サステナビリティ委員会 委員長メッセージ

代表取締役会長 伊藤 順朗の写真

企業としての存在意義を再確認し
「7-Elevenの変革」を
推進していきます。

代表取締役会長伊藤 順朗

次の100年に向けた挑戦と進化

 2025年5月の株主総会後、代表取締役会長に、また、6月には内部統制決議に関わる3つの委員会の一つであるサステナビリティ委員会の委員長に就任しました。
 当社グループは、同年9月よりCVS事業に注力する新体制へと移行しました。これを契機に、私たちは「7-Elevenとは何か」「未来にどんな価値を提供したいのか」、そのために一人ひとりが「どう行動すべきなのか」を改めて問い直し、長年培ってきた強みを継承するとともに、より成長を加速するためのグローバルレベルのプロジェクトを開始しました。
 米国で生まれた7-Elevenブランドは翌年の2027年には創業100周年を迎えます。この節目を前に、私たちは「すべてのステークホルダーに信頼される、誠実な企業でありたい」という社是を改めて胸に刻み、「7-Elevenの変革」に向け、常に挑戦を続けてまいります。
 次の100年において、私たちの店舗、商品、サービスは、これまでとは大きく異なる形へと変化しているかもしれません。しかし、私たちがお客様の日々の暮らしの豊かさを支え、新しい体験価値を提供していくということに変わりはありません。今後も私たちはお客様に安全で高品質な優れた商品・サービスを提供していくことで、当社の社会的価値および企業価値を向上させ、株主の皆様への還元につなげることを目指してまいります。

サステナビリティに関する考え方
~信頼される誠実な存在であり続けるために~

 マネジメントの父と呼ばれるピーター・F・ドラッカー(経営学者:1909-2005年)は、次のような言葉を残しています。
「企業にとっての利益とは、人間にとっての酸素のようなものだ。足りなければ、死んでしまう。しかし、もし人生で最も重要なことが『息をすること』だと思っているのなら、その人は何かを見落としている」
 この言葉は、サステナビリティの本質を考えるうえで、重要な示唆を与えてくれています。私たち小売業にとって、日々変化するお客様のニーズに迅速に対応し、売上や利益を追求することは、企業の存続に欠かせない要素です。しかし、私たちの存在意義は単に利益を追い求めることにとどまるものではありません。私たちが果たすべき使命は、地域社会の繁栄に貢献し、社会とともに持続可能な未来を築くことにあります。
 地域社会の繁栄は、私たちの事業の基盤であり、成長の源泉です。そして、お客様から「共感」を得て、「愛される」存在となり、地域社会の一員として受け入れられることで、企業としての持続可能性が形づくられると私たちは考えています。

事業活動を通じた社会課題の解決

「7impact “Good Made Easy”(良いことを手軽に)」のバナー画像

 社会と当社グループの持続的成長を両立させるためには、事業活動を通じた社会課題の解決が不可欠です。しかし、経営資源は有限であり、すべての社会課題に取り組むことはできません。そのため当社グループは、国内外の社会課題を見据え、そのなかから優先的に取り組むべき「7つの重点課題」を特定し、リスクと機会を明確にしたうえで具体的な施策を実施しています。
 セブン-イレブンの店頭で回収したペットボトルをオリジナル商品のペットボトルへリサイクルする「完全循環型ペットボトルリサイクル」の実現は、その成果の一つです。また、2024年8月には、小売電力事業者である株式会社セブン&アイ・エナジーマネジメントを設立し、グループ店舗への効率的な再生可能エネルギーの供給を開始しています。
 さらに、2022年から開始した社会課題解決型ビジネスプランコンテスト「SMiLE」の累計参加者数は1,500人以上に達し、新たなビジネスプランが数多く提案されています。これらは、お客様や社会の不便・不満・不安といった「不」を解消する新たな事業を創造し、重点課題の解決を目指すものです。これからもイノベーションを尊重し、促進する企業文化の醸成に努めていきたいと考えています。
 事業会社においてもSEJでは、目指す姿として「明日の笑顔を 共に創る」を策定し、「次の便利の扉を開く」というミッションのもと、「健康、地域、環境、人財」の4つのビジョンを通じてその実現を目指しています。また、SEIでは、豊かな地域社会の実現、環境保全、責任ある消費の促進を軸としたサステナビリティ戦略「7impact “Good Made Easy”(良いことを手軽に)」を推進しています。

重点課題(マテリアリティ)の改定

 当社グループは2014年、ステークホルダーの皆様の期待や要請にグループが一体となって応えていくために、「社会の持続的な発展」と「企業の持続的成長」に向けた重点課題(マテリアリティ)を特定しました。その後、当社グループを取り巻く事業環境の変化や中核事業であるCVS事業のグローバル化などを踏まえ、2022年3月に以下の6つのステップで重点課題を見直し、「7つの重点課題」を社内外に発表しました。

改定の6ステップ

STEP ① 国内外の社会課題の抽出

SDGsや世界経済フォーラムのリスクレポート、ESG評価機関の調査項目などとともに、外部環境の変化も加味して480の社会課題項目を抽出。

STEP ② ステークホルダーへアンケートを実施

当社事業と深い関わりがあると考えられる35項目を選び、お客様・お取引先・株主/投資家・セブン-イレブン加盟店オーナーや従業員を対象にしたアンケートを実施。

STEP ③ 有識者とのダイアログを実施

当社経営陣とサステナビリティに関する幅広い知見を持つ有識者の方々とダイアログを実施。当社グループが解決すべき社会課題について意見交換。

STEP ④ 多様な声を反映した重点課題の特定

ステークホルダーにとっての重要度と会社にとっての重要度、およびアンケートのコメントや有識者とのダイアログ、事業会社経営陣へのヒアリングなどで挙がった意見を考慮し、7つの重点課題を特定。

STEP ⑤ 重点課題に関わるリスクと機会の整理

新たな取り組みを創出するとともにリスクの低減を図っていくため、重点課題に関わるリスクと機会を整理。

STEP ⑥ アクションプランを策定

各事業会社において事業を通じた重点課題の解決に資する具体的な取り組みを策定。

当社の重点課題の特徴

 改定にあたって、海外も含めた5,000人を超えるステークホルダーにアンケートを実施し、1,000件を超えるコメントを確認・分析しました。
 また、重点課題の解決に向けて、各事業会社が迅速に施策を実施できるよう、具体的なアクションプランも併せて策定することで実行性を担保しています。

グループの変革に伴う重点課題の見直し

 CVS事業に注力する新体制への移行に伴い、重点課題の見直しを計画しています。CVS事業への関連性やさらなるグローバル展開も考慮した、より経営戦略とつながりの強い重点課題の特定を目指しています。

7つの重点課題(マテリアリティ)

課題解決に向けた具体的な取り組み例 リスク 機会
1 お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する

高齢化・人口減少など地域課題の解決を目指した経営

  • デリバリーサービス「7NOW」・移動販売車の拡大
  • 地域の安全・安心を見守る「セーフティステーション活動(SS活動)」
  • 生活拠点の減少により人口減少・過疎化・高齢化が進行し、販売機会が減少
  • 地域との連携不足に伴い計画どおりに新規出店が進まず、新たな価値が提供できない など
  • 生活インフラとしての社会的役割の拡大によるステークホルダーからの信頼獲得
  • 地域活性化による販売機会の拡大 など
2 安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する

安全で豊かな社会の支援

  • 健康に配慮した商品の開発・販売の拡大
  • 品質管理体制の強化
  • 食物アレルギーに配慮した商品の販売
  • 商品事故および店頭事故の発生による顧客の離反
  • 品質管理、表示等の法令違反による信用低下
  • 健康商品開発の遅れによる顧客の離反 など
  • 徹底した安全・品質管理による顧客ロイヤリティの向上
  • 健康配慮商品、お客様ニーズに即した新しい商品提供による販売機会の拡大 など
3 地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

環境に配慮した経営

  • 環境配慮型店舗の開発
  • PETボトルリサイクル、環境配慮型容器の使用拡大
  • 食品ロス削減、食品廃棄物リサイクル
  • 認証商品の取扱い拡大
  • 気候変動がもたらす自然災害の増加による店舗・物流網への物理的損害
  • 異常気象がもたらす需給の変化や原油等原材料価格変動による、仕入価格の高騰
  • 食品廃棄・温暖化ガス排出などの環境負荷の高い企業イメージの定着による顧客の離反 など
  • 省エネや廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直しによるコスト削減
  • 環境対策先進企業としてのブランド価値の創出 など
4 多様な人々が活躍できる社会を実現する

さまざまな価値観・ライフスタイルを認める社会の実現

  • 子育て・介護支援イベントの開催
  • 未来世代への教育の機会の提供
  • 差別・偏見などの放置による企業イメージの棄損、顧客の離反、従業員エンゲージメントの低下
  • 人財の確保困難や人財の社外流出 など
  • 次世代や若者世代、さまざまな価値観を持つ人々との対話・育成による将来の顧客の獲得、新たなサービスの開発 など
5 グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

やりがいと達成感を得られる会社づくり

  • DEIの推進
  • 人財育成・対話によるエンゲージメント向上
  • 従業員の自律的な学びの支援と能力開発
  • 労働環境が改善しないことによる従業員エンゲージメントの低下
  • 人財の確保困難や人財の社外流出 など
  • ダイバーシティ経営推進による競争力の強化
  • 従業員の能力・自律性を高めることによる生産性の向上
  • 新規事業の開発と優秀な人財の獲得 など
6 お客様との対話と協働を通じてエシカルな社会を実現する

お客様と一緒に豊かな地域を実現

  • お客様の声を活かした商品開発
  • お客様の声を活かしたサービスの改善
  • 生活者のライフスタイルの変化や価値観の多様化への対応遅れにより、商品とサービスを通じた新たな価値を提供できない など
  • エシカル消費に対応した商品・サービスの提供による販売機会の拡大
  • 顧客協働による顧客ロイヤリティの向上 など
7 パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

お取引先とともに豊かな社会を実現

  • お取引先CSR監査(強制労働・児童労働の根絶)
  • 行政サービス(各種証明書の発行)
  • 自治体と連携した地域商品の販売
  • サプライチェーン上の労働環境・人権問題やコンプライアンス違反による商品供給の停止や品質の劣化および、それらに伴う不買運動による社会的評価の低下 など
  • 持続可能な原材料調達によるレジリエンスの向上
  • 取引先・同業種・他業種協働による新たな商品・サービスの提供 など

※ D:ダイバーシティ(多様性)、E:エクイティ(公平公正性)、I:インクルージョン(包摂性)

経営とサステナビリティの統合

 「地球沸騰化」という言葉が象徴するように、地球規模での気候変動が深刻化し、事業活動に直接的な影響を及ぼすような事態が生じ始めています。最高気温の更新が続くなか、原材料の収量減少により、おいしいコーヒーやおにぎりを提供することが困難になる、さらには猛暑や異常気象による来店客数の減少といったリスクも現実のものとなりつつあります。加えて、地政学的リスクの高まりがサプライチェーンの分断を招き、お客様の生活や私たちの事業に影響を与えることも明らかになっています。
 こうした大きな変化を予測し、10年後、20年後のビジネスにおける影響を見据えた中長期的なリスクと機会を特定することが、持続可能な経営の基盤となると考えています。そこで当社グループは、リスクの低減策にいち早く着手することで事業のレジリエンスを強化するとともに、特定した機会を最大限活用し、経営戦略に組み込むことで持続的な成長を目指しています。このように、経営とサステナビリティを一体化させることが、未来に向けた企業の競争力を高める鍵であると確信しています。

サステナビリティ戦略マップの作成

 当社は、2024年度に「サステナビリティ戦略マップ」を作成しました。これは、重点課題の特定プロセスで描いた目指す社会の姿を実現し、持続可能な社会と企業の持続的成長を両立するために、私たちの基盤・戦略・目指す姿を体系的にまとめたものです。「環境戦略」と「社会戦略」の遂行により事業の持続的成長を促すとともに、「コミュニケーション戦略」を通じてステークホルダーの共感を呼び起こし、行動変容につなげていきながら、より安心で暮らしやすい持続可能な社会をともにつくっていきたいと考えています。

サステナビリティ戦略マップ
サステナビリティ戦略マップの図

2024年度および2025年9月までの主な施策

「気候・自然関連情報報告書」の発行

 当社は、ネイチャーポジティブの実現に向けて取り組む姿勢を明確化するため、2024年10月に「セブン&アイ・ホールディングス自然資本に関する方針」を策定しました。2025年9月には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)およびTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく統合報告書を発行し、気候・自然関連リスクがもたらす財務インパクトも試算して、その対応策を含めて報告しています。今後も、資源循環の観点も加え、環境課題相互のトレードオン・トレードオフを踏まえた、統合的・戦略的な環境施策の推進に努めていきます。

※ 生物多様性の損失を止めて回復させること

グローバル協働を視野に入れた社会貢献活動

 世界で約86,000店舗のセブン-イレブンの運営を支援する当社グループは、地域社会を支える社会貢献活動の重要性を強く認識し、世界各地で教育、社会福祉、環境、災害被災地支援などのさまざまな活動を実施しています。国内外グループ8社の社会貢献活動費は17億3,000万円を超え、2025年度2月期の当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益の約1.0%となっています。

 また、店頭やWebサイト、チャリティーイベントなどを通じて募金活動を実施し、多くのステークホルダーからお預かりした寄付金を、政府機関やNPO・NGOなどを通じて、必要な方への支援につなげています。2024年度の募金金額は約30.6億円でした。
 サステナビリティ活動の社会的な影響を可視化するために、SEIと7INは、「インパクトレポート」を発行しています。
 現在は地域ごとの活動状況を調査中で、今後はグローバル協働も視野に入れた社会貢献活動を継続していきます。

2024 7-Eleven Impact Report.pdf(SEI)[PDF:185MB]

Impact Report 2024.FINAL(7IN)[PDF:59.4MB]

2024年度の社会貢献活動費
2024年度の社会貢献活動費の図

事業継続計画の改定

 当社は、大規模災害などが発生した場合においても、事業への影響を最小限にとどめ、店舗営業やサービスの提供を継続し、お客様の生活に欠かせない商品を供給する社会インフラとしての役割を果たすことができるよう、事業継続計画(以下、BCP)を策定しています。
 2024年度はBCPを大きく改定し、社員への教育や、訓練を通じた計画の検証、見直しなどの事業継続マネジメント活動を実施しました。

従業員向けアプリの開発と導入

従業員向けアプリの画像

 社会全体の行動変容を生み出すには、まず従業員の理解と実践が不可欠という考え方のもと、当社グループは2024年3月、楽しみながら環境・社会課題を学び、課題解決に向けた良い習慣を身につけていく従業員向けアプリ「サステナスマイル」を開発しました。サステナビリティ活動を行うとポイントが付与され、一般財団法人セブン-イレブン記念財団へ寄付されます。サステナビリティの基礎知識や注目情報が得られるだけでなく、各社の活動を一つのアプリ内で確認することができると好評です。登録者数は順調に伸びており、「スマイル」の輪が広がっています。

社会の行動変容を目指して

「暑すぎる夏を終わらせる日」制定記者会見。左から2番目:宮地執行役員の写真
「暑すぎる夏を終わらせる日」制定記者会見。左から2番目:宮地執行役員

 2025年8月、当社は一般社団法人日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の参加企業として、「暑すぎる夏を終わらせる日」の制定に賛同しました。JCLP理事である当社サステナビリティ推進室長が記者会見に臨み、暑さを気候変動の問題としてとらえ直すきっかけをつくり、未来の世代のために気候危機を止めるという意思を表明、「社会全体のシステムを転換する起点としたい」との考えを述べました。
 これからも当社グループは、さまざまなステークホルダーと協働しながら、事業活動を通じて社会課題の解決を図り、世界中のお客様の暮らしになくてはならないグループとして、社会と企業の持続的成長を目指していきます。