重点課題 5 グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

従業員の能力向上支援

 セブン&アイグループは、企業価値向上における源は「人財」にあり、さらなる成長のためには「自ら考えて、自ら行動する人財」が不可欠であると考えています。グループの創業理念であり社是である「信頼と誠実」を礎に従業員の育成・教育に取り組むなど、常に人財に注力し、グループ各社においても、それぞれの事業に適した人財の育成を行っています。

  • SDGs4 質の高い教育をみんなに
  • SDGs8 働きがいも経済成長も
  • SDGs10 人や国の不平等をなくそう

経営戦略と連動した人財政策

 セブン&アイグループは、2021年7月発表の中期経営計画に基づき、会社と従業員がともに成長できる組織づくり、誰もが働きやすい職場づくりを目指しています。一人ひとりの従業員の能力開発と、自律的な学びの支援などを通じて働きがいを向上し、働き方改革、生産性の向上、ダイバーシティ&インクルージョンの推進などを通じて、働きやすさを実感できる職場づくりに取り組んでいます。

教育体系の整備

 セブン&アイグループは、グループ各社が事業特性に合わせた研修体系を整え、人材の育成に取り組んでいます。特に、お客様と接する店舗従業員の能力向上は必要不可欠なため、役職別の集合研修の定期的な実施だけでなく、パートタイマーを含めた一人ひとりの能力開発とキャリア形成に努めています。

人財共育部を中心とした体制強化

 セブン&アイHLDGS.は、社会・経済に対する価値観の多様化やDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応し、経営戦略と両輪である人財政策を推進するため、2020年8月に人事企画部から教育機能を組織として独立させ、グループの能力開発・人財育成を推進する「人財共育部」を設置しました。 価値創造の担い手である従業員一人ひとりの能力開発と、自律的な学びを支援するために、人財育成体系の整備に取り組んでいます。

加盟店従業員向け接客研修の開催

 セブン‐イレブン・ジャパンでは、店舗の新人従業員向けの「新人研修」、加盟店従業員の模範となるシフトリーダーの育成を目的とした「シフトリーダー研修」を開催しています。シフトリーダー研修の受講者には、修了証書と名札用ホルダーを進呈しています。

 2021年度は、各研修合計で10,914回開催し、39,740人が受講しました。研修を通して、加盟店オーナー様の従業員教育をバックアップするとともに、多くの従業員の働きがいと店舗における接客レベルの向上を図っています。

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シフトリーダー研修

職務に応じた研修の実施

 イトーヨーカドーは、パートタイマーを含む全従業員に対し、会社の方針や商売の基本、仕事に必要な知識・技術を学ぶ「入社時研修」を開催しています。さらに所属部門の商品知識や、接客応対・生鮮技術のレベルアップを目的に、店舗でのOJTにつなげるための研修を継続的に実施し、従業員のスキルアップをサポートしています。そのほか、新入社員から売場担当者、売場マネジャー、統括マネジャー、店長に至るまで、その職務に応じた「売場管理」や「マネジメントスキル」を段階的に身に付ける研修や、本人の学ぶ意欲を引き出しながら次の役職に向けた事前のスキルアップ研修も実施しています。

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研修の様子

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「目標設定カルテ」の運用

 ヨークベニマルは、従業員一人ひとりの現在の技術・能力や今後習得すべき教育上の課題と目標を従業員個人とその上長で明確にするため、「目標設定カルテ」を運用しています。「目標設定カルテ」は、接客や売場管理、発注、調理技術など、業務遂行に必要な項目が細かく設定されており、0~5までの6段階で個人の技術・能力を診断。担当社員・パートタイマー向けの「技術編」については、担当している業務の特性・取扱商品に応じて部門ごとに診断項目を設定しています。また、店長、副店長、CS(カスタマーサービス)統括マネジャー・部門マネジャーなど店舗責任者の管理能力の向上と標準化を目指した「マネジメント編」も設定しています。 従業員は、このカルテをもとに、自分のレベルを上長と確認し、年2回、上長と進捗状況を共有して次の目標を設定することで、自分の成長を確認するとともに、モチベーションの向上を図っています。

自己啓発研修

 セブン&アイグループは、従業員が自ら学べる機会を提供するため、ビジネススキルや知識に関する通信教育やeラーニングを受講する従業員に対して費用の補助などを行っています。

通信教育の受講支援

 イトーヨーカドーは、パートタイマーを含む全従業員に対して通信教育を306講座を提案し、修了者には一部費用を補助しています。2021年度は358人が受講しました。

自己啓発講座の開催

 セブン銀行は、英語や金融知識、その他教養を学ぶ通信教育をはじめ、英会話、ビジネス知識、ITやプログラミングを学ぶオンライン講座、MBAの取得を目指す通学講座など、自己啓発講座を約350講座用意しています。2021年度は210の講座が受講されました。

自己啓発・スキル向上の支援

 赤ちゃん本舗は、通信教育を使って従業員の自己啓発を支援しており、指定資格取得時には受講費用の全額を補助しています。また店長・副店長を対象にビジネススキルを向上する場として、自由参加のビジネス講座「TERAKOYA」を24講座開催し、多くの従業員が参加しています。

研修施設の整備

 多様な業態を展開するセブン&アイグループとして、事業特性に合わせ、販売や調理などの専門技術の習得を支援するとともに、従業員一人ひとりが創業理念である「信頼と誠実」の精神を理解し、次世代を担う人材を育成することが大切だと考えています。そのために、グループ各社が教育施設として活用してきたのが「伊藤研修センター」です。2012年に開設し、これまでに延べ40万人以上の従業員が利用してきました。

 2020年には、新たな教育プログラムに対応できるように大規模な改装を実施しました。同研修センターには史料室を設置しており、デジタルサイネージを活用し、見やすく、わかりやすい学びの場となっています。また、研修室は形式にとらわれず、自由で動きのある研修にも対応できる階段型スツールや快適なオンライン研修をサポートするリモートカメラ、タブレットなどを導入し、従業員が積極的に学べる環境づくりに取り組んでいます。

伊藤研修センター

人材公募制度の運用

 セブン&アイHLDGS.は、グループ従業員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援を目的に、グループ事業会社の垣根を越えて公募されている職種に応募できる「グループ人材公募制度」を年1回実施しています。毎年多くの従業員が制度に応募し、これまで培った経験を活かしながら、新たなフィールドで活躍しています。

 また、グループ各社でも社内公募制度を導入しており、例えば、イトーヨーカドーでは、入社満1年以上の従業員であれば業務経験や年功を問わず、すべての管理職ポストと職種に立候補できます。2021年度は207人が応募し、うち40人が希望の役職や職種に就きました。

重点課題5の取り組み