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セブン&アイの挑戦

2.独自の商品開発

米飯、おでんを商品化 「おにぎり」をコンビニの定番に

1980年に扱っていた商品。日本の暮らしに合ったファストフードを追求してきました。
 セブン‐イレブンは、商品開発においても、ファストフードの歴史を変えてきました。「日本の暮らしに根ざしたファストフード」という視点から生まれたのが、おにぎり、弁当などの米飯類やおでんなどの惣菜類です。当時は、おにぎりや弁当は家でつくるもので、わざわざ店で買うものではないという時代でした。それでもセブン‐イレブンは、「家庭ではできないようなおいしさ、品質を実現すれば、必ず買ってもらえるようになる」と考え、1976年におにぎりの開発をスタート。「冷めてもおいしい」を差別化のポイントとして、原材料の吟味、ごはんの炊き方の研究を進め、炊飯器も独自に開発しました。

 そして1978年、「パリッコフィルム」を考案し、業界で初めてパリッとした海苔の食感が楽しめる手巻きタイプのおにぎりを発売。おにぎりは一気にヒット商品となりました。現在も、おにぎりは年間17億個も売れるヒット商品です。こうして米飯類は主力商品として成長し、日本のコンビニの代表商品となっていったのでした。

企業の枠を超えた商品開発 チームMDの確立

 当初、米飯、惣菜などのデイリー分野は、地域の中小メーカーによってつくられており、品質やマネジメントにばらつきがありました。商品の品質向上に向けて、原材料の厳選や生産方法の独自開発を進めるには、ベンダー(供給メーカー)との連携が必要でした。そこで1979年に、ベンダーによる日本デリカフーズ協同組合が設立されました。これにより、お客様のニーズや原材料などの情報を共有しながら開発を進め、味や品質の向上と均一化、ニーズの変化に合わせたタイムリーな商品提供を追求。ここにチームMDの原型が築かれていきました。

3.物流・情報システムの構築

物流イノベーション 小口、共同配送の仕組みを構築

 1976年、100店舗を突破したセブン‐イレブンは、1979年、会社設立6年にして東証2部に上場を果たしました。当時の史上最短記録でした。そして1980年には1000店舗を達成します。
 セブン‐イレブンが躍進し続けた1970年代後半、日本の消費社会は「売り手市場」から「買い手市場」へと転換していきました。その中で、セブン‐イレブンは、いち早くお客様の立場に立った品揃えを積極的に追求していきました。
 お客様の求める商品を、鮮度の良い状態で提供するために取り組んだのが、物流改革でした。当時の物流体制は、大量生産、大量販売のためにつくりあげられていたため、小規模な小売店にとっては発注・納品単位が大き過ぎ、在庫過多となって新しい商品を効率よく発注することが困難でした。
 そこでまず行ったのが、発注・納品単位を小さくすることでした。また、配送効率の向上を図るために、商品の混載、共同配送にも取り組みました。しかし、当時はメーカーごとに卸問屋や配送が系列化されており、既存の仕組みの変更には強い抵抗がありました。それでも 粘り強く説得を重ね、物流の集約化を推進し、今までにない独自の共同配送体制を構築していきました。これがやがて温度帯別物流の基盤となり、より新鮮で品質の高い商品提供を可能にしていきます。
 また、米飯類の1日3便配送など時間帯別のきめ細かな商品供給を実現。配送車両の効率的な運用が可能となり、創業当初1日あたり70台も必要だった配送車両は、1日9台へと大幅に削減されました。これは、メーカーにとっても物流コスト削減につながり、日本の物流効率化に大きく貢献することになりました。

情報システムの構築 POSをマーケティングに初使用

1978年のターミナルセブン。ここから情報システムのイノベーションがスタート。
 お客様ニーズの変化をとらえ、小さい店舗の中で効率よく商品を展開していくためには、きめ細かな単品管理と発注が不可欠です。

 1978年に、コンピューターシステムを活用した発注端末「ターミナルセブン」を開発。店舗の発注データは「ターミナルセブン」を通じて本部に集約するシステムが構築されました。また、本部からベンダーに迅速かつ正確に届けるため、1979年には専用ネットワークによるデータ送信を開始しました。

 1980年代に入ると廃棄ロスを減らすとともに、品切れによる機会損失を減らすことで、売上げおよび利益が縮小均衡に陥らないようにする必要が高まっていきました。そこで、個々の商品がどの時間帯に何個売れたか、その結果、どの時間帯には品切れが生じていたのかな ど、よりきめ細かな単品データが求められました。これに対応して1982年に導入をスタートしたのがPOS(販売時点情報管理)システムです。ここから得られるデータをもとに、仮説を立てて発注し、その結果を検証して次の発注につなげる、というサイクルが確立されていきます。このようなマーケティングにPOSシステムを応用したのは、セブン‐イレブンが世界で最初です。この単品管理と発注精度向上の努力によって、セブン‐イレブンの成長性はいっそう強化されました。

 その後もICT(情報通信技術)の高度化とともに、順次システムの高度化を進め、地域情報、天候情報など個店に密着した情報提供や、個々の商品の先行情報の提供など、その機能を拡充し続けています。

4.マーチャンダイジングの改革

価値訴求へのあくなき追求

1993年にスタートした初のオリジナルパン「焼きたて直送便」と高価値を打ち出しヒットした2001年の「こだわりおむすび」。
 1991年、バブル経済が崩壊すると、消費市場はディスカウントがブームとなり、多くの小売業は長く続く価格競争へと向かいました。しかし、セブン‐イレブンは価値を重視したマーチャンダイジングの改革マーチャンダイジング(MD)を強化し、独自の商品による「差別化」を強化していきました。

 1993年に初のオリジナルパン「焼きたて直送便」シリーズ、2000年には世の中に名店シリーズのブームを起こした「名店仕込み札幌すみれ」「博多一風堂」のカップ麺を発売。さらに2001年、高級おにぎりブームの先がけとなった「こだわりおむすび」を発売。高単価でしたが、お客様から大きな支持を得たのです。

 また、2001年には、業界に先がけてオリジナルデイリー商品における合成着色料・保存料の完全排除を実現。2005年には、コールドチェーン(低温物流網)の整備により、生産農家から工場、店舗まで、一貫した温度管理が可能になり、サラダやサンドイッチに使用する野菜の鮮度を飛躍的に高めました。

 こうした味と鮮度への妥協のない追求が、セブン‐イレブンの商品開発のDNAです。ここで培われた手法が、「セブンプレミアム」や「セブンゴールド」の開発にも活かされています。

生活インフラを支える サービス機能の充足

 2000年代に入ると、セブン‐イレブンは生活インフラとしての役割をさらに充実させていきます。1987年からスタートした公共料金等の「料金収納代行サービス」に加え、2001年にはセブン銀行のATMサービスをスタート。セブン‐イレブンに行けばいつでもお金が引き出せるという利便性は、またたく間にお客様の支持を得ました。現在、1日1台当り110件以上の利用があります。
 さらに2007年7月には、電子マネー「nanaco」を導入、決済の簡素化、待ち時間の短縮など利便性を向上させました。
 商品以外の分野でも、セブン‐イレブンはお客様のニーズの一歩先を読み取り、つねに新たなサービスを拡充してきました。

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