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セブン&アイの挑戦
セブン&アイグループのサステナビリティ ワタシたちのミライへつなげる

イトーヨーカ堂 JGAP認証の取得支援の取り組み
生産者を守って、持続可能な農業を未来にも

2021年8⽉

セブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』では、「持続可能な調達」を目標の一つとして掲げています。イトーヨーカ堂では日本が抱える農業の課題に真摯に向き合い、JGAP認証の取得支援を通じて持続可能な農業をバックアップしています。

持続可能な農業

JGAP認証制度で持続可能な農業経営を推進

本取り組みに関するSDGsの目標
本取り組みに関するSDGsの目標

 日本の農業は、農業就業者の減少や高齢化などのさまざまな課題を抱えています。これらの課題を解決し、持続可能な農業のためには、個人農家であっても企業同様に経営方針を持ち、透明性のある生産工程管理で農作物に対する信頼性を高めることや、安全で働きやすい労働環境の整備などが必要になります。
 このような課題に取り組まなくては将来的に多くの農家が廃業に追い込まれてしまうのではないか。おいしい国産野菜をお客様にお届けできなくなってしまうかもしれない。イトーヨーカ堂ではこうした強い危機感を持って、10年以上前から持続可能な農業のサポートに着手。世界的な広がりをみせる「GAP認証」に着目し、その取得を支援することで生産者とともに日本の農業の課題解決を図ってきました。
 GAP(Good Agricultural Practice)とは、直訳すると「良い農業のやり方」。食品の安全や環境保全、適切な労働環境などに関するさまざまなルールを遵守することで、将来にわたって持続可能な農業経営を目指す農業生産工程管理です。日本では2007年に日本版GAP認証制度であるJGAP認証がスタート。農具・農薬の置き場の管理徹底、作業工程表の作成や作業場の衛生管理などに加え、ごみの分別や薬箱の設置など120以上のチェック項目をクリアした農場が認定を得ることが可能です。
 イトーヨーカ堂では、2002年からオリジナルの食品ブランド『顔が見える食品。』を展開し、栽培状況などの情報開示や生産者の思いをお客様に伝えることで食に対する安全・安心のニーズにお応えしてきました。
 2008年には生産者とともに農業生産法人「セブンファーム」を立ち上げ、店舗から出る販売期限切れの食品などを堆肥へリサイクルする日本初の環境循環型農業の仕組みを構築しています。こうした取り組みを推進する中で、2009年にセブンファーム富里でJGAP認証を取得。2020年には11拠点でJGAP認証を取得しました。
 『顔が見える野菜。』でも、JA(農業協同組合)や出荷組合を核とした団体認証を中心にJGAP認証の取得を推進。2009年からはJGAP認証の基準に則した自己点検を導入し、段階的に項目内容のレベルアップを図ることで、2020年には、JGAP認証と同基準の内容の自己点検を義務化しています。

イトーヨーカドー『顔が見える食品。』 ほうれん草 尾池純一さん

食の安全とともに生産者の安全・安心も守る

 JGAP認証は、消費者の食の安全を守るだけでなく、環境や生産者自身の安全・安心も守る仕組みですが、これまで自己流で農業に取り組んできた生産者にとって、取得のための管理基準は非常に厳しいことも事実でした。
 このような厳しい生産管理や環境整備に積極的に取り組んでいただけるようにイトーヨーカ堂では、JGAP認証取得農家が生産した『顔が見える野菜。/果物。』を、より安全・安心な証として“ゴールドラベル”で差別化しています。
 また、勉強会を開催し、すでにJGAP認証を取得した生産者から直接、認証取得の経緯やメリット、実際の取り組みの様子などをほかの生産者に紹介。各セブンファームでも、これから取得を目指す生産者の見学を積極的に受け入れるなど、セブンファーム近隣の生産者も含めてJGAP認証に対する認知向上に努めてきました。
 その結果、多くの契約農家でJGAP認証の取得が実現。生産者の皆様からは、「圃場(ほじょう)も倉庫もきれいになり、作業効率が上がった」「在庫管理をすることでコストが削減した」「作業中のけがが減った(労働環境の改善)」「品質が良くなり、出荷先からのクレームがゼロになった」など、さまざまなメリットが報告されています。
 人にも農地にも配慮した持続可能な環境下で作物を育てているという満足感。大切に育てた作物だからこそ、「認証マークをつけることで、より胸を張って店頭に置ける」と、多くの生産者の声をいただいています。

信頼性の高さをお客様に伝え、さらなる購買のきっかけに

 JGAP認証は、より信頼性の高い生産者を選ぶ基準ですが、一般的にはまだ十分に知られていません。イトーヨーカ堂では、生産履歴とトレーサビリティの管理で安全・安心を伝える『顔が見える食品。』と、JGAP認証を得た“ゴールドラベル”の価値を接客や販促物を通じてお客様に伝え、認知拡大を図っていきます。
 JGAP認証について正しくご理解いただくことは、お客様に日々のお買物を通して社会課題を解決するエシカルな消費に興味関心を持っていただく一助となります。イトーヨーカドーネットスーパーでも『顔が見える野菜。』を詰め合わせたセットが人気。最近では、「ゴールドラベルを選んで購入する」というお客様も増えてきました。
 おいしくて、安全だから買いたい。環境にもやさしいから選びたい。セブン&アイグループはお客様や生産者とともに持続可能な未来を見つめ、日本の農業の活性化に貢献していきます。

生産者さんの声

基準を守ることで、農薬の使用の削減を実現 地域のブランド力も高まっています

ほうれん草農家の尾池純一さん(写真左)とご家族
ほうれん草農家の尾池純一さんとご家族
「大変なこともありますが、JGAP認証を取得して良かったと感じています。ゴールドラベルを目印に、ぜひ昭和地区のおいしいほうれん草を食べてみてください」(尾池さん)

 朝晩の寒暖差が激しいことから、甘くておいしいほうれん草の産地として知られる群馬県利根郡昭和地区。この地で『顔が見える野菜。』を栽培する赤城高原ポパイ組合では、2019年に尾池純一さんをリーダーとする9軒の組合員のうち、7軒がJGAPの団体認証を取得しています。
 『顔が見える野菜。』の栽培に取り組んでいたことからトレーサビリティに関する項目はクリアできていましたが、JGAP認証ではさらに環境保全や、労働災害、労務管理などのチェック項目が付加されました。
 「二酸化炭素の削減も項目に入っているため、トラクターの燃料使用量を抑えるために伝票を保管して記録し、適正な使用量を守れているかを確認する必要があります。農家は作業優先で事務が弱いのですが、『なぜ、そうしなければならないのか』を従業員と共有し、日々の記録や在庫管理を習慣化していきました」と尾池さん。
 思いがけず困難だったのが、ほかの野菜を生産している近隣農家からほうれん草には使用しない農薬などが風で飛んでくるといったリスク。そうした農場ごとのリスクや見落としがちな項目を、JGAP認証の取得にあたってサポートをいただいた担当者の方とともに検討し、組合員の農場を一軒一軒まわって確認やフォローをしています。
 「数値化、能率化することでよりていねいに栽培することになり、産物の品質も良くなりました。とくに農薬の在庫記録をつけることで、ムダな作業が減り、より安全・安心な品質を確保できたことが昭和地区のブランド力を高めることにつながっています」

「『顔が見える野菜。』家食カレーとサラダができるセット」のomni7