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セブン&アイの挑戦

2017年10月

セブン&アイグループの社会貢献活動・文化事業2

八ヶ岳高原音楽堂

サロンコンサート

自然の中で上質な音を楽しむ豊かなひとときを

大自然の中のサロンコンサート

天窓からも柔らかな光が。ステージも低く観客との一体感が増します。

 午後4時、鳥のさえずりしか聞こえない深い緑に囲まれた小さな音楽堂に人々が集まってきました。開演前のひとときを、室内外で思い思いにプチサンドやワインなどのおもてなしを楽しみながらくつろいでいます。そごう・西武の別荘地である八ヶ岳高原海ノ口自然郷。標高約1500mの森の中にある八ヶ岳高原音楽堂での「サロンコンサート」は、昨年500回を超えました。クラシックを中心に、ジャズ、ポップスなどさまざまなジャンルのアーティストが集うコンサートには、別荘オーナーや近隣住民だけでなく遠方からも多くの観客が訪れ、年々リピーターも増え続けています。
 その大きな理由が、ここでしか味わうことができない唯一無二の音楽体験です。室内楽の演奏に理想とされる1.6秒という残響は、木のホールならではの柔らかで自然な音を響かせます。また、客席数は約250というアーティストの息吹が間近に感じられる空間。さらに、ここは外界音を遮断した一般的な音楽ホールとは異なり、雄大な自然の移り変わりを楽しめるホールでもあります。壁面は大きな窓ガラスに囲まれ、太陽光や夕闇の濃淡、季節によって紅葉や雪景色を背景に、時には風や雨の音を感じながら音楽を堪能することができます。コンサート後の余韻もまた、美しい星空の下で。こうした自然と一体となった演出こそが、都会のコンサートホールでは体験できない八ヶ岳高原音楽堂の魅力であり、観客のみならず、国内外の多くの一流アーティストをも魅了しています。

世界に通用するコンサートホールを

途中休憩時にも外へ出て自然を感じることができます。

 サロンコンサートのルーツは、尾張徳川家の目白の私邸を移築した八ヶ岳高原ヒュッテの前庭で、音楽好きの別荘オーナーが開催したレコード鑑賞会でした。1974年に八ヶ岳高原ロッジ(ホテル)がオープンし、「生の演奏が聴きたい」との要望から、演奏家を招きロビーで小規模のコンサートを開催するようになりました。その中の一人が、「20世紀最大のピアニスト」と呼ばれたスヴャトスラフ・リヒテル氏。その際、自然郷を気に入り「この森にふさわしい、世界に通用するコンサートホールをつくっては」と発案。リヒテル氏と日本を代表する音楽家である武満徹氏をアドバイザーとして、88年に八ヶ岳高原音楽堂が竣工しました。
 「この歴史的経緯をふまえて、自然郷は『自然と人と文化の共生』を基本理念としています。周囲の自然環境を存分に織り込んだ別荘地とホスピタリティをきわめたホテル、そして自然と一体となった音楽堂による〝癒やしと感動の場〞は、ほかにないオンリーワンの魅力を有しています」と、八ヶ岳高原ロッジの山本敏博社長は語ります。ここは、そごう・西武が育んできた「文化」へのリスペクトとお客様への豊かな生活提案の源流です。

30周年を迎えて未来を見据えて

八ヶ岳高原音楽堂の朝。八ヶ岳、富士山、秩父連峰を望む美しい自然に囲まれて。外観は山並みを摸しています。
 ここだけの魅力あるコンサートの企画もファンを惹きつけます。「別荘オーナーの声をもとに始まったというDNAを受け継ぎ、音楽堂ならではのストーリーを大切にしています。また、環境を活かしたシンプルでアコースティックな企画づくりを心がけていますが、それがアーティストの新たな魅力の発見にもつながっています。今後もさまざまなジャンルのアーティストとともにこの音楽堂の魅力を発信していきたいと思います」と企画の担当者。9月に開催する石川さゆりと矢野顕子のコラボ企画など、アーティスト自身にとって初の企画も多く、後にほかの公演につながっていくこともあると言います。

 来年、八ヶ岳高原音楽堂は30周年を迎えます。かつてリヒテル、武満両氏のプロデュースで12年間にわたって開催されてきた「八ヶ岳高原音楽祭」。30周年を機に、その「八ヶ岳高原音楽祭」の再開を目指して、すでにさまざまな特別企画がスタートしています。

 「八ヶ岳高原音楽堂の存在は、その時、その瞬間にしか観客と共有できない音楽体験を重視するという、リヒテル、武満という偉大な芸術家から後世へのメッセージだと考えています。その偉大な師の想いを受け継ぎ、かつその志を超えていけるような企画を考え、新たな音楽祭を開催すること。それが私たちスタッフ全員の夢です」

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