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[対談] イノベーションの視点

オムニチャネルが「お客様中心」の流通革命をもたらす

デジタルマーケティング会社を率い、リアルとネットを
融合するビジネスを強力にサポートしている石黒不二代さんを迎えて、
オムニチャネルとは何か、セブン&アイの強みとは何かについてお聞きしました。
オムニチャネルが消費市場にもたらす根本的な変化など
流通業の将来像に及ぶ示唆に富んだ話をうかがいました。

HOST

セブン&アイHLDGS.
会長兼CEO
鈴木 敏文

GUEST

ネットイヤーグループ株式会社
代表取締役社長兼CEO
石黒 不二代

(いしぐろ ふじよ)
ブラザー工業、スワロフスキージャパンを経てスタンフォード大学ビジネススクールに留学、MBAを取得。ネットイヤーグループの創業に参画し2000年より現職。現在、経済産業省産業構造審議会委員など公職も務める。

四季報 2014年SPRING掲載

ネットとの融合でリアル店舗の売上げも伸びる

鈴木石黒さんのネットイヤーグループには、今、セブン&アイHLDGS.が進めているオムニチャネル推進プロジェクトに参画いただいています。御社はデジタルマーケティングを通じてブランド育成を支援されていますね。

石黒WEBやソーシャルネットワーキングサービスなど、さまざまな情報メディアが登場し、スマートフォンやタブレット型PCなど新たなデジタルデバイスも普及する中で、お客様一人ひとりを対象としたマーケティングが可能になってきました。私たちは、そのような情報通信環境を活用して、店舗や営業部門が実際に使える情報を提供し、きめ細かな接客サービスなどに役立てていただいています。それらを通じて、会社やブランドに対する認知度を向上させ、大ファンになってもらうことを目指しています。そのために、商品の企画などにも踏み込み、総合的なマーケティングに取り組んでいます。

鈴木昨年9月に、私どもはグループ各社のトップを含め約50名の幹部社員をアメリカ派遣し、オムニチャネル視察を行いました。オムニチャネルへの挑戦は、グループをあげての取り組みです。だからこそ、各社の幹部が寝食をともにしながら、すでにオムニチャネルの導入を進めているアメリカの百貨店などの実像にふれることは、グループ内の情報共有と相互理解を深めるための絶好の機会だと考えたのです。

石黒オムニチャネルについては、まだ深く理解されていないと思います。チャネルという名称から、流通のチャネル戦略の一つと受け取られがちですが、私はシステムや販売方法、店舗網などをお客様中心に新たに組み立てていくという、顧客戦略だと考えています。

鈴木これまでリアルとネットというと、ネット通販にリアル店舗のお客様を奪われると いうように対立的にとらえがちでした。しかし、お客様はネットだけ、リアル店舗だけを使っているわけではなく、使い分けされています。その点を考えれば、リアルとネット双方を融合した仕組みができあがれば、お客様はもっと便利にお買物ができるようになるはずです。オムニチャネルはまさに、そうしたリアルとネットの融合を実現するものです。アメリカ視察を通じて、各社のトップがリアルとネットの融合の実態を目にし、現地でディスカッションしたことで、その重要性についても共通認識を持つことができ、グループ全体が足並みを揃えてオムニチャネルに取り組む環境が整いました。

石黒実際にアメリカのオムニチャネルを見ても、リアルとネットを融合したサービスに よって、リアル店舗の売上げが伸びるということがはっきりと表れています。また、ネットを通じた商品やサービス提供についても、店舗網という顧客接点の数が多いほど有利であることがわかってきました。
 オムニチャネルでは、リアル店舗もお客様が持っているスマホも、あるいは商品をお届けする配送担当者も、大切な顧客接点になります。オムニチャネルでは、一人のお客様が、1日の中でどれだけセブン&アイの顧客接点を利用して、いくらお買上げいただいたかが重要になります。そう考えれば、リアルとネットを対立的にとらえることはないのです。

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