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セブン&アイの挑戦

お客様の誠実を尽くせば必ず道は拓けると信じて

―Interview―

ヨークベニマル

大髙善興社長

東北、関東5県に店舗展開するヨークベニマルは、東日本大震災後、半数以上が営業困難な状況でしたが、短期間で順次営業を再開。たび重なる余震による崩壊や停電、そして原発事故などの困難を乗り越えながら、お客様のためにと営業を続けています。

相次ぐ大きな余震、原発問題という試練を乗り越えながら、なんとか5月中に、津波で甚大な被害に遭った石巻市の2店舗と原子力発電所周辺の5店舗を除く163店舗で「奇跡の復興」の目処がつきました。
私は常々、「店はお客様のためにある。一人ひとりのお客様に誠実を尽くすことが大切であり、その会社の哲学、理念を一人ひとりが理解・納得し、なおかつ自分で考えて判断し、行動することが重要だ」と伝えてきました。
幸いなことにお客様で大きなケガ人が一人も出なかったのは、従業員がいち早く避難誘導した結果です。また、夜明け前から並ぶお客様のために6時半から営業を開始した店、避難してきた約500人の地域住民に数日にわたって屋上での避難生活の場を提供した店など、本部と連絡がとれない中、店長が自らの判断で的確な行動をとっていました。
従業員をはじめ、その家族も少なからず犠牲になりました。自分の生活が大変な状況にあるにもかかわらず、お客様のために働く従業員の姿が、お客様からの感謝の言葉につながりました。
また、福島第1原発事故の避難指示地域の情報が錯綜したため、当初は半径30キロ圏外の店舗についても、安全が確保できないと判断し、閉店の指示を出しました。ところが、「今、私たちが営業しなければ、この地域の人は食料も水も手に入らない。営業させてください」と店長やゾーンマネジャーに懇願され、30キロ圏外の店舗ではすべて営業の再開に至りました。

セブン&アイグループに支えられて

短期間に多くの店舗が営業再開できたのは、日頃から危機管理システムを整えていたことや、物流センターを数カ所に分散させていたことがあげられます。また28社のゼネコンとチームを組み、県別に店舗復旧チームを結成。店内に流入した車両や瓦礫の撤去、建物の補修など、エリア内の店舗を次々に立て直す体制を整えられたことも大きな要因の一つです。
さらに、セブン&アイグループからの多大なる支援です。震災直後から数回に分けて、被害が大きかった福島グローサリーセンターの業務支援に駆けつけてくれたグループ会社のメンバー。商品の調達に奔走してくれたグループ各社やセブンプレミアムでお世話になっている多くのメーカーさん。韓国や台湾、アメリカからミネラルウォーターの輸入を可能にしたグローバルMDの組織力。グループの一員であることのありがたみを、大変強く感じました。

被災者へ物資を無償支援

私はこれまで「困難や試練を乗り越えた時に人間や会社は成長する。試練は宝だ」と従業員に語ってきました。ただし今回は、宝とはとても言えない状況です。けれども「困った時に、ベニマルがあってよかった」とお客様に思っていただけるようにと、命がけでがんばる従業員の様子を目にするにつれ、お客様に誠実を尽くせば必ず道は拓けると信じます。この難局を乗り越えることが大きな成長につながると信じ、力を合わせてがんばっています。

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