イトーヨーカ堂は1920年、日本の洋品店「羊華堂」として歩みを始めました。創業から100年以上にわたり、時代の変化と顧客の価値観の変化に対応しながら、商品・サービス・業務において進化を続けてきました。
私たちが最も大切にしている価値観は「すべてのステークホルダーから信頼される誠実な企業になる」ことです。そして経営理念「変化への対応と基本の徹底」のもと、お客様の日々の生活に欠かせない価値ある商品・サービスを提供し続けてきました。「新しい体験価値」を追求することは、イトーヨーカ堂の一貫した姿勢であり、会社を発展させる原動力でもあります。
1997年に中国で事業を開始して以来、「顧客第一」のサービス理念を貫き、お客様一人ひとりの買い物体験を大切にしてきました。中国の消費成長とともに歩むなかで、事業の発展だけでなく、地域社会との融合を深めることを重視しています。
持続可能な社会の実現に向け、CSR企業行動委員会を立ち上げ、本業の視点から7つの社会課題を特定し、それらの解決に積極的に取り組んでいます。安全・安心な商品提供、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の推進、高齢化に対応した店舗づくり、障がい者雇用の促進、社会の多様性推進などを通じて、企業価値の向上と地域社会への貢献を目指しています。
今後も変化するお客様のニーズに応え、日系企業としての特徴を活かしながら、中日経済貿易の拡大に貢献していきます。新商品の継続的な導入と新たな消費価値の創出により、お客様に「期待以上のショッピング体験」を提供し、環境に配慮しながら持続的な成長を実現します。
引き続きイトーヨーカ堂の魅力を発信し、すべてのステークホルダーの皆様からの信頼と支持を獲得することで、社会とともに成長し、より良い未来の創造に貢献していきます。
年 | 出来事 |
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1996年 | 中国政府、四川省成都市から総合スーパー設立の要請を受ける |
1996年12月 | 成都市に「成都イトーヨーカ堂有限公司」設立 |
1997年9月 | 北京市に「華糖ヨーカ堂有限公司」設立 |
1997年11月 | 春熙店 開店(成都市) |
2001年12月 | 亜運村店 開店(北京市) |
2003年9月 | 双楠店 開店(成都市) |
2007年12月 | 綿華店 開店(成都市) |
2009年11月 | 建設路店 開店(成都市) |
2011年11月 | 高新店 開店(成都市) |
2012年7月 | 中国におけるGMS事業を統括する「イトーヨーカ堂(中国)投資有限公司」を設立 |
2014年1月 | 温江店 開店(成都市) |
2014年 | 董事長(当時)の三枝富博に日本人の民間企業経営者としては初の「成都市栄誉市民」の称号が授与される |
2017年1月 | 眉山店 開店(眉山市) |
2017年4月 | 成都市に「成都イトーヨーカ堂電子商務有限公司」 設立 |
2018年11月 | 食品生活館 華府大道店 開店(成都市) |
2019年1月 | 伊藤広場 開店(成都市) |
2021年1月 | 楽山店 開店(楽山市) |
2022年1月 | 食品生活館 金融城店 開店(成都市) |
2022年2月 | 成都市に「成都イトーヨーカ堂信息技术サービス有限公司」 設立 |
2022年12月 | 春熙店 閉店(成都市) |
2023年8月 | 眉山店 閉店(眉山市) |
2023年10月 | 三枝会長(当時)が李強総理から「中国政府友誼賞」を授与される |
2024年6月 | 北京華糖洋華堂商業有限公司と新辰商業集団が戦略的協力協定を締結 |
成都イトーヨーカ堂 | 華糖ヨーカ堂 | |
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売上高 |
221.69億円 |
17.89億円 |
従業員数 | 2,246人 | 152人 |
店舗数 | 9店舗(双楠・綿華・建設路・高新・温江・華府大道・伊藤広場・楽山・金融城) | 1店舗(亜運村) |
設立 | 1996年12月 | 1997年9月 |
董事長 | 黄 亜美 | 黄 亜美 |
総経理 | 田中 正巳 | 荒井 達也 |
CSR推進体制 | サステナビリティ委員会 | サステナビリティ委員会 |
企業行動部会 | 企業行動部会 | |
サプライチェーン部会 | サプライチェーン部会 | |
環境部会 | 環境部会 |
イトーヨーカ堂は、「信頼される誠実な企業でありたい」という企業理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮した経営を行っています。中国スーパーストア事業では中国政府の方針に基づき、CSRの取り組み方針や評価指標を策定し、CSR報告書を公表するとともに、日常の経営においてもCSRを積極的に推進しています。
また、イトーヨーカ堂の主導により、2021年から成都イトーヨーカ堂、北京華糖洋華堂、イトーヨーカ堂(中国)投資有限公司と連携し、CSR推進のための企業行動委員会を設置しています。
2024年には、成都イトーヨーカ堂の企業行動委員会が中心となり、オンラインとオフラインでのコミュニケーションを通じてグループ各社の7つの課題を共有しました。また、サプライヤーとの連携により顧客との対話を積極的に推進し、サプライヤーと顧客に向けてイトーヨーカ堂のサステナビリティ活動と価値観について発信しました。
企業行動委員会は、法令に基づく企業行動の徹底と、社会に必要とされる企業としての社会的責任の履行に注力しています。同委員会を中心とした推進体制を構築し、中国事業を担う各事業会社間の連携を強化するとともに、従業員一人ひとりの育成を強化することで、中国事業全体の成長を目指しています。
成都イトーヨーカ堂は、2016年7月に「CSRレポート」を初めて発行して以来、毎年継続して報告書を発行しています。報告書の作成にあたっては、GRIガイドライン、SDGs、ESGの各種指標などを参照し、それぞれの対照表を巻末に掲載しています。
CSR報告書は、Webサイトでの公開に加え、外部からの来訪者に対しては印刷物を配布しています。また、中国工業経済連合会を通じて、工業情報化部、国家発展改革委員会などの政府機関にもCSR報告書を開示しています。
成都イトーヨーカ堂は、お客様への安全・安心な商品の提供に努めています。特に食品安全については、「組織体制面・管理面・教育面」から管理体制を強化しており、品質の見える化、トレーサビリティ管理などの取り組みを推進しています。また、本部から各店舗まで一貫した食品安全の専門チームを配置し、組織全体で安全管理に取り組んでいます。こうした厳格な食品安全管理活動により、2024年にすべての店舗において食品安全事故は1件も発生していません。
華糖ヨーカ堂は、食品売場の従業員に対して毎年4回、品質管理教育を開催し、品質管理基準を厳格に遵守しています。また、売場とバックルームを対象に、設備、衛生管理のプロセス、従業員に対する品質管理体制の検査を定期的に実施しています。自主的に売場やバックルームの定期消毒も実施し、お客様が安心してお買物できる環境づくりに努めています。
成都イトーヨーカ堂は、生産者の協力を得て、2013年に食品トレーサビリティシステムを構築し、お客様に商品情報を開示しています。日本で展開する「顔の見える食品。」と同じコンセプトの「看得見的放心」は、成都イトーヨーカ堂が独自に開発・品質管理を行った商品で、多くのお客様から安全・安心の商品として支持されています。
2024年には、「看得見的放心」の商品ラインアップは251SKU※に拡大し、年間販売数量は145.8万個、売上高は2,643万元(前年比105%)、粗利益率は35.7%となりました。また、96SKUの新商品を開発し、商品更新率は38.2%となりました。これらの商品は、五常、丹東、新疆、広元、陝西、雷波、山東、寧夏、海南、安岳、簡陽、広西、遂寧、雲南など、全国28カ所の生産基地から調達しました。
2022年11月に成都イトーヨーカ堂は、国家法規に基づき「食品安全統括責任者体制」を構築し、店舗と本部で「日次管理、週次監査、月次スケジュール」の管理項目を設定しました。これにより、現場管理と検査に関する体制を強化し、責任範囲を明確化することで、食品リスクを適切に管理し、事故発生の防止に努めています。
また、2023年には、店舗に食品安全第一責任者、食品安全総監、食品安全員による管理体制を整備し、同年5月から毎月の食品安全特別検査と専門家を招いて教育も実施しています。
イトーヨーカ堂は、創業以来「顧客第一主義」を全従業員が実践すべき最も重要な行動原則の一つとしています。謙虚な姿勢でお客様に親切で良質なサービスを提供することをイトーヨーカ堂の従業員の基本姿勢としています。
イトーヨーカ堂は、お客様の声に耳を傾けることを重視しており、1997年から「顧客懇談会」を実施しています。その後、顧客相談室を設置し、SNSや電話のほか、顧客懇談会、店舗開放日など、オンラインとオフラインの多様なコミュニケーション手段を提供しています。これにより、お客様の声を的確に把握し、迅速な課題解決を図っています。
2024年に各店舗で収集したお客様の声は18,499件(前年比93.1%)となりました。
イトーヨーカ堂は、1997年の開店以来、青少年教育の支援に取り組んでいます。2007年には成都イトーヨーカ堂創立10周年を記念して100万元を寄付し、周辺の小学校4校の施設改善を支援しました。これらの学校は「伊藤友愛小学校」と名付けられ、現在も継続して支援しています。また、2015年からは、成都市次世代関心基金会と協力して「伊藤関愛基金」を設立し、農村の留守児童や在校中の優秀な大学生に継続的に寄付を行っています。
2024年、成都イトーヨーカ堂は成都市次世代関心基金に50万元を寄付し、第27回「四川大学外国語学院日語学科奨学金」を支給しました。また、2007年から支援している友愛小学校では、留守児童に対して17年間継続的な支援を行っており、無料の課外教育プログラムなどの公益活動を展開しています。
イトーヨーカ堂は、さらなる地域貢献を目指して、2009年6月に成都イトーヨーカ堂ボランティアチームを設立しました。チームは、各店舗の公益活動に熱心な従業員などで構成され、公益事業の推進に注力しています。メンバーは「他者を助け、社会に奉仕し、愛を伝え、社風の向上に貢献する」ことを活動理念としています。
2024年は、35名のボランティアが合計24回の活動を実施し、延べ参加者数は112名、総活動時間は315時間となりました。各メンバーは、情熱を持って地域に貢献し、活動を通じてイトーヨーカ堂の企業理念と地域貢献の姿勢を広く伝えています。
成都イトーヨーカ堂ボランティアチーム
中国のイトーヨーカ堂では地域に根ざした店舗づくりを目指し、中国出店当初から積極的に現地社員を登用しており、現在でも各店舗で中国人スタッフが活躍しています。
成都イトーヨーカ堂では、管理職に占める中国人社員の割合(役員を除く)は98.75%、女性スタッフの割合は70%以上となっています。女性スタッフがそれぞれの持ち場で能力を発揮できるよう、公平で多様性のある安定した就業環境の整備に一貫して取り組んでいます。
華糖ヨーカ堂においても、管理職に占める中国人社員の割合は98.7%に達しており、女性管理職の比率は25.7%(役員を除く)となっています。亜運村店の店長も女性が務めるなど、性別にかかわらず能力に応じた人材登用を行っています。
成都イトーヨーカ堂 | 華糖ヨーカ堂 | |
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従業員数 | 2,246人 | 152人 |
うちパートタイマー | 88人 | 13人 |
管理職に占める中国人の割合 | 98.75% | 98.7% |
管理職に占める女性社員の人数と割合(役員を除く) | 456人(62.64%) | 39人(25.7%) |
女性係長人数(係長職の女性比率) | 140人(57.85%) |
13人(33.3%) |
女性課長人数(課長職の女性比率) | 55人(56.14%) | 11人(15.3%) |
女性部長人数(部長職の女性比率) | 12人(46.15%) | 1人(1.4%) |
女性役員人数(役員職の女性比率) | 2人(28.57%) | 1人(1.4%) |
障がい者雇用人数(雇用率) | 42人(1.87%) | 7人(4.6%) |
成都イトーヨーカ堂は、人材の発掘・育成と企業文化・理念の継承・浸透を図り、高度な専門技術を持つ開発チームを構築するため、2023年3月に「成都イトーヨーカ堂人材開発センター」を設置しました。同センターは、会社の発展、業界の発展、社会の発展という3段階の発展を目標としており、基盤構築、組織内研修、専門機関との連携などの取り組みを通じて、学習する組織の構築と働きがいのある職場環境の実現を目指しています。
華糖ヨーカ堂は、社是・経営理念、現場社員への支援、接客サービスに関する教育内容と、お客様への質の高い商品・サービスの提供に努めています。お客様からお褒めの言葉をいただいた従業員(正社員に限らず、パートナー社員、テナント従業員、清掃作業員、警備員も含むすべての店舗スタッフ)を全体会議で表彰し、従業員の一体感、エンゲージメントの向上を図っています。
●座学教育
2024年は、全社で「成都イトーヨーカ堂専門トレーニング」を実施し、企業文化の理解、現場での接客スキルの向上、業界知識の習得と業務への活用を目指しました。研修は合計142回実施し、延べ7,098名が受講しました。
また、2023年から管理職研修を継続して実施しており、優秀で潜在能力の高い35歳以下の若手管理職を対象に、能力向上のためのトレーニングを行っています。研修コースには「企業文化」「OMOビジネス」「DXシステムの運用」「リスク分析対応」などがあり、計7回の研修に延べ203名が参加しました。
●実技教育
成都イトーヨーカ堂は、現場従業員の実践能力を強化するため、生鮮部門の従業員に対する技能レベル別研修に注力しています。生鮮部門の人材教育を強化し、業務プロセスを標準化することで、店舗間の技術格差の平準化するとともに、従業員の生産性の向上に取り組んでいます。これにより、お客様のニーズにより適切に対応し、「利益×品質×効率」の向上を図っています。
2024年は、商品仕様書の作成により業務の標準化を強化するとともに、外部専門家の協力を得て定期的な集中教育と新商品開発を実施しました。また、生鮮部門従業員の技能レベル評価を継続的に実施し、247名が受験して合格率78%の成果を上げています。
●スキルアップ教育
現場担当者を中心に、接客スキル、店舗業務、商品陳列スキル、デジタル技術、ライブ配信スキルなど、重点業務分野に関する技能研修を計41回実施し、602名が受講しました。
●認知症研修
認知症の原因と症状を理解し、売場での業務において認知症のお客様に適切に対応できるよう、3回にわたる体系的な研修を実施しました。これにより、ご本人やご家族により専門的で配慮あるサービスを提供しています。
成都における初の低炭素シーン創出プロジェクトとして、成都イトーヨーカ堂は2020年から「自然を尊重し、自然に順応し、自然を保護する」を環境理念に掲げ、ごみの分別、環境インフラの整備、廃棄物のリサイクルなどを継続しています。2024年は、24万元を投資して省エネ照明器具や設備の改修を行ったほか、生ごみと一般廃棄物を前年比35%以上、使い捨てプラスチックの使用を2%以上削減し、年間炭素排出量を約1,794トン削減しました。
華糖ヨーカ堂は、店内温度を管理する空調システムの効率的な運用に努めています。天候や気温の変化に応じて空調の運転時間や対象エリアを随時調整することで、ガスや電気の使用量を削減しています。また、施設管理業者による詳細な店舗内温度測定を実施し、温度変化に応じて空調設備の運転パターンを最適化しています。さらに、売場にはすべて省エネルギー照明設備を導入し、バックルームの照明使用量を50%に抑制するなど、電気使用量の削減に取り組んでいます。
2024年度は、店舗全体の改装に伴う飲食店やテナント店の増加により、店舗全体のエネルギー使用量(電力・ガス・水道)が増加しました。今後も、各テナントの協力のもと、店舗全体のエネルギー使用量の削減を進めていきます。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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店舗数 | 10 | 11 | 9 | 9 |
エネルギー使用量(標準炭トン) | 13,580 | 12,140 | 11,415 | 11,004 |
電気使用量 (MWh) | 107,670 | 98,783 | 92,880 | 89,537 |
ガス使用量 (1,000m3) | 563 | 684 | 359 | 412 |
水使用量 (1,000m3) | 857 | 752 | 739 | 691 |
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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店舗数 | 1 | 1 | 1 | 1 |
エネルギー使用量(標準炭トン) | 1,353 | 1,408 | 1,519 | 1,400 |
電気使用量 (MWh) | 7,912 | 7,950 | 8,921 | 7,553 |
ガス使用量 (1,000m3) | 256 | 274 | 268 | 314 |
水使用量 (1,000m3) | 63 | 54 | 65 | 50 |
成都イトーヨーカ堂、華糖ヨーカ堂でのさまざまな取り組みが認められ、2024年度は以下の表彰を受賞しました。
賞の名前 | 主催団体 |
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2024年度 社会価値貢献賞「中水再循環」水資源節約プロジェクト | 中国チェーン経営協会 |
2024年度 10大領軍企業 | 成都小売業者協会 |
2024年度 社会価値貢献賞 | 成都小売業者協会 |
2024年度 公益慈善先進単位 | 成都市次世代関心基金会 |
賞の名前 | 主催団体 |
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2024年度 納税信用B級企業 | 国税庁朝陽区税務局 |