印刷物のデータ作成でパソコンに向かっているのは車いすの社員。刷り上がりのチェックや梱包などは、知的障がいのある社員が健常者とともに担当するなど、それぞれの適性に合わせた仕事で力を発揮しています。
さらに、設備面でも働きやすさをサポートする工夫が。たとえば、印刷機械などには安全を第一に考えて注意を促すパイロットランプが取り付けられています。また、作業台も下からエアが吹き上げ、重いものでも簡単に動かせるようになっています。こうした工夫は、障がい者だけではなく、高齢者や健常者にとっても働きやすい環境となっています。
テルベでは「めげず、たゆまず、ほがらかに」という3つの精神をモットーにしています。テルベを訪れた人は、だれもが明るい笑顔で迎えられます。
岩元保所長は「人はみな苦手なものがあります。だからお互い支え合い、助け合うことは自然なこと」と言います。
聴覚障がいのある社員は、「シイタケを買った人がおいしいと言ってくれるのがうれしい」と手話で話してくれました。
また、事故で下半身麻痺となった車いすの社員は「休みの日は、車いすバスケットやマラソンを楽しんでいます」と、プライベートも充実。年賀状の季節には、積極的に外へ出て営業も行います。
知的障がいのある社員は「みんなと一緒に働くのが楽しい。仕事が忙しいとやる気が出る」と、印刷物のチェックに集中していました。テルベではだれもが、やりがいと誇りを持って取り組んでいます。
「『障がい者だからきっと無理』といった健常者の思い込みが、一番の『障害』です」と話すのは、職業生活相談員の資格を持つ社員。企業のノーマライゼーションとは、能力の差はあっても、働く人がそれぞれの立場で等しく努力することだと言います。
テルベではこういったノーマライゼーションの普及にも努め、小中学校への出前講義や海外を含む企業からの見学受け入れなど、年間約1500人もの人々に理念を発信し続けています。