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セブン&アイの挑戦
新社長インタビュー

「製販一体」を担うグループ共通基盤を構築

2023年11⽉

株式会社 Peace Deli

製販一体の強みを発現し、新たなバリューチェーンの構築に寄与

お客様に喜ばれる「差別化された商品」を提供

株式会社 Peace Deli 代表取締役社長 和瀬田 純子
株式会社
Peace Deli
代表取締役社長
和瀬田 純子

1971年生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年セブン‐イレブン・ジャパン入社、2018年デイリー部長(執行役員)、20年セブン・ミールサービス代表取締役、22年セブン&アイ・ホールディングス出向(サステナビリティ推進部シニアオフィサー)、23年3月より現職。

 2023年3月に、精肉や鮮魚を加工する「流山キッチン」(千葉県流山市)が稼働しました。工場の安定的な稼働は、商品の品質および、お客様にご満足いただける商品の価値に直結します。そのため、ヨークベニマル(以下、YB)をはじめ、グループの支援やお取引先様のご協力をいただきながら当社も全力で取り組んできました。
 同キッチンでは、豚肉、鶏肉、ひき肉などの精肉や、わかめやしらす、紅鮭などの鮮魚やミールキットを供給しています。併せてネットスーパー向け商品の供給も行っています。従来、店内で行ってきた精肉や鮮魚の加工を当社が専門的に行うことで、店舗の作業負担を軽減し、捻出できた時間を牛肉加工など付加価値の高い作業や接客などに集中することができます。製販一体となって取り組むことで、お客様に「期待を超えるお買物体験」を提供するという好循環を生み出すことがPeace Deliの重要な使命です。
 2024年2月には、精肉のプロセスセンターと惣菜のセントラルキッチンを併設した「千葉キッチン」(千葉県千葉市)を開設予定です。そちらでは、プロセスセンターで加工した精肉を利用した惣菜や、セントラルキッチンで製造した調味料を使った味付けずみの精肉商品をつくり、家庭での時短ニーズにお応えするなど同センターの特色を活かした「差別化された商品」づくりを行っていきます。また、当社は「毎日食べても飽きない味付け」を商品づくりの基本に置いています。そのためには、添加物の使用を抑えた商品製造が必須で、工場の衛生管理が欠かせません。流山キッチンと同様、工場の安定的な稼働を実現し、毎日食べてもおいしく健康、かつどこにもない価値を提供できる商品づくりにも挑戦していきます。

グループ連携のもとで「製販一体」を推進

 製販一体という視点は、原材料調達から販売までのマーチャンダイジング全般に活かされています。当社では、工場運営に必要な専任マーチャンダイザーとともに、イトーヨーカ堂(以下、IY)と兼務のマーチャンダイザーを置いています。IYが20年以上にわたり産地と信頼関係を築いてきた証しである「顔が見える食品。」の「北国四元豚」や「ハーブ鶏」を使った商品の開発など、両社が連携して商品政策を進めています。こうした体制のもとで、従来IYとヨークで別々に行っていた商品調達の一本化など、スーパーストア事業のサプライチェーンの合理化を推進していきます。
 食品製造販売で半世紀以上の経験を持つYBとは、工場運営だけでなくレシピ開発や商品づくり、さらに当社社員の研修などさまざまな面で連携を強化しています。
 また、セブン‐イレブンのオリジナル・デイリー食品を開発・製造する「日本デリカフーズ協同組合」にも加盟し、今後、安全・安心を担保する品質管理や衛生管理をはじめとした、さまざまなノウハウを学んでいきます。
 惣菜の強化は、グループ食品戦略の中でも重点政策の一つです。当社は商品製造を通じて、政策の実現に貢献します。流山キッチンの稼働後、店舗との連携をより強化するため、店舗の皆さんの工場見学などを実施して相互理解を深めてきました。
 今後も製販一体となった取り組みを深めることで、新しいバリューチェーンの構築に寄与し、お客様に喜んでいただける「価値ある商品」を生み出してまいります。

株式会社 イトーヨーカドーネットスーパー

大型センターの稼働とグループ連携でネットスーパーは新たなステージへ

分社化による意思決定の迅速化で、サービスの質と店舗の生産性向上に寄与

株式会社 イトーヨーカドーネットスーパー 代表取締役社長 河田 靖彦
株式会社
イトーヨーカドーネットスーパー
代表取締役社長
河田 靖彦

1965年生まれ。千葉工業大学工学部卒業。88年イトーヨーカ堂入社、2016年販売促進室 室長(17年執行役員)、18年人事室長、20年取締役営業本部長(21年常務取締役)、23年3月ヨーク代表取締役社長、23年9月より現職。

 2023年8月、イトーヨーカドーネットスーパー(以下、NS)の大型センター「新横浜センター」(神奈川県横浜市)が稼働しました。近年ご注文件数が飛躍的に拡大する中で、個店を起点とした従来のビジネスモデルでは、受注キャパシティーの限界や在庫欠品などによる機会ロスが生じていました。これを大型センター化によって抜本的に改革し、店舗の負担軽減を実現します。首都圏36店舗のNSを新横浜センターに移行し、来年には「流山センター」(千葉県流山市)の稼働も予定しています。こちらに22店舗を移行することで首都圏店舗の7割のNSを大型センターで対応できる見込みです。NSと店舗では、お客様のニーズが異なる面も多く、マーチャンダイジングや設備投資などの面でNS独自の判断が求められます。そこで、2023年9月に、NSを分社化しました。これにより、意思決定や課題対応が迅速化され、お客様へのサービスレベルも引き上げられると考えています。
 大型センターを起点とした新たなビジネスモデルでは、センターを受注〜配送のハブとして、イトーヨーカドー店舗をスポーク(末端の配送拠点)とする、ハブ&スポーク体制を構築します。センター化によって受注能力を高めるとともに、配送便も午前時から午後8時まで6便体制に拡充して、配達時間に関するお客様のご不満を解消していきます。出荷・配送拠点となるセンターでは、庫内作業を大幅に機械化し、作業効率を飛躍的に高めています。さらにAIを活用した出荷予測の精度アップなども図り、生産性の一段の向上に取り組んでいます。また、イトーヨーカドーの店舗がないエリアや、赤ちゃん本舗の商品の取り扱いがない店舗エリアでも同社商品をお届け可能になるなど、品揃えの面でもお客様にメリットを提供できます。さらに、商品の受け取りでは、温度管理に配慮した新たな配送ボックスを導入して、「置き配」(商品をお客様ご指定の場所に置いてお届けする)を実現しました。

グループ連携を強化し独自のキラーコンテンツも開発

 分社後は、NSのマーチャンダイジングをグループ商品戦略本部内に設置し、セブン&アイグループとの連携をいっそう強化しています。グループで培った幅広い情報力やサプライチェーンを有効活用することで、イトーヨーカドーの商品に加え、セブン‐イレブン限定商品の販売など、品揃えも追求しています。また、Peace Deliと連携したミールキットや冷凍食品の開発、グループ各社と連携した人気商品の導入などは、グループの商品をお客様にお届けするグループ共有の配送インフラとしての役割を果たすことにもつながります。このほか、季節限定商品や銘店とのコラボ商品など独自のキラーコンテンツの開発も進めており、ほかにはない魅力ある品揃えを実現していきます。
 さらに、11月からはイトーヨーカドーネットスーパーアプリと、セブン‐イレブンアプリとの直接連携(OIDC)も開始します。これにより3000万人のアプリ会員様がさらに便利にお買物ができるようになり、両社の会員様同士がつながることによる新たなグループシナジーの創出も期待できます。
 魅力ある品揃えとすぐれた生産性を実現することで収益力を高め、ネットスーパーをグループ成長戦略の有力な成長エンジンに育成してまいります。