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重点課題 3 地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

食品ロス・食品リサイクル対策

 セブン&アイグループは、売上の約6割を食品が占めています。そのため、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」では、食品ロス・食品リサイクル対策をテーマの1つに掲げ、重点的に取り組んでいます。「GREEN CHALLENGE 2050」では、食品リサイクル率を2030年に70%、2050年に100%にすること、食品廃棄物量(売上100万円あたりの発生量)を2013年度と比較して2030年50%削減、2050年75%削減することを目標としています。

  • SDGs12 つくる責任 つかう責任
  • SDGs13 気候変動に具体的な対策を
  • 対象は、食品関連事業会社5社(セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、シェルガーデン、セブン&アイ・フードシステムズ)

食品廃棄物の削減についての考え方

 社会課題である食品廃棄物を削減するためには、発生自体を抑制する取り組みが重要です。このテーマは、循環型社会形成推進基本法における基本原則でも第一優先として位置づけられており、セブン&アイグループも発生抑制を第一優先に取り組んでいます。また、発生してしまった食品廃棄物についてもリサイクルできるよう努めています。

食品廃棄物削減の図再利用「イトーヨーカドー店舗から出る賞味期限前の商品のフードバンクへの寄付を開始」飼料化「販売期限切れ商品の飼料化と、その飼料を使って生産された鶏卵のチルド弁当への活用、販売期限切れパン・ペストリーの飼料化」発生抑制「お客様が適量を購入できる販売方法、食べきりサイズ商品の販売、味や品質を落とさずに従来よりも長い消費期限を可能にしたチルド弁当、長鮮度商品の販売、食べきりキャンペーンの実施」肥料化「店舗から出る食品残さの肥料化と、その肥料を使ってセブンファームで栽培した野菜の店舗での販売(完全循環型食品リサイクル)」

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食品廃棄物の発生量

年度  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度

売上百万円

当たりの発生量(kg)


21.80kg


22.35kg


21.01kg


20.28kg


19.83kg

※食品関連事業会社5社(セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、シェルガーデン、セブン&アイ・フードシステムズ)

サプライチェーン全体での取り組み

 セブン&アイグループは、サプライチェーン全体を通じた食品廃棄物削減の取り組みを継続して実施しています。一例として、セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカドー、ヨークベニマルでは、商品の納品期限の緩和を実施しています。これまでは商習慣として、商品を製造日から賞味期限の「3分の1」が経過する前までに店舗へ納品する「3分の1ルール」で運用していましたが、2012年以降は、食品ロス削減の取り組みとして一部のカテゴリーの商品を対象に製造日から賞味期限の半分までに納品期限を緩和する「2分の1」に見直しました。2022年度には対象カテゴリーを拡大し、常温加工食品全体で実施しています。また、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」については、2019年度から賞味期限の表示を従来の「年月日」から「年月」への転換を開始しており、2022年度には全商品のおよそ7割まで拡大しました。

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納品期限の緩和のイメージ図

食品廃棄物削減に向けた各社の取り組み

 セブン&アイグループは、食品廃棄物削減のために販売方法・商品などでさまざまな工夫を図っています。例えば、セブン‐イレブン・ジャパンでは、日本フランチャイズチェーン協会とコンビニ大手4社の合同で「てまえどり」を推進しています。「てまえどり」とは、すぐに召し上がる予定で食品を購入されるお客様に対し、手前に置いてある商品から選んで購入していただくことを促すことで食品ロスの削減を目指そうという取り組みです。この活動は、2023年2月現在、イトーヨーカドーやヨークベニマルの店舗にも広がっています。また、セブン&アイ・フードシステムズのデニーズでは、食べ切れるサイズの小盛のメニューや食べ残しのお持ち帰りを推進する「mottECO(モッテコ)」に取り組んでいます。

 このように、第一優先である発生抑制を推進するとともに、それでも発生してしまった食品廃棄物のリサイクルを推進しています。一例として、店舗から廃棄される魚腸骨の飼料化や、惣菜調理後の揚げ油などの食廃油の100%リサイクルを実施しています。

「エシカルプロジェクト」を推進

 セブン-イレブン・ジャパンは、2020年5月から全国の店舗で食品ロス削減を目的に「エシカルプロジェクト」に取り組んでいます。これは、おにぎりやパン、総菜、スイーツなど合計7つの分類において、販売期限が近づいた対象商品に店頭税抜価格の 5%分のnanacoボーナスポイントを付与することで、食品廃棄物の発生を抑制する取り組みです。

オリジナルデイリー商品の消費期限を延長

 セブン-イレブン・ジャパンは、工場の技術革新によって製造工程や温度、衛生管理を見直し、保存料の不使用などの「安全・安心の確保」と「味・品質の向上」とともに、「消費期限延長(長鮮度商品開発)」を実現しています。2009年のチルド弁当からスタートし、グラタン・ドリア、スパゲティ・パスタ、サンドイッチ、惣菜などにも鮮度延長商品の拡充を実施して、2022年4月末現在、オリジナルデイリー商品に占める24時間以上の販売期限がある商品の比率は約84%となっています。

フードバンク団体への寄付

 イトーヨーカドーは、2017年度から一部の店舗から出る賞味期限前の商品をフードバンク団体へ寄付しており、寄付重量の累計は約76.5トン(2023年2月現在)となっています。

 また、セブン-イレブン・ジャパンでは、閉店・改装時に在庫となった加工食品のフードバンク団体への寄付を開始し、2018年度からは自治体と地域包括連携協定を締結し、社会福祉協議会への寄付も始めました。2023年2月末現在、230の自治体と地域包括連携協定を締結しています。

  • 品質に問題がないにもかかわらず、市場で流通できなくなった食品や、家庭で余剰となった食品を、支援が必要な方に配布する活動を行う団体

エコ物流の運用

 セブン‐イレブン・ジャパンは、廃棄物の適正処理・リサイクルを推進する仕組みとして「エコ物流」を1994年から推奨しています。この仕組みの中で、販売期限切れ商品の飼料・堆肥などへの食品リサイクルに取り組んでおり、その結果、販売期限切れ商品と廃食油を合わせた、2022年度の食品リサイクル率は52.4%となりました。

  • エコ物流:セブン‐イレブン独自の廃棄物回収システム
    地域ごとに加盟店へ推奨した廃棄物処理業者がセブン‐イレブン各店舗から排出する廃棄物を一括して収集し、適切な処理とリサイクルを推進しています

循環型農業の取り組み

セブンファームの設立

 イトーヨーカドーは、2008年8月に食品リサイクル率の向上と地域農業の活性化を目的として、農業生産法人「セブンファーム富里」(千葉県富里市)を設立し、「環境循環型農業」を小売業で初めて開始しました。「環境循環型農業」とは、イトーヨーカドーの店舗から排出される食品残さ(生ごみ)を堆肥化してセブンファームの農場で使用し、そこで栽培・収穫された農産物を食品残さが排出された店舗などで販売する取り組みです。

 2023年3月末現在、セブンファームの取り組みは全国11カ所で実施しています。また、セブンファームは農業生産工程管理手法のひとつであるJGAP認証(Japan Good Agricultural Practice) の取得を積極的に進めており、セブンファーム11カ所(2023年3月末)すべての農場でJGAP認証を取得しています。

セブンファーム

36写真_セブンファームの概要.jpg

環境循環型リサイクル

敷地内処理(生ごみ処理機)の取り組み

 イトーヨーカドーは、2011年10月から微生物の働きを利用した「生ごみ処理機」を導入し、2023年2月末現在、25店舗の敷地内に設置しています。繊維質が多いなど、リサイクルに向かない生ごみについては、微生物の力を応用した生分解型処理機を使って水とCO2に分解しています。また、堆肥型処理機は機内でできた一時醗酵物を堆肥化し、提携農場へ提供しています。いずれの機械も敷地内で生ごみを減容することで、収集運搬などで発生するCO2排出量の低減が図れると同時に、ごみの減量化にも効果があります。

 また、セブン‐イレブン・ジャパンにおいても、「生物分解型生ごみ処理機」の運用テストを2013年から開始しています。敷地内での食品廃棄物処理は、各自治体の処理センターなどへの配送が不要となり、配送時や焼却時に排出されるCO2排出量削減にも貢献しています。2023年2月末時点、東京都、長野県の店舗でテスト運用しており、合計17店舗で導入され、稼働しています。

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生物分解型生ごみ処理機(イトーヨーカドー)

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生物分解型生ごみ処理機(セブン‐イレブン・ジャパン)

食品ロス削減にむけた啓発活動

 セブン&アイグループは、食品ロスの約半分が家庭から出ていることを受けて、ご家庭での食品ロス削減に向けた啓発活動に取り組んでいます。例えば、イトーヨーカドー、ヨークベニマルでは、一部店舗において、ご家庭で余っている食品を店舗へお持ちいただいてフードバンク団体に寄付する「フードドライブ」を実施しています。

 イトーヨーカドーは、2020年6月から店舗でのフードドライブ回収BOXの常設を開始し、75店舗で実施をしています(2023年2月末現在)。各店舗に寄せられた食品は委託先の物流会社にご協力いただき、物流センターに集約し、フードバンク団体を通して子ども食堂や支援を必要としている方にお届けしています。また、セブン&アイグループ各社の本部や、セブン‐イレブン・ジャパンの一部地区事務所においても、従業員への啓発を目的にフードドライブを実施しています。

 また、イトーヨーカドーのネットスーパーにおいても、2023年2月から家庭で発生する使用済みもしくは未使用の廃油を回収し、リサイクルする取り組みを開始しています。従来、家庭で発生する廃食油はほとんどが可燃ごみとして廃棄されていますが、工業系の原料などにリサイクルしています。また、お客様に専用の回収ボトルを配布し、食用油の回収時にボトルを洗浄することで繰り返して利用することが可能となり、ペットボトルなどの廃棄物を削減しています。

 セブン&アイ・フードシステムズでは、外食企業の責任として食べ切りについての取り組みを推進しています。例えば、2023年2月末現在、全国38の自治体において「食べきり協力店」などの食品ロス削減の推進店として登録しています。また、2019年10月からデニーズのメニューブックに食べ切りやすい「少なめライス」が選べるように明記したほか、食品ロス削減国民運動のロゴマークである「ろすのん」を掲載しています。

 さらに、デニーズで実施している食品ロス削減活動「mottECO(モッテコ)事業」が、2021年から3年連続で環境省「地方公共団体及び事業者等による食品ロス削減・リサイクル推奨モデル事業」として採択されました。2023年度には、ロイヤルホールディングス株式会社、SRSホールディングス株式会社、日本ホテル株式会社との4社合同の取り組みに拡大するなど、飲食事業ならではの新しい活動に取り組んでいます。この活動は、ご希望があれば環境配慮素材のお持ち帰り専用容器をお渡しし、食べ切れなかった料理をお持ち帰りいただくことで、「食べ残したものは自分の責任で持って帰る文化」の普及と啓発を図るものです。

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mottECO(モッテコ)ポスター

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廃食油回収専用ボトル

重点課題3の取り組み