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四季報 VOL.148 セブン&アイグループ 新時代へのアプローチ (3)

2020年8月

ラストワンマイル

事業を横断する取り組みで消費の変化に対応する

グループ各社による多彩なサービス展開が加速

 仕事、子育て、介護など、現代の生活には日常のお買物に時間を割けない理由が数多く生じています。また、商店街など身近な店舗の減少が続き、ふだんの生鮮食品のお買物場所も遠ざかる傾向にあって、お買物に出かけることに負担を感じるお客様も増えています。こうした問題を解決するには、店舗にお客様をお迎えすることを前提とした販売だけでなく、お客様が希望する日時と場所に商品をお届けするラストワンマイルへの対応が不可欠です。
セブン&アイグループでは、成長戦略の柱としてこのラストワンマイルへの対応を着実に進めています。
グループ各社では、イトーヨーカドーのネットスーパー、セブンあんしんお届け便、セブンらくらくお届け便、セブンミールの配食サービスなど、これまでも多様なお届けサービスを展開してきました。これに加え、今年度にはサービスのリニューアルや新たなサービスのテストなども相次いでスタートしています。たとえば、イトーヨーカドー各店舗を拠点としてサービスを展開してきたネットスーパーは、よりいっそうのサービス内容の拡充とニーズ対応の強化を目指して、7月にリニューアルを実施。また温度帯別の受取りボックスを利用したセブン-イレブン店頭や保育園での商品の受け取りや店頭ドライブスルー方式などのテストも開始するなど、受け渡し形態の多様化や配送の合理化を追求して利便性の向上を図っています。さらに、ネットスーパーに大きな需要がある首都圏では、ネットスーパーの専用拠点を設置するなど、より柔軟な対応に向けた体制づくりも計画しています。また、セブン-イレブンが取り組む「ネットコンビニ」も、従来テストを進めてきた広島および北海道地区に加え東京都内にもテスト地域を拡大するなど、サービス実験を加速させています。さらに、デニーズでは、店舗の調理機能を活かしたテイクアウトとともに、この5月からは専用キッチンによる宅配サービスのテストもスタートさせています。

グループのサービス基盤を活かして、利便性の向上、配送の合理化などを実現

 いずれも、店舗、物流網などグループ各社がこれまで培ってきた事業インフラを活用するとともに、セブン&アイグループの国内2万2千店舗を超えるネットワークやデジタルインフラなどを活かし、外部企業とも積極的に連携していくことで、よりスピーディーにサービス体制の整備を進めています。さらにグループシナジーを推進し、安全・安心、快適なサービスを実現することで、お客様との接点を強化し、便利で豊かなお買物体験を提供していきます。

「イトーヨーカドー とくし丸 1号車」は冷蔵機能を備えた軽車両で、東京都八王子市を中心としたエリアを巡回して商品を販売します。

イトーヨーカドーネットスーパー

購入・配達をさらに便利にリニューアル

 多くのお客様にご利用いただいているイトーヨーカドーネットスーパーのサイトが7月29日にリニューアルしました。従来は「通常注文(当日・翌日)」のみでしたが、今回のリニューアルで「事前注文(3日~最大7日先まで)」を追加しました。また、お客様が選択する「日」「便」ごとに配送料が変わる「配送料ダイナミックプライシング」を導入。お客様の利便性を向上させるとともに、これまで夕方に集中していた配送を平準化します。さらに、購入頻度の高い商品を自動的に登録し、商品受取り店舗を自由に選択できるといった新機能を追加。注文の流れもお客様の声を反映してリニューアル、商品を選ぶ前に最初に配送する便の時間帯を選択することで、ゆっくりとお買物を楽しんでいただけるようになりました。

  • 「レシピ」機能を活用して買物時間が短縮できます。アプリ内にあるレシピを選択すると、調理に必要な材料が一覧表示。そこから自宅にある食材を外していくだけで、簡単に一括購入ができます。

  • イトーヨーカドーネットスーパーのスマートフォンアプリ。現在、通常注文(当日・翌日)の配送料は330円を上限に、受注の少ない便は「配送料ダイナミックプライシング」で店舗ごとに割引。非接触お届けの申込みも簡単に。

  • イトーヨーカドーネットスーパーは、パソコンでもスマートフォンでも利用できます。食品や飲料をはじめ、キッチン用品やコスメ、医薬品、衣料品、ホビーに至るまで多種多様な商品を豊富に取り揃えています。

デニーズ

一括調理で、より速くお届け可能に

 セブン&アイ・フードシステムズが展開するデニーズでは、5月11日に東京都品川区の既存店舗を改装し、宅配専用店舗をオープンしました。この店舗では、周辺のデニーズ9店舗で対応している宅配注文をすべて調理し梱包、お客様にお届けします。単身世帯や働く女性の増加などの社会情勢の変化に加え、シェアリングデリバリーの普及や新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛の影響もあり、デリバリー需要がさらに高まっています。
今回、宅配専用店舗を設けることで、宅配調理に集中し、注文からお届けまでの時間を短縮して、よりスピーディーにできたての料理をお届けすることが可能となります。宅配専用店舗では、パエリアなどのオリジナルメニューも展開。今後は洋食以外のメニューを提供することも検討しています。
また、エリア内のデニーズ店舗においてはピークタイムにおける宅配とテイクアウトの負担がなくなることで、店舗オペレーションの改善が見込めます。