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セブン&アイの挑戦

2020年7月

『GREEN CHALLENGE 2050』
その現在地と未来への展望

“未来への約束”となるセブン&アイグループの環境宣言

 セブン&アイグループは、お客様の日々の暮らしを豊かにする質の高い商品やサービスの開発・提供に努めるとともに、社会の抱えるさまざまな課題の解決に取り組むことを通して、持続的な成長を目指しています。とくに、気候変動問題や資源・エネルギー問題、食品ロス問題など、環境課題の解決への取り組みは、日本を代表する小売企業グループとして果たすべき重要な責任の一つです。
 こうした認識のもと、セブン&アイグループは2019年5月、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を発表しました。同宣言では、グループの事業に密接に関わる4つのテーマを特定し、それぞれについて2030年および2050年の具体的な目標を掲げて、グループ横断で多様な施策を展開しています。

ステークホルダーとともに目標達成を目指す

 『GREEN CHALLENGE 2050』の4つのテーマでは、高い目標を設定しており、これらを達成していくためにはグループの全従業員はもちろん、全国2万2500のグループ店舗を利用されるお客様、さまざまな業界のお取引先など、多くのステークホルダーの皆様のご理解とご協力が必要です。たとえば、レジ袋の削減や賞味期限の見直しといった施策は、お客様に「価値あること」と共感していただくことで推進が可能になります。また、CO2排出量削減に向けた省エネや、資源リサイクルの仕組み創出などのイノベーションを実現するには、多くのお取引先の知見や技術、ノウハウが不可欠です。
 そこでセブン&アイグループでは宣言の発表以降、日経新聞への広告出稿や「エコプロ2019」への出展、「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷2019」への参加など社会に対する積極的な情報発信を行ってきました。その結果、さまざまなステークホルダーの方々からイノベーションにつながるアイデアや提案が寄せられ、グループ各社、各部門、各店舗において、外部企業や自治体との協業・連携による新たなチャレンジが始まっています。そうした成功事例の一つひとつをグループ全体で共有することで、目標達成を目指していきます。
 また、6月の環境月間にはグループにおいて「CO2削減キャンペーン」を計画、社内への啓発活動をいっそう強化していきます。セブン&アイグループは、ステークホルダーの皆様との連携を強化して、持続可能な社会の実現に向けた価値創出に取り組んでいきます。

セブン&アイグループの環境宣言 『GREEN CHALLENGE 2050』

『GREEN CHALLENGE 2050』WEBサイト https://www.7andi.com/csr/g_challenge.html

4つの取り組みテーマ 2050年の目指す姿
CO2排出量削減 グループの店舗運営にともなう排出量80%以上削減(2013年度比)。
自社の排出量(スコープ1+2)のみならず、スコープ3を含めたサプライチェーン全体で削減を目指す。
プラスチック対策 オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器は、環境配慮型素材(バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙、等)100%使用。
2030年までにプラスチック製レジ袋の使用量ゼロ。
食品ロス・食品リサイクル対策 食品廃棄物の発生原単位(売上百万円あたりの発生量)75%削減(2013年度比)。
食品廃棄物のリサイクル率100%。
持続可能な調達 オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する食品原材料は、持続可能性が担保された材料100%使用。

目標1CO2排出量削減

最大のテーマである店舗でのCO2排出量の削減に注力

 セブン&アイグループにおけるCO2排出量削減の最大のポイントは店舗での取り組みです。CO2排出量の約9割は、セブン-イレブン、イトーヨーカドーなどの店舗運営にともなう電力消費に由来しています。そこで、グループ各店舗ではこれまで消費電力の大きい冷凍・冷蔵設備や空調機器、照明器具について省エネ性の高い設備を積極的に導入するとともに、屋上への太陽光発電設備の設置によってCO2削減の取り組みを進めてきました。
 2019年9月には、神奈川県内のセブン-イレブン10店舗において、店舗で使用する電力のすべてを「再生可能エネルギー」でまかない、店舗におけるCO2排出量を実質ゼロとする実証実験を開始しました。従来の片面発電パネルから高効率の「両面発電パネル」に変更することで、発電効率を向上しました。また、電気自動車のバッテリーを再利用したオリジナル蓄電池を導入することで再生可能エネルギー比率を高め、さらに「卒FIT」由来の再生可能エネルギーの電力を調達することで、「CO2排出量実質ゼロ」店舗を実現しました。
 セブン&アイグループでは、イトーヨーカドーやアリオなどの大規模な店舗でも実験を行っており、多様な形態の店舗で試行錯誤しながら蓄積した知見やノウハウを共有・活用することで、グループ全体のCO2削減を推進していきます。

※卒FIT:固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り期間を終えた再生エネルギー電源。

セブン‐イレブン店舗に設置した太陽光パネルと蓄電池。

セブン‐イレブンで行った実験をアリオなどの大型商業施設にも拡大。

目標2プラスチック対策

リデュースとリサイクルの両面で活動を推進

 プラスチック対策では、商品の容器や包装材料に使用するプラスチックをできる限り削減する施策(リデュース)を強化すると同時に、使用したプラスチック資源の再利用(リサイクル)についても積極的に推進しています。
 リデュースに関しては、植物由来の包装フィルムへの切り替えや、プラスチック容器を使わない販売方法の工夫をはじめ、レジ袋削減に向けたお客様への呼びかけ、再生ポリエステルの生地を使ったエコバッグ「セブンプレミアム ライフスタイル シュパット コンパクトバッグ」の発売など、多様な取り組みを展開しています。2019年11月には「セブンカフェ」で使用するプラスチック製ストローを廃止し、植物由来原料のストローや紙製ストローに切り替えました。
 一方、リサイクルについては、2012年からグループ店舗にペットボトル自動回収機を設置し、現在、セブン-イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマートで820台が稼働(2020年2月末時点)。回収ペットボトルを100%使用した世界初の「完全循環型ペットボトル」を採用した「一(はじめ)緑茶 一日一本」を2019年6月から販売し、2020年4月からはこのペットボトルの使用を同シリーズ3品に拡大しています。さらに2020年2月発売の機能性インナーウエアのブランド「ボディクーラー」の新商品にも、回収ペットボトルから再生したポリエステル繊維を使用するなど、今後も多様な商品へのリサイクルを計画しています。
 これからも積極的な情報発信を通じて、お客様とともに取り組みを進めていきます。

ペットボトル自動回収機。

「一(はじめ)緑茶 一日一本」とそのラベル。

目標3食品ロス・食品リサイクル対策

エシカルな消費をお客様とともに推進

 セブン-イレブンでは、素材や製造工程、温度管理などを見直し、弁当やパン、惣菜の消費期限を延ばし、食品廃棄の削減に努めています。また、冷凍食品のように長期保存に適した商品の品揃えの拡充や売場の拡大を進めています。2019年7月には食品を扱うグループ4社※1で食品の納品期限を「3分の1ルール※2」から「2分の1」へ緩和する対象商品を拡大し、お取引先とともに食品ロスの削減につなげています。
 2020年度からの新しい施策として、セブン-イレブンでは5月より、販売期限が近づいたおにぎりやお弁当などの商品を「nanaco」で購入されるお客様にnanacoボーナスポイントを付与する「エシカルプロジェクト」を全国の店舗で実施しています。これは消費期限の7時間前(販売期限の5時間前)に「5%付与」と表記したシールを貼り、この商品を「nanaco」で購入されるお客様には店頭販売価格(税抜)の5%分のnanacoボーナスポイントを付与するもので、シールを貼った商品を選んでいただくことで、お客様とともに食品ロスのさらなる削減を目指しています。
 このほかセブン&アイグループでは、AIを活用した商品発注の本格導入にも取り組んでいます。より正確な需要予測によって業務を効率化するとともに、在庫の適正化による食品ロス削減をグループ全体で進めていきます。

※1 グループ4社:セブン‐イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマート。
※2 3分の1ルール:製造日から賞味期限までの最初の3分の1の期間までに納品する商慣習。

トップシール包装の技術で長鮮度化を実現しているサラダ。

「エシカルプロジェクト」で食品ロス削減を推進。

目標4持続可能な調達

海の自然と恵みを未来に引き継ぐ

MSC認証を取得した「セブンプレミアム」。

 セブン&アイグループは、生物多様性への配慮、違法な自然資本の取り引きの排除、枯渇の危機にある自然資本への配慮など5項目からなる「持続可能な調達基本方針」を定め、さまざまなステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体での取り組みを推進しています。とくに野菜、果物、肉、卵などの生鮮食品については、原材料の調達から販売にいたるすべての段階で商品のトレーサビリティ(流通履歴)を積極的に公開し、安全性・信頼性の確保に努めています。
 持続的な資源調達において、一つの焦点となるのが水産資源です。魚や貝などの水産資源は、本来は持続的な利用が可能な資源ですが、新興国の経済発展や世界的な食の多様化を背景に、近年は多くの水産資源が枯渇あるいは深刻な乱獲の状態にあります。その一方で、水産物の養殖業が世界的に拡大しており、飼料原料となる魚種の大量捕獲や乱開発による自然環境破壊などの問題も多数発生しています。
 こうした状況をふまえ、セブン&アイグループでは、イトーヨーカドーが展開する「顔が見える食品。」を中心に、「MSC認証」「ASC認証」「MEL認証」などの水産エコラベルを取得した商品の取り扱いを拡大しています。今後も海の自然と恵みを未来に引き継いでいくための活動に注力していきます。

※水産エコラベル:持続可能な方法で行われている漁業や養殖業を認証する仕組み。

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