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セブン&アイの挑戦

2018年6月

物流システム
共同配送と温度帯別物流

新鮮でおいしい商品を毎日お届けする物流革新

三菱ふそうトラック・バス(株)が開発した日本初「EV配送車」を導入
 高度成長期に築かれた商品物流体制は、大量生産した商品をいかに効率的に全国に分配し、大量販売するかという視点に貫かれていました。しかし、お客様が消費市場をリードする時代に転換すると、この商品流通体制は、大きなロスを生じる「制約」へと転化していきました。こうした中で、いち早く「お客様が求める商品を、店舗が必要とする数量で、確実に供給する」という物流体制づくりに取り組んだのがセブン‐イレブンです。
 メーカーが中心になって築かれた大量物流体制は、セブン‐イレブンが求める小ロットでの配送には適合しませんでした。そこで、セブン‐イレブンが構築したのが、異なるメーカーの商品を1台のトラックに混載することで配送効率を高めながら、各店舗に小分けした商品の配送を行うという「共同配送」です。これは、複数のメーカーとの協調が必要となる難しい事業でした。メーカーに対しては物流コスト削減、店舗に対しては必要な商品の確保、お客様に対しては新鮮でおいしい商品の提供という、それぞれにメリットを生む取り組みであることを訴求。粘り強い交渉によって、1980年代に首都圏の一部地域から共同配送を開始しました。この体制を基盤として、セブン‐イレブンは、その後、温度帯別物流やコールドチェーン(低温物流網)など、次々と物流システムを革新。専用工場体制とも相まって、保存料、合成着色料ゼロなど、現在の「健康」ニーズに対応する商品提供も可能にしています。

革新

共同配送は、その後、米飯1日3便制(1987年〜)、商品の味や品質を維持するために常温・チルド・フローズンといった温度帯に分けて共同配送センターに納品し、各店舗に配送する「温度帯別物流」(1981年※〜)へと発展していきました。さらに2005年には、新鮮な野菜のおいしさを提供するため、生産、加工から店頭まで最適な温度を維持したまま配送する「コールドチェーン」を導入。物流面からも、お客様や社会のニーズにお応えする取り組みに力を注いでいます。

  • 米飯およびチルド共同配送がスタートした年

核心

共同配送は、店舗に商品を納入する配送車両を1日9台へと大幅に削減することで、地域の環境負荷の削減や交通環境の改善にも寄与しています。味、鮮度、健康など、お客様に利便性を提供するとともに、店舗やお取引先ともメリットを共有し、地域の環境にも配慮する――こうした多様なステークホルダーと価値を共有する姿勢は、セブン‐イレブンが進めるさまざまなイノベーションの基本姿勢として根づいています。

情報システム
単品管理

情報の共有と活用に向け世界にも例のないシステムを構築

商品情報画面、気象情報システムを導入(1996年)
ペンスキャナーを用いたPOSレジスター
 1970年代半ば以降、流通市場は「売り手市場」から「買い手市場」への大きな転換が進んでいました。モノ不足の時代からモノが行きわたってきた時代への変化の中で、「お客様がほしいもの」しか売れない時代が始まっていたのです。こうした中で、個店の日々の販売状況を克明にとらえ、お客様に求められていない商品(死に筋)を見極めて、お客様の求める商品を着実に導入していく仕組みが必要となりました。
 こうした変化に対応するために、セブン‐イレブンは、情報システムの活用を推進。1978年、発注専用の端末機の開発に始まり、1982年には独自の POS(販売時点情報管理)システムを導入。世界に先駆けてPOSデータを活用した「単品管理」をスタートさせました。本部、店舗、さらに物流センター、お取引先を結ぶ「総合店舗情報システム」の構築によって、相互に必要な情報を共有し、商品ごとに動きを追う単品管理を徹底する体制を構築。こうして〈客観的なデータや情報に基づく仮説を持って品揃え、販売し、実際の販売結果を検証しながら発注精度を上げ続ける独自のビジネスモデル〉が誕生。この仮説立案から販売、検証、次の施策立案までのPDCAサイクルを愚直なまでに実践し、小売業のイノベーションをリードし続ける、それがセブン‐イレブンの強さの源泉の一つとなっています。

革新

発注精度の向上などを目指して、その後、総合店舗情報システムは7次にわたって進化。「店舗地域の天候」や「店舗周辺のイベント」など個店への対応を強化してきました。2015年度に導入を開始した第7次総合店舗情報システムでは、新たな決済サービスへの対応や増加する外国人のお客様への免税対応などの機能も一段と強化されています。

核心

単品ごとに「なぜ、その商品が売れたのか/売れなかったのか」を突き詰める「単品管理」を行うことで、つねにお客様のほしい商品がほしい時に揃っているという品揃えの基本を可能にしてきました。これを支えているのが独自の情報システムです。こうした情報活用に注力し続けてきたことが、毎日の店舗販売実績などで優位性を保つ背景となっています。

売場での「おもてなし」をコンセプトに第7次総合店舗情報システムを導入

グラフィック・オーダー・ターミナル(GOT)
SCと連動して商品管理をサポートするスキャナー・ターミナル(ST)
 セブン‐イレブンは、2017年9月から、新たなPOSレジスターの導入を開始しました。これは、2015年から開始した「第7次総合店舗情報システム」導入プロジェクトの一環です。今回のシステムでは、第6次総合店舗情報システムで導入した、発注精度を高度化・最適化するための業務フロー―販売情報、商品情報、個店情報(近隣のイベント情報や天気予報など)をバックルームのストアコンピュータ(SC)に統合表示し、従業員が販売計画の仮説を立案しやすくする仕組み―をさらに使いやすく進化させています。具体的には、SCだけでなく、店内で持ち歩ける発注端末「GOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)」にも各種の情報を集約。店内にいながらにして売れ筋商品を反映した発注ができるようにするなど、従来、バックルームで要していた発注業務の時間を削減し、欠品のない売場づくりや接客強化による店舗オペレーションの改善につなげることができるようになりました。新型POSレジスターの導入を通じて、お客様の利便性と従業員の作業効率の向上を両立しています。また、最先端の技術を駆使してセキュリティ面での安全・安心を徹底。セブン‐イレブンならではの品揃えと接客の品質を高める効果をもたらしています。

より見やすく、使いやすい「第7次POSレジスター」を導入

15インチ大画面で、案内を見やすく
液晶パネルの画面サイズを大型化して文字フォントを約2割拡大することで、見やすく、わかりやすい表示にしました。

多彩な決済サービスに対応
国際ブランド決済(磁気、接触IC、非接触IC)、国内電子マネー、Apple Pay、銀聯(磁気、接触IC)など、さまざまな支払い手段に対応しています。

CO2排出量を約30%削減
省エネ技術を活用することで、現行機種に比べてCO2排出量を約30%低減しました。

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