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セブン&アイの挑戦

グループ食品戦略を支える
イトーヨーカ堂の食品事業

2022年5⽉

グループ食品戦略を支えるイトーヨーカ堂の食品事業

7000人の生産者とともにつくる「顔が見える食品。」の強み

 2021年8月、神奈川県内の一部のセブン‐イレブン店舗で、イトーヨーカ堂のオリジナルブランド「顔が見える野菜。」の販売を開始しました。2002年に誕生した「顔が見える野菜。/果物。」は、イトーヨーカ堂が安全・安心でおいしい食品をお客様にお届けすることを目的に、商品の確かなおいしさや品質を保つ環境づくりに生産者とともに取り組んできました。この安全・安心、おいしさの証として、商品ラベルには、生産者IDに加え、生産者のお名前と似顔絵を記載しています。生産者の想いやこだわりをはじめ、栽培状況や産地情報など生産履歴をホームページで確認できる仕組みのもと、「野菜。/果物。」から「お肉。」「たまご。」「お魚。」へと広がり、現在は「顔が見える食品。」として234品目(2022年2月末時点)を展開、累計販売金額は2000億円超となりました。
 セブン‐イレブンでは、お客様の青果へのニーズにお応えするため、「顔が見える野菜。」の販売を拡大していきます。生鮮食品は、従来のセブン‐イレブンが取り扱う商品とは異なる鮮度管理なども必要となるため、商品供給だけでなく店頭での管理の点でも、イトーヨーカ堂の知見をセブン‐イレブンで活かすなど、両者が一体となって取り組みを進めていきます。

生産者との強固な結び付きが食品戦略の基盤の一つ

 このような柔軟で機動的なグループ内連携こそが、セブン&アイグループの中期経営計画で成長戦略の一つの柱としている「グループ食品戦略」を支える基盤です。ウィズコロナの状況下で家庭内消費の需要が高まる中、当社グループではコンビニエンスストア、食品スーパー、ショッピングセンターなど、重層的なマーケティングと商圏把握により食品市場でのシェア拡大の機会をより高めることが可能です。加えて商品面では、とくに生鮮食品の調達において、一般的な市場買い付けから産地直送、海外輸入といったさまざまな仕入ルートがある中で、産地把握や商品の見極め、相場に関する知見など、高い経験値と専門性が求められます。
 イトーヨーカ堂では、旬の野菜を安定的にお客様に提供するため、全国各地の産地の収穫時期、収穫量を把握しながら、産地直送や市場仕入れ、海外輸入を組み合わせて店舗に供給する体制を整備してきました。さらに、マーチャンダイザー(以下、MD)が定期的に産地に出向き、生産者から多くのことを学びながら安全・安心でおいしい野菜の安定供給ができるよう、一緒に取り組みを積み重ねてきました。こうした生産者との連携は、一朝一夕ではなしえないグループの大きな強みととらえ、グループ食品戦略を力強く推進するための基盤としていきます。

「顔が見える食品。」生産者数と品目数推移

誕生から20年、進化し続ける「顔が見える食品。」

 「顔が見える食品。」は、この20年間に絶えず進化を遂げてきました。たとえば、2007年にはお客様の声を背景に有機野菜認証のついた商品の取り扱いを開始しました。また、2008年には農林水産省「基礎GAP」に基づく生産工程管理(GAP)を導入、2011年からは日本GAP協会によるJGAP認証を受けた商品の販売を開始しました。
 JGAP認証は、農具や農薬などの置き場の管理徹底、作業工程表の作成や衛生管理、薬箱の設置など120以上のチェック項目をクリアした農場が認定を得られます。管理基準や環境整備は生産者にとって非常に厳しいものですが、積極的に取り組んでいただけるよう「顔が見える食品。」を手掛けるイトーヨーカ堂のMDがJGAP指導員の資格を取得して、生産者のJGAP認証取得を意欲的にサポートするほか、JGAP認証を取得した生産者から認証取得の経緯やメリット、実際の取り組みの様子などを紹介する勉強会を開催しています。また、「顔が見える食品。」では、JGAP認証の基準に則した自己点検を導入し、2020年にはJGAP認証と同基準の内容の自己点検を義務化。その結果、多くの契約農家でJGAP認証の取得が実現し、生産者の皆様から「現場でのムリ、ムダ、ムラの解消につながって生産性が向上した」「認証マークをつけることで、より胸を張って店頭に置ける」と高い評価をいただいています。
 このように「顔が見える食品。」は、安全・安心、健康、持続可能性といったこれからの食品に欠かせないテーマに積極的に挑戦し続けて、お客様からも高く評価されています。たとえば保育園の給食にご利用いただくことで「顔が見える食品。」を通じた食育も始まっています。また、「顔が見える食品。」などを原材料として使用している惣菜ブランド「顔が見えるキッチン。」も2020年からスタートするなど、多くのお客様から愛される安全・安心のブランドとして成長を続けています。

「顔が見える食品。」独自基準に基づいた管理

改革を通じて変貌を遂げるイトーヨーカ堂の食品売場

2021年12月にリニューアルオープンした和光店
2021年12月にリニューアルオープンした和光店では、お客様ニーズのある酒類やスイーツの展開を拡大し、客数と買上点数の増加につながっています。

 イトーヨーカ堂では、これまで培ってきた商品調達や開発に関する知見やノウハウをグループ食品戦略に活かしていくとともに、自社の食品事業の強化も着実に進めています。2016年以降、お客様の購買行動の変化に対応するべく進めてきた店舗構造改革の成果をふまえ、2020年7月には組織改編を実施。惣菜とデイリー食品を統合した「デリカ」、青果・鮮魚・精肉といった生鮮食品の「マルシェ」、加工食品の「グロサリー」と、3つの部門に再編することで、より品揃えから売場づくりまでを一貫してお客様視点で対応可能な体制を構築しました。同時に、本部で商品調達や開発を行うMDと店舗への商品供給管理を行うDB(ディストリビューター)を同じ部門に統合。また、店舗への販売指導を行うSV(スーパーバイザー)を販売部門から商品部門に移して、実際の商品知識を活かした売場指導を行う体制に変更しました。このようにお客様のニーズをもとにした商品戦略を徹底することによりお客様が普段のお食事やハレの日のお食事など、目的に合わせてお買物がしやすい売場づくりに取り組んでいます。

商品コンテンツの魅力で集客力を高める

 イトーヨーカ堂では、これまでの改革の中で外部のデータも取り入れ、地域のお客様ニーズと店舗の品揃えのギャップを深掘りして調査した結果、収益性が低いといった理由から一律的に品揃えを縮小したことが、お客様のご不満につながっていたことも見えてきました。このため、改めてお客様の来店動機となる商品分野の品揃えや売場を拡大することでお客様のご不満を解消するとともに、新たな顧客獲得や買上点数の向上による坪効率の改善を図ります。
 食品売場を商圏内のお客様にとって魅力ある品揃えにすることがイトーヨーカ堂の館としての集客力アップにつながります。長くイトーヨーカ堂をご愛顧いただくために、お客様が安心できる商品を、生産者の皆様とともに提供し続ける。イトーヨーカ堂の食品売場はこれからも進化を続けます。

「顔が見える食品。」の歩み

2002年 生産者の情報がわかる安全・安心の商品として「顔が見える野菜。」が誕生。また、安全・安心を担保するための基準を策定し、クリアした商品のみ販売する独自システムを構築。
2005年 読み込むとその食品を「誰が」「どこで」育てたのかがわかる、QRコードをパッケージに記載。
2008年 農林水産省「基礎GAP」にならい、「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」が生産工程管理(GAP)を導入。
2011年 東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を受け、放射線物質検査を開始。
2012年 1年間で最もGAPの普及に貢献した取り組みに対して表彰される「GAP普及大賞」を「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」が受賞。
2020年 日本の大手小売業として初めて、環境に配慮し漁獲・養殖された水産物の認証制度である「MEL認証」を取得。ぶり、かんぱち、真鯛、平目の4種を認証商品として販売。
2021年 規格外野菜などを使用した「顔が見える野菜。クレヨン」が誕生。
2022年 「顔が見える食品。」20周年。20周年を記念したロゴの商品を発売し、特設サイトを開設。