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[対談] ブレイクスルーのヒント

ブランドデザインは根底に流れるフィロソフィーが重要

鈴木 商品のアピールの仕方でも、全体像がなく単発に終わっていては、なかなかブランドイメージを確立するまでには至りませんね。

佐藤 私がかつて広告会社にいて限界を感じたのも単発で終わる広告キャンペーンでした。コマーシャルを打つことも大切ですが、もっと重要なのは、その根底に流れるフィロソフィーができているかどうかなのです。それがないとブランドデザインはできません。そうした全体像をつくるには、縦割りの組織では不可能です。横串を刺していかないと、進むべき方向にうまく進みません。それをしようと思うと、自然に組織も変わっていきます。

鈴木 目的を明確にすると、そうせざるを得なくなると言うことですね。目標を実現するために、いま何をすべきかを考えると、仕事の仕方は変わっていきます。

佐藤 すべては「もと」が大切なのです。冒頭に申し上げたビジョンに関しても、新しい時代に対して、次にどういうビジョンを設けられるか、時代に合わせるのではなく、その先を提示していかないと時代変化についていけません。

鈴木 セブン‐イレブンはスタートした当初から、あるべき将来を目標に、独自に新しい組織、システム、商品を自分たちでつくり出してきました。見本がなかったこともありますが、そうしてつねに新しいものをつくり出すには、世の中の変化を見続けなくてはいけなかったのです。
佐藤さんは、どのようなところから時代変化をとらえているのですか。

佐藤 私は高校2年でクリエーターになろうと決めた時から、「時代の先を読もう、読めなくてはだめだ」と思ってきました。基本的にアイデアやインスピレーションは日々の生活の中にあり、生活者としての自分と、それを外から見ているクリエーターの自分がいます。
たとえば、コンビニに行って「昔は水を買わなかったな」と思うところからひも解くと、環境の問題だったり、健康の問題だったりに突き当たります。そうすると、大きい時代の流れの方向性が俯瞰的に見えてきます。また、多くの企業と関わっていると、どこかで突き当たる問題に共通性があるので、そこからも時代の流れが見えてきます。

鈴木 なるほど。そこでも生活感覚と客観的視点が大切ですね。
本日は、貴重なご意見をいろいろうかがうことができて、たいへん参考になりました。ありがとうございました。

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