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セブン&アイの挑戦

2018年10月

セブン&アイグループの「ESG」

「農」「食」「環境」の持続可能な未来のために
― セブンファームの挑戦

日本農業の課題解決に向けた「共生」の仕組みづくり

SDGsと本取り組みの関係

 農業就業者の減少と高齢化に端を発する耕作放棄地の増加、食糧自給率の低下など、日本の農業は多くの課題を抱えています。
 こうした課題の解決には、産地の生産者と小売業者が密にコミュニケーションをとりながら農作物に関する生産情報・商品情報を共有し、消費者であるお客様に積極的においしさと安心という価値を届けていく仕組みが必要です。イトーヨーカドーではこれまで、新しい地産地消をつくる産直の仕組みや、生産者一人ひとりの「顔が見える食品。」など、市場のニーズや環境変化に機敏に対応する新しい商品やサービスを提案してきました。

リサイクルと農業振興で「セブンファーム」を全国展開

 イトーヨーカドーは2008年、生産者とともに「環境循環型農業」を行う農業生産法人として(株)セブンファーム富里を設立し、新たなビジネスモデルをつくりあげてきました。
 セブンファームの設立は、日本の農業を元気にしたいという思いと同時に、2007年に「食品リサイクル法」が改正されたことが一つの契機でした。同法によって、小売業は2012年度までに食品循環資源のリサイクル率を45%とする目標が設定されました。そこで、セブンファームではイトーヨーカドーの各店舗から出る野菜くずなどの食品残さを堆肥に変え、その良質な堆肥を使って野菜を栽培し、おいしくて安全・安心な野菜を新鮮なまま店舗で販売する「リサイクルループ」の仕組みを構築。現在では全国13カ所に農場を設置し、栽培面積は総計200ヘクタールに達しています。また、2018年度のリサイクル率は53.2%まで向上。2019年度の新たなガイドラインである55%に向けてさらなる向上を図っています。

食品残さのリサイクルループ

「小売の知恵」を活用し多彩な商品を展開

セブンファームで収穫された野菜は多くのお客様にご購入いただいています。

 セブンファームで収穫した安全・安心で高品質の作物を余すことなく、より多くのお客様にお届けするために、イトーヨーカドーではこれまで蓄積してきた「知恵」を活かしています。たとえば、大根やキャベツの場合、丸ごとより半切りの商品の方が売れる店舗には、予め加工して納品。また、サイズなどが販売規格に満たない場合も使い切りサイズやジュース、漬物などに加工。さらに、「セブンミール」で販売するなどグループシナジーも活かしています。

ステークホルダーとともに日本の農業を活性化する

 生産者とお客様をダイレクトに結ぶセブンファームは、「食育」や「地域交流」の場でもあります。各地のセブンファームでは地元の小中学生の社会科見学や職業体験に協力しているほか、地域イベントにも積極的に出展するなど、地域社会への貢献にも努めています。また、イトーヨーカドーの社員も実際に農業を体験する研修を行うことで、商品に関する知識だけでなく、モノづくりへのこだわりを学び、より質の高い接客に活かしています。
 さらに、現在力を入れているのが、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるJGAP認証の取得です。2009年にセブンファーム富里で認証取得、2019年度中には全拠点がJGAP認証を取得する予定です。
 セブン&アイグループは、今後もセブンファームの取り組みを通して日本の農業の活性化、そして環境負荷の低減に貢献していきます。

Voice 農家との絆がセブンファームの原点

(株)セブンファーム富里 代表取締役
津田 博明

セブンファームを始めて10年。既存の市場に加えてイトーヨーカドーという売り先が確保できたことで安定した出荷が可能となり、スタート時は協力農家5名、栽培面積も4ヘクタールでしたが、現在は36名、25ヘクタールまで広がり、取引金額も約10倍になりました。農業を一緒に行ううえでは、単なる契約関係だけではなく、お客様に喜んでもらえる作物をともにつくる仕事という価値観を共有することがとても大事だと思います。

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