表示を従来の「年月日」から「年月」への転換を開始しており、2023年度には全商品のおよそ7割まで拡大しました。
納品期限の緩和のイメージ図
当社グループは、食品廃棄物削減のために販売方法・商品などでさまざまな工夫を図っています。例えば、セブン‐イレブン・ジャパンは、消費者庁、農林水産省、環境省、日本フランチャイズチェーン協会と連携し、購入してすぐに食べる場合には手前の商品から選んでご購入いただく「てまえどり」を呼びかける取り組みを2021年6月からスタートしました。「てまえどり」とは、すぐに召し上がる予定で食品を購入されるお客様に対し、手前に置いてある商品から選んで購入していただくことを促すことで食品ロスの削減を目指そうという取り組みです。この活動は当社グループ各店舗にも広がっています。また、デニーズジャパンのデニーズでは、食べ切れるサイズの小盛のメニューや食べ残しのお持ち帰りを推進する「mottECO(モッテコ)」に取り組んでいます。
このように、第一優先である発生抑制を推進するとともに、それでも発生してしまった食品廃棄物のリサイクルを推進しています。一例として、店舗から廃棄される魚腸骨の飼料化や、惣菜調理後の揚げ油などの食廃油の100%リサイクルを実施しています。
セブン-イレブン・ジャパンは、工場の技術革新によって製造工程や温度、衛生管理を見直し、保存料の不使用などの「安全・安心の確保」と「味・品質の向上」とともに、「消費期限延長(長鮮度商品開発)」を実現しています。2009年のチルド弁当からスタートし、おにぎり、グラタン・ドリア、スパゲティ・パスタ、サンドイッチ、惣菜、ペストリーなどにも鮮度延長商品の拡充を実施して、2025年2月末現在、オリジナルデイリー商品に占める24時間以上の販売期限がある商品の比率は約87%となっています。
セブン‐イレブン・ジャパンは、「セブンカフェスムージー」を2017年に一部店舗で販売を開始しました。スムージーの原材料にブロッコリーの茎の部分や、大きさや見た目により規格外となってしまった果物も余すことなく活用することで、食品ロスの低減に貢献しています。
セブン-イレブン・ジャパンでは、閉店・改装時に余剰となった加工食品のフードバンク団体※への寄付を2017年から開始し、2018年度からは各地の社会福祉協議会および自治体と「商品寄贈による社会福祉貢献活動に関する協定」を締結し、同様の取り組みを開始しました。寄贈した商品は社会福祉協議会を通じて、高齢者、障がい者、子ども、生活困窮者などへ支援を行っている団体・施設に分配されています。2025年2月末現在の協定締結数は47となります。
セブン‐イレブン・ジャパンは、廃棄物の適正処理・リサイクルを推進する仕組みとして「エコ物流※」を1994年から推奨しています。この仕組みの中で、販売期限切れ商品の飼料・肥料などへの食品リサイクルに取り組んでいます。
イトーヨーカ堂は、2008年8月に食品リサイクル率の向上と地域農業の活性化を目的として、農業生産法人「セブンファーム富里」(千葉県富里市)を設立し、「環境循環型農業」を小売業で初めて開始しました。「環境循環型農業」とは、イトーヨーカ堂の店舗から排出される食品残さ(生ごみ)を堆肥化してセブンファームの農場で使用し、そこで栽培・収穫された農産物を食品残さが排出された店舗などで販売する取り組みです。
2025年2月末現在、セブンファームの取り組みは全国11カ所、200haで実施しています。また、セブンファームは農業生産工程管理手法のひとつであるJGAP認証(Japan Good Agricultural Practice) の取得を積極的に進めており、セブンファーム11カ所(2025年2月末)すべての農場でJGAP認証を取得しています。
セブンファーム
環境循環型リサイクル
当社グループは、食品ロスの約半分が家庭から出ていることを受けて、ご家庭での食品ロス削減に向けた啓発活動に取り組んでいます。例えば、当社グループの一部店舗ではご家庭で余っている食品を店舗へお持ちいただいてフードバンク団体に寄付する「フードドライブ」を実施しています。各店舗に寄せられた食品は、フードバンク団体や社会福祉協議会を通じて、支援を必要としている方にお届けしています。
セブン‐イレブン・ジャパンは、2023年10月から一部店舗の店頭に専用のフードドライブ回収ボックスを設置し、店頭でフードドライブを実施。身近なコンビニエンスストアの店舗を回収拠点とすることで、お客様がフードドライブに参加しやすい環境を創り出しています。2024年度の実施エリアは12市1町まで拡大しており、今後も取り組みを進めていきます。
イトーヨーカ堂は、2020年6月から店舗でのフードドライブ回収BOXの常設を開始しています。各店舗に寄せられた食品は委託先の物流会社にご協力いただき、物流センターに集約し、フードバンク団体を通して子ども食堂や支援を必要としている方にお届けしています。
フードドライブ回収BOX実施店舗
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
|
44店舗 |
75店舗 |
83店舗 |
92店舗 |
デニーズジャパンでは、外食企業の責任として食べ切りについての取り組みを推進しています。例えば現在、全国38の自治体において「食べきり協力店」などの食品ロス削減の推進店として登録しています。また、2019年10月からデニーズのメニューブックに食べ切りやすい「少なめライス」が選べるように明記しました。
さらに、デニーズで実施している食品ロス削減活動「mottECO(モッテコ)事業」が、2021年から5年連続で環境省の食品ロス削減を目的としたモデル事業に採択されました。2024年度には産官学26団体合同の取り組みに拡大するなど、飲食事業ならではの新しい活動に取り組んでいます。この活動は、ご希望があれば環境配慮素材のお持ち帰り専用容器をお渡しし、食べ切れなかった料理をお持ち帰りいただくことで、「食べ残したものは自分の責任で持って帰る文化」の普及と啓発を図るものです。
これらの店舗における取り組みに加えて、当社グループ各社の本部や、セブン‐イレブン・ジャパンの一部地区事務所でも、従業員による社会への貢献を目的にフードドライブを実施しています。集められた支援品は、フードバンク団体を通じて支援を必要としている方々へお届けしています。
mottECO(モッテコ)ポスター