このページの本文へ移動します
セブン&アイの挑戦
新社長インタビュー

イトーヨーカ堂が創る
新たなコミュニティのかたち

2022年5⽉

コンテンツの拡充と収益力の改善へ

株式会社イトーヨーカ堂 代表取締役社長 山本 哲也

 新型コロナによるあらゆる変化は、終息後もなお、私たちの生活や社会のあり方に影響をおよぼすと考えています。コロナ禍による人流の抑制は、さまざまな場面にリモート化をもたらし、従来は職場に通っていた人々の生活は自宅中心へと変化しました。同時に、パンデミックは人との出会いや結び付きの大切さを再確認する機会となりました。これらを背景に、社会の「豊かな生活」への要望が、人々の結び付きを強め、コミュニティをより良いものにしていく中で、ショッピングセンターや店舗にもコミュニティの質や体験価値を向上させる役割が強く求められています。イトーヨーカ堂は、地域のお客様のご要望にきめ細かくお応えするため、お取引先とも連携して物販はもちろん、学びや楽しみ、情報発信など多様なコンテンツを個店ごとに構成した館づくりを実現させていきます。
 また、館全体の価値を高め、集客力を強化するとともに、店舗構造改革による坪効率と生産性の改善、リアル店舗とネットの融合(OMO)による収益力拡大を通じて、利益構造の改善を進めていく方針です。

店舗構造改革、生産性の改善、人財育成を価値創出の柱として

株式会社イトーヨーカ堂 代表取締役社長 山本 哲也

 私たちは、2016年より約80店舗の既存店改革を進める中で、着実に店舗構造改革のノウハウを蓄積してきました。さらに、全店舗で実施しているお客様へのインタビューや来店客調査、GISなどの活用による新規顧客の開拓と客層の拡大を通じて、地域のお客様のニーズに最適な品揃え、フロア構成を実現していきます。いずれも、お客様の価値観や購買行動が変化する中で、さまざまな業務プロセスを根本から見直し、商品開発から個店の品揃えや売場づくりまでお客様視点での商品戦略を展開していきます。
 また、生産性の改善に向けては、DXの推進を通じて店内業務の効率化を図っていきます。イトーヨーカ堂では、すでにAIを活用した発注や店内製造計画の合理化によって、ロス削減、在庫コントロールの向上などの成果を上げています。今後、個店ごとに品揃えの提案や人員配置計画にAIを活用する実証実験を進めていきます。これにより、単なる業務効率化だけでなく、店舗で働く人たちに、接客応対など、より創造的な仕事の時間をもたらし、お客様へのサービス向上にも寄与すると考えています。
 リアル店舗とネットの融合という面では、イトーヨーカドーネットスーパーの配送拠点の場を、従来の店舗起点から大型センター体制へと転換、2023年度の稼働に向けて体制づくりを進めています。受注可能な件数を拡大することで、質、量ともにこれまで以上に安定したサービスの提供でより多くのお客様ニーズにお応えし、相互送客を実現、収益機会の拡大を図ります。
 当社が持続可能な成長を目指すうえで重要なのは人財の育成です。これまでは、レギュラーチェーンとして全店舗を一様にとらえた中央集権型の体制であり、店舗は本部からの指示を待つ傾向が強かったのですが、今後は個店ごとの商圏ニーズをふまえて自ら判断し、一人ひとりが積極的にチャレンジする組織風土の醸成が不可欠です。研鑽に必要な投資を積極的に進めるとともに、社員一人ひとりの努力を支援していくことで、あらゆる職位の人財育成体制を拡充していきます。

  • GIS:Geographic Information System(地理情報システム)。位置情報に加え関連するさまざまな情報を総合的に管理・加工・表示するシステム