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セブン&アイの挑戦

2017年8月

商品戦略、出店戦略、店舗運営の効率化を通じて販売力、収益力をさらに強化

商品・サービス力の強化

品揃えやインフラ強化によりフレッシュフードを拡大

健康ニーズに応えるサラダなどを豊富にラインアップ。
 今、米国の消費者ニーズの変化の中心にいるミレニアル世代は、SEIの客層の約5割を占めています。その食習慣の変化を象徴するのが「スナッキング」と「オン・ザ・ゴー」。忙しく動きながら、その合間に軽いものをつまむという食べ方を指しています。SEIが「6ポイントプラン」の第1にあげる「食品、飲料の拡充」では、このような食習慣の変化に対応するフレッシュフードの強化を重点施策としています。

 SEIでは、これまでもフレッシュフードの拡充に力を注ぎ、メルトサンドイッチ、チーズバーガー、チキンバーガーなどを独自に開発し、人気商品に育ててきました。このフレッシュフードをさらに成長させていくため、力を注いでいるのが日本でのチームMD(マーチャンダイジング)の手法を参考にした差別化商品の開発です。

 2017年には、わらべや日洋(株)が米国本土に初進出。独自のフレッシュフード開発と供給のプロセスづくりを加速させていく計画です。わらべや日洋は、日本でセブン‐イレブンの専用工場を展開し、ハワイでも実績を積んでいます。こうした専門家とチームを組んだ取り組みを通じて、フレッシュフードの売上構成比を、さらに高めていく方針です。

地域特性への対応と「ワンストップショッピング」への対応

 地域や店舗ごとのお客様ニーズの違いにも、きめ細かく対応しています。多様性に富む米国社会では、地域に暮らす人々の生活文化に合わせた商品の提供が欠かせません。このためSEIでは、地区MD(マーチャンダイザー)を設けて、地域性に対応した商品開発を進める体制を整えてきました。たとえば、ドイツ系住民の多い地域ではプレッツェル、ロサンジェルスではドジャースタジアムのバーガーなどの人気商品も生まれています。
 また、ミレニアル世代がもたらした変化の一つ「ワンストップショッピング」という買物スタイルへの対応も図っています。忙しい生活の中で必要な買物は一度に済ませたいというニーズに応えるため、SEIでは生活用品などの品揃えの拡充にも注力。直近では、1店舗当たり約300アイテムほど品揃えを拡大して、店舗の売上げに寄与しています。

社内開発体制を整え成長著しいPB

 さらに、お客様が求める「リーズナブルな価格と高い品質」を実現するため力を注いでいるのがプライベートブランド(PB)です。SEIは2004年より「7-Select」を展開。スタート当初は、外部の業者に開発から生産まで委託することで、主にお客様の価格志向に対応していました。しかし、高品質へのニーズに対応するため、社内で商品開発を進める体制に移行。お客様の求めている味・品質、そして価格を実現するPB商品の拡充を図ってきました。この結果、PB商品の成長率は2015年度の119%から昨年度は130%台へと大幅に伸長しています。

リアルとネットの融合で「新しい便利」を創造する

 多くのお客様がつねにネットに接続できる環境により、買物の仕方が変化している現在、これから「便利」で「快適」なショッピングを実現していくうえで欠かせないのが、リアルとネットが融合した流通サービスです。「6ポイントプラン」でも、「デジタル戦略の推進」としてあげています。具体的に取り組んでいるのは、ネット上で商品を探し出し、注文、支払いまで済ませられる仕組みづくり、そして商品の配送、店舗での受け取りなど、物流面の仕組みづくりです。SEIでは、外部の専門家と連携することで、これらのサービス基盤の構築に向けたテストに取り組んでいます。

店舗戦略と店舗運営の支援

出店戦略の推進と既存店活性化の計画的な展開

商品の売れ行きをきめ細かくチェックして、品揃えを拡充。
 現在、SEIは北米で大きく分けて4つのエリアで出店を進めています。チェーンの再編が進行している中で、SEIは、出店戦略に基づきM&Aも適宜実施しています。M&Aと新規出店を効果的に組み合わせることで、成長性の高い地域での出店を積極的に推進しています。

 一方、既存店舗については、お客様へのサービス機能を高めていくため、12年サイクルで計画的な改装を実施しています。近年のフレッシュフードの売上伸長や品揃えの変化をふまえ、改装にあたってはチルドケースやオープンケースの増設・刷新などを中心に、各店舗の実情に合わせた活性化を実施しています。

店舗運営の支援を進め販売力を強化

 北米のフランチャイズ店比率は直近で約8割に達しています。このようにフランチャイズ店舗が増加している中で、デジタル技術なども積極的に取り入れた店舗運営の効率化を進め、人時生産性の向上や販売業務への集中を支援していく方針です。その一つが「BT(ビジネス・トランスフォーメーション)」という発注から納品・検品に至るプロセスの電子化です。これによって、1店舗当たり1日約3時間の効率化につながっています。
 また、本部とフランチャイズ店間のコミュニケーションの緊密化にも力を注いでいます。社長をはじめ本部役員とフランチャイズ店オーナーとの懇談会の開催、店舗経営相談員(フィールド・コンサルタント=FC)の教育の強化などもトップ主導のもとで実施。このような取り組みと、先にあげたフレッシュフードやPB商品の拡充と品質向上、品揃えの拡大などを通じて各フランチャイズ店舗の販売力を強化。2016年度で4769ドルに達している1店舗当たりの平均日販をさらに伸ばし、2019年度には5000ドルを目指しています。

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