- ホーム
- グループ
- セブン&アイの挑戦
- 「地域と共に生きる社会の実現」を目指して...
- 「生産・加工」「製造」「販売」それぞれの...
2025年2⽉
当社は三陸産わかめなど海産物の生産・加工を行っており、セブン‐イレブン・ジャパン(以下、SEJ)様とは、20年以上のお取り引きがあります。その中で大きな転機となったのが、10数年ほど前、まだ東日本大震災の影響が残る中で発生した異物が混入したトラブルです。
海で養殖される間、わかめにはさまざまな異物が付着します。これを取り除くには限界があるという、いわば業界の常識に私もいつの間にか浸っていたと、その時、気づかされました。これをきっかけに、ほかにはマネのできない品質を実現しようと決断し、生産ラインを一新して、全工程を通じて徹底して異物を取り除く加工方法を採り入れました。何か起こった時こそ、自分自身を変えていくチャンスなのだと考えて挑戦していくことが、変化への対応ということだと思います。
また、コストをかけて最高の品質を実現しても、販売価格はそのコストの積み上げで発想しないということも大切にしています。私は、いつも店舗に行って、自分で商品を買って、食べるようにしています。それによって、この商品はいくらなら買いたいかと考えます。商品の価値は、つくり手ではなくお客様が決めるもの。ですから、自分たちの製品の価格もお客様が買いたいと考える価格から逆算して考え、その価格を実現するよう経営努力を続けています。
本当のブランド力は、より多くの人に食べていただき、品質やおいしさを認めていただくことから生まれます。SEJ様との取り組みを通じて、私たち三陸の海産物を多くの人に知っていただく機会をいただいていると、いつも感謝しております。
東北限定
「三陸産わかめ」のおむすび
2024年に発売された、三陸産の生わかめを原材料に採り入れた東北地区限定商品。生わかめならではの高い香りが、お客様に人気の一品です。株式会社かわむらは、その原材料となる、高品質のわかめを生産・加工しています。
東北地区はもともと原材料の豊富な産地で、当社も地域の原材料を使用した商品開発を長年続けています。SEJ様と一体となった商品開発を通じて、私たちも地域の生産者様や地元自治体などにうかがう機会も多々あり、そこから学ぶことも少なくありません。
たとえば、宮城県の古川地区には生産者の皆様が大切にしてきた『古川なす』というブランドがあります。産地では、高温になると急速に成長して、市場の規格に合わなくなるケースも多く悩んでいらっしゃいました。しかし、当社ならカットして使用できるので、古川なすを使った商品開発を行いました。これは産地を訪れた際に生産者様にふるまっていただいたなす料理を参考にしてレシピを開発したもので、地域のお客様にも喜んでいただけました。
また、地域の伝統料理を商品化するにあたり、地元で承継に力を入れている主婦のグループにご指導いただき、地域の方に慣れ親しんだ風味のある新たなレシピの開発につながった事例もありました。このほか、コロナ禍で外食産業が営業を停止した結果、使用されずに在庫が積み上がってしまった原材料の活用について、地元自治体からSEJ様に相談がありました。その時、私たちも現地を訪ね、すぐに試作を行い商品化につなげたこともありました。このように生産者様、地域で暮らす皆様、地元自治体などとの関係はますます深まっています。それとともに、自分たちのつくった原材料が、セブン‐イレブンの商品として並ぶことは誇りに感じる、地域の活性化や後継者育成にも役立つといった生産者様の声もよく耳にします。そうした声に励まされ、私たちも新たな商品開発に取り組んでいます。
フジフーズ株式会社
セブン‐イレブン・ジャパン創業当初からオリジナルフレッシュフードの開発・製造に協力いただいてきた食品メーカー様で、NDF発足メンバーの一社。同社仙台工場(宮城県名取市)は、セブン‐イレブンが東北エリアに初出店時に協力工場として新設され、以来現在まで東北地区のバリューチェーンを支える工場となっています。『東北限定 三陸産わかめのおむすび』(こちらを参照)をはじめ、地区開発商品を通じて、地域の優良原材料や食文化を広める取り組みにも寄与していただいています。
私は、子どもの頃から周囲の人たちに喜んでもらうことが好きで、24歳の時に祖父の営んでいた酒販店を継ぎ、酒類だけでなく食品も拡充するなど、お客様が求める商品をできる限り揃えるように努めてきました。しかし、地元の問屋が減少し、お客様の注文に応えられなくなりました。これは本当に辛いことでした。その頃、成長してきたコンビニエンスストアの存在を知り、検討を重ねてセブン‐イレブン加盟店となる決断をしました。お客様が望む商品を本部が開発して、自分は商売に専念できるというのは、私にとって理想形でした。こうして気仙沼松岩店をオープンしたのが1995年です。
2009年には2店舗目の気仙沼バイパス店をオープンし、2011年2月には気仙沼松岩店をリニューアルしましたが、その翌月、東日本大震災の津波で気仙沼松岩店を失いました。それでも地域のお客様に商品をお届けしたい、早く元に戻したいと願い、跡地に仮設店舗を出し、津波の被害を免れた気仙沼バイパス店に商品を納入していただき、自分で仮設店舗まで運んで営業を続けました。その後、仮設店舗を閉店して別の場所に気仙沼松崎店をオープンしましたが、未曾有の大災害の中で、自分たちの商売が地元の人たちに支えられていることを強く実感しました。
オープン当初に比べると現在は、お客様にとってお買物をする場所は増えています。こうした中で、いかに選んでいただける店づくりをするかということも課題です。とくに高齢化が進むこのエリアではワンストップショッピングを提案できる品揃えの実現や、セブン‐イレブンだから買える、お客様に満足していただける商品が大切だと考えています。そうした中で、地元の生産品がセブン‐イレブンの商品として、世の中に出ていくことは商売する身としての喜びだけでなく、購入してくださるお客様、地域の生産者様にも喜んでいただけることであると感じます。さらに地域の味や魅力を、商品を通じて多くの人に知っていただくために、地産地消だけでなく、地産「他」消で地元の生産品が広く認められるようになればさらに良いと思います。本部には、今後もお客様の潜在的なニーズまで目を向けた商品開発や品揃えに挑戦していただくことを期待しています。