鈴木 海外での試合も多いと思いますが、今までに何カ国くらい行きましたか。
高梨 ヨーロッパを中心に20カ国ほど行かせてもらいました。
鈴木 それだけたくさんの地域に行っていると、その地域の習慣や文化などに驚くことも多いのではないですか。
高梨 はい、習慣も考え方も日本とはまったく違っていて、カルチャーショックを受けることもたくさんあります。しかしそこで試合をしなければいけないので、到着した瞬間からその土地のことを知り、慣れる努力をしています。
鈴木 試合で海外に行くと、どれくらいの期間滞在するのですか。
高梨 長い時は1カ所に1カ月以上滞在することもあります。
鈴木 そんなに長くなるとホームシックになったりしませんか。
高梨 行った先で楽しみを見つければ、それほど日本が恋しくなるということはありません。初めの印象が良くなくても、楽しみを見つけられれば、次に訪れた時もモチベーションを保つことができます。ですから、いろいろな場所に行った際には、散歩したりして、その土地ならではの雰囲気を楽しむようにしています。
それでもやはり試合となると、プレッシャーを感じることも多いのですが、鈴木会長もお仕事の中でプレッシャーを感じたりすることはあるのですか。そういう時はどう対処されているのでしょうか。
鈴木 私の場合は、セブン‐イレブンを導入しようとした時や、今のセブン銀行をつくろうとした時など、社内をはじめ大学の先生やコンサルタントなど、その分野の専門家や周りの人たちのほとんどに反対されました。しかし私は、そういうものができれば、お客様が便利になるだろうという思いから始めたことなので、あまりそういう反対は苦にならなかったのです。むしろ、大勢の専門家が反対することほど、成功する確率が高いと考えました。
高梨 みんなが反対する方が、かえって成功するということですか。
鈴木 そう思います。今もオムニチャネルに挑戦しています。リアルのお店とネットを融合して、お客様が24時間、どこにいても買物ができるようにすることは、将来、お客様の買物の仕方を大きく変え、流通サービスの姿を大きく変えるに違いないと確信しています。しかし多くの人は、これまでのネット通販の延長くらいにしか思わず、まだオムニチャネルの持つ力を十分には理解していないようです。
髙梨さんはネットでお買物をすることもありますか。
高梨 はい。私はいつも家にいられるわけではありませんから、届けてもらうタイミングを見計らって注文する必要がありました。
けれどもこれからはセブン‐イレブンで商品が受け取れるようになると聞いて、これは便利だなと思いました。そういう新しいことに挑戦し続けていく、その信念が大切なのですね。
鈴木 そう、自分でイヤだなと思ってしまったら、それ以上先には進めなくなるでしょう。あまり得意といえないことでも、どうしたら面白くなるだろうと考えるとあまり苦になりません。そこは、先ほど髙梨さんが、失敗があってもむしろ伸びしろがあると考えると楽しみになる、と話していたことに共通しますね。
高梨 好奇心を持って楽しみを見つけ続けていけば、成長し続けることができるということですね。
鈴木 そうですね。髙梨さんは、これからどんなところを目指していこうと考えているのですか。
高梨 記録を更新したり、優勝したりということには、自分自身の良い状態だけでなく、その時の条件を味方につける運も重要だと思います。
同時に、そうしたチャンスが来たらそれを確実にものにできる力をつけていきたいと思います。良い内容の後に結果がついてきますから。そのためにも、日々内容に磨きをかけていきたいと思います。
鈴木 今日は、大変お忙しいところ、ありがとうございました。
これからも優勝記録をどんどん伸ばして、世界中を沸かせてください。