重点課題 3 商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
重点課題の考え方
セブン&アイグループは、小売業を中心に国内約22,500店舗を展開し、1日に2,500万人以上のお客様にご利用いただけるまでに成長してまいりました。こうした事業の発展が環境負荷の増大につながらないように、バリューチェーンのさまざまなステークホルダーと連携し、エネルギー消費によるCO2排出量の削減、廃棄物の削減やリサイクルの推進などに取り組んでいます。
2019年5月には、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を公表しました。「GREEN CHALLENGE 2050」では、「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」をセブン&アイグループが目指すべき社会の姿として掲げ、CO2排出量の削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達に関わる2030年、2050年の目標を定めました。目標達成に向け、エネルギーや資源、原材料の無駄をなくすことは、コストの削減にもつながるものと考えています。
重点課題の背景
気候変動
気候変動問題は、海水面の上昇や、異常気象の増加、農漁業への影響など、将来世代にまで影響の及ぶ重大な脅威です。2018年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した「1.5℃特別報告書」によると、現在までに産業革命前に比べて平均気温は約1.0℃上昇しており、気温上昇を1.5℃におさえるためには、2050年までにCO2排出量を正味ゼロにする必要があるとされています。
食品廃棄物
世界では9人に1人が栄養不足に苦しんでいる一方、日本では年間2,550万トンの食品廃棄物等が出されています。そのうち本来食べられるのにも関わらず廃棄されている「食品ロス」は612万トンで、これは国民1人が毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているのと同じ量になります。
資源循環
利便性が高いプラスチックは、私たちの生活のさまざまな場面で活用されており、1950年以降、プラスチックの生産量は83億トンを超えました※。一方で、リサイクルされるプラスチックは9%で、79%は埋め立てまたは自然に投棄されています。このままのペースでは、2050年までに120憶トンのプラスチックが埋め立てまたは自然に投棄されると推測され、海洋中のプラスチックの量が魚の量を超えるという報告もあります※。今ある資源をムダなく有効に活用する循環型経済社会の構築が課題となっています。
重点課題の推進体制
本重点課題は、セブン&アイHLDGS. 取締役 常務執行役員 経営推進本部長を責任者にCSR統括委員会(委員長:セブン&アイHLDGS.代表取締役社長)の傘下に環境部会(部会長:セブン&アイHLDGS. 執行役員 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー)を設置し、グループ会社・関係部門と連携しながら、取り組みを推進しています。環境部会は、事業会社の環境部門の責任者によって構成されています。また、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の達成に向けて、グループ横断のイノベーションを生み出していくために、主要事業会社の主管部門の執行役員以上をリーダーとするイノベーションチームを組織しています。
SDGsへの貢献
この重点課題に取り組むことで、セブン&アイグループはCO2排出量や食品などの廃棄物削減を実施し、持続可能な開発目標(SDGs)の目標4と7、12、13、15の達成に貢献します。
セブン&アイHLDGS. の取り組み
環境マネジメント
セブン&アイHLDGS. 環境部会などの会議体を通して、グループ会社で情報を共有し、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の達成に向けた取り組みを推進しています。グループ各社も、自社の業態に応じたマネジメント体制を構築しています。
気候変動対策
気候変動問題を社会と企業の持続的な発展への脅威と認識し、「脱炭素社会」に向けた取り組みを推進しています。リスク管理を徹底し、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の目標達成に向けた省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用拡大を進めています。
サプライチェーンマネジメント(環境)
自社の環境負荷低減とともに、お取引先と連携し、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に努めています。
食品ロス・食品リサイクル対策
売上の6割を食品が占める企業の責任として、「GREEN CHALLENGE 2050」において、食品ロス削減、食品リサイクルの推進を重要テーマの1つに掲げて取り組んでいます。
資源の有効活用
資源を有効に活用する循環型経済社会の目指すべき社会の姿を考え、お客様・お取引先様とも連携して、廃棄物の削減、資源の店頭回収・リサイクルの推進、再生素材の活用などに取り組んでいます。
環境に配慮した容器・包装の導入
商品の容器・包装は、商品を保護したり、原材料などの情報を表示したりする重要な役割がありますが、商品使用後には廃棄物となってしまいます。リサイクル素材や生分解性素材などを原材料に使用することで容器・包装の環境負荷低減に努めています。
社内外とのコミュニケーション
環境活動の推進では、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションを大切にしています。また、従業員への啓発に力を入れています。