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セブン&アイの挑戦
セブン&アイグループのサステナビリティ

セブン‐イレブン・ジャパン50周年 特別鼎談
お客様の深層心理を紐解く新たな価値提供

2023年8⽉

今年創業50周年を迎えたセブン‐イレブン・ジャパン(以下SEJ)は、これからの50年に向けて、若年層など未来世代の価値観を知り、採り入れることで新たな価値創造に挑戦しています。今回、SDGsに配慮したブランド展開やイベントを実施する株式会社Gab様、時間栄養学を採り入れたウェルビーイング食品ブランドを展開する株式会社ドットミー様と、SEJラボストア企画部の山口 圭介が語り合いました。

セブン‐イレブン・ジャパン創業50周年

今年創業50周年を迎えたセブン‐イレブン・ジャパン(以下SEJ)は、これからの50年に向けて、若年層など未来世代の価値観を知り、採り入れることで新たな価値創造に挑戦しています。今回、SDGsに配慮したブランド展開やイベントを実施する株式会社Gab様、時間栄養学を採り入れたウェルビーイング食品ブランドを展開する株式会社ドットミー様と、SEJラボストア企画部の山口 圭介が語り合いました。

セブン‐イレブン・ジャパン創業50周年
株式会社ドットミー代表取締役 知念孝祥ジョナサン 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 執行役員 企画本部 ラボストア企画部部長 山口 圭介 株式会社Gab 代表取締役 山内 萌斗株式会社ドットミー代表取締役 知念孝祥ジョナサン 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 企画本部 ラボストア企画部部長 山口 圭介 株式会社Gab 代表取締役 山内 萌斗

「商品やモノ」の先にあるストーリーに目を向ける

セブン‐イレブン川崎登戸駅前店
セブン‐イレブン川崎登戸駅前店。2012年のストア・イノベーションプロジェクト以来、実験的な取り組みの場となっている。

山口 ラボストア企画部は2022年9月に誕生したのですが、原点は2012年、ストア・イノベーションプロジェクトとして、これまでの枠にとらわれない店づくりに挑戦したことにあります。この時、社内の議論だけでは絶対に新しいものは生まれないと考え、とにかく外に出て多岐にわたる企業の方に話を聞いたことで、さまざまな発想を学びました。たとえばあるキッチンメーカーでは、シンクの高さを決めるにあたり、キッチンに立つ人が一日何回立ち、しゃがみ、後ろを向いているかを数えて製品の設計に活かしていました。そのような他社様の手法に触れ、SEJの店づくりにも、モノの背後にあるストーリーと、それに基づく「コト発想」を採り入れる重要性を実感したのです。
山内 なぜそのタイミングでそうした活動が始まったのですか?
山口 当時のSEJは大きく業績を伸ばしている最中でした。しかしそういった状況こそ、このままでいられるわけがない、新しい発想が必要であると我々は考えたのです。
 ストア・イノベーションプロジェクトを通じて気づいたのは、お客様が求めているのは「モノ」ではなく、それを使用したり、召し上がったりして得られる「コト」だということでした。たとえば豆腐を食べる際に、食卓でどんなコトが起こっているかを従業員に聞くと、「オリーブオイルと塩で食べる」と言う人がいました。それなら点在した売場にある豆腐とオリーブオイルと塩をまとめて売ったほうが売れるのではないか。こうした“「コト」発想による売場の編集”で感じた手応えをもとに、新たな価値観やストーリーを探すことで取り組みの幅が広がり、それがラボストア企画部に発展して、前例のないオープンイノベーションを実現しています。

「正しい」ことを「楽しく」という新しい価値観

株式会社Gab 代表取締役 山内 萌斗

山口 山内さんとは「エシカル」、知念さんとは「時間栄養学」をテーマに協業することになりましたが、きっかけは我々が「新たな価値観」を探していたことでした。その背景には、創業当時のセブン‐イレブンの顧客層は主に若者でしたが、その方たちが40~50代になった現在もそのまま主な顧客層になっていて、若年層など新しい顧客にご利用いただけていない実態がありました。この状況を変えるには、我々も視野を広げ、新しい時代の価値観を採り入れていく必要があると考えたのです。
 実際に山内さんの主催されているイベント「清走中」を見て驚いたのは、「わざわざお金を払ってゴミ拾いをする」というイベントが大げさではなく毎回満員になっていること。若い世代のSDGsへの感覚を実感する思いでした。
山内 「清走中」は、親子など3~5人でチームを組み、ゴミ拾いをしながら、ミッションをこなしていくというゲーム感覚のイベントです。集めたゴミがゲームを楽しむアイテムになっています。
 企画の根底にある我々のミッションは“社会課題解決の実践のハードルを極限まで下げる”こと。現状、社会課題を解決する活動というのは、参加しづらく労力も要るため「一定の思いを持っている人しかできない」ものになりがちですが、我々はこれを「誰でもできる」ことにしたい。そのためには「正しさ」よりまず「楽しさ」が必要だと思っています。買物やイベントへの参加などが、結果として社会課題を解決することになればいいと考えています。
山口 山内さんと話をしていると、今はSDGsの考え方が小学生から習慣として染み付いていて、それを楽しむことさえできるのを実感します。Z世代、アルファ世代といえば、我々にとっては向こう30年、40年のお客様。求めていたのはまさにそういう価値観でした。

拾ったペットボトルをペットボトル回収機に投入するミッション

(左)拾ったペットボトルをペットボトル回収機に投入するミッションは、セブン‐イレブンに設置されている回収機の認知度アップにもつながっている。(右)地元エリアの小学生を中心に、親子連れでの参加が多い。

ストーリーが付加価値となり売場がそれを倍加する

株式会社ドットミー代表取締役 知念孝祥ジョナサン

山口 一方、知念さんの『Cycle.me』では、人間の持続可能性に関するストーリーにひかれたんですよね。
知念 現代社会では誰もが多忙で、手間暇かけた健康な食生活を送るのは難しくなっています。その中でどのように健康を実現するのか?ということが社会課題になっているといえます。
 従来、「健康」というと、体のために我慢して食べるというような、意識の高い人にしか実践できないようなところがあり、そのための商品も「普段の生活をちょっと健康的にしたい」という人には距離のあるものでした。ですが、私たちはウェルビーイングとは、体も心も健康で、かつ社会的に満たされていることであり、それはどんな人にも当てはまるべきものだと考えています。
 『Cycle.me』は、“普段使いできて健康になれる”食品群になってほしいと思っています。コンビニエンスストアという形態で販売することで、それが気軽に実現できると期待しています。
山口 実は正直なところ、若い世代がいかに新しい価値観を持っているとはいえ、通常より価格の高いエシカル商品や『Cycle.me』に本当にお金を払ってくれるかどうかという点は疑問に思っていました。でも実際に販売してみたら想像の倍以上は売れています。その価値観を実感できたのを何よりうれしく思います。
知念 私たちとしては、改めて実店舗の価値を感じています。コロナ禍でオンラインショッピングの裾野が広がった一方、情報過多となってしまい正しい選択が難しくなっている。その中で、手にとって商品を理解できることのメリットは大きいと再認識しました。
山内 ECは「買ったことがある」ものを買う。つまり、時間を短縮するためのものだと思うんですよね。セブン‐イレブン様で一度でも「見たことがある」商品になることが、より多くの人に広がるきっかけになるのでは、と感じています。
知念 また、今回はセブン‐イレブンの加盟店オーナー様がPOPをつくるなどさまざまな創意工夫で売ってくださっている姿に触れ、売場での価値伝達の力を感じました。

Cycle.me

セブン‐イレブンで販売中の『Cycle.me』の新商品発表会の様子。2023年6月20日からは全国2万1000店での販売がスタートした。取り扱い商品は、食物繊維の入ったお茶やゼリーのほか、「L-テアニン」を含むスナックやプロテインバーなど12品。

常に新たな価値観を「聞きに行く」姿勢を大切に

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 執行役員 企画本部 ラボストア企画部部長 山口 圭介

山口 SEJでは、都市部の店舗を中心に売上は平日が多く休日が少ないという傾向があります。ところが両社の商品には曜日特性がないんですね。むしろエシカル商品は週末のほうが売上が高かったりします。普段、その時に必要な商品だけをお買い求めになっている方が、休日、時間にゆとりのある中でこうした商品をご購入くださるというように、これまでの価値に別のストーリーが付加されたといえます。こういうストーリーを増やしていくことができれば、若年層をはじめ、今セブン‐イレブンをお使いいただけていない客層においても十分にチャンスがあると考えています。
知念 「近くて便利」というセブン‐イレブン様の価値に、『Cycle.me』の「手軽に健康に」という要素が加わることで、新たな価値が生まれるのではと感じます。
山内 エシカル商品は「訪れる目的」になるかもしれません。平日、目にしたものが気になって休日に見に行くといった形で、お客様の新たな行動パターンの創出の可能性も感じています。
山口 今までの「近くて便利」とは、「いつでも買える」という時間的な便利さと「すぐ食べられるものが売られている」という中食の便利さでした。その価値については引き続き保ちながら、さらにお客様にとってソーシャルグッドな存在に進化していかなければならないわけですが、今回両社との協業でそれが具体化しつつあるのを感じます。どんなところに価値が存在するのかを学ぶと、「便利」の概念も変わる。つまり、時間と物理的な便利だけではなくなるというわけです。
知念 私は、価値観をアップデートしていくためのキーワードは「共創」だと思うんです。次々生まれる新しい価値観に単独でついていくのは難しい。いろんな専門家集団が「共創」し、さまざまな価値とアイデアを出し合うことで、スピーディーに価値を提案し続けられるのだと思います。
山口 同感ですね。さらに人や世代によっても価値観は異なるので、やっぱりそれを聞きに行き、キャッチしようとする姿勢が必要。そして「セブン‐イレブンで置き換えたらどうなるか、どんなことが実現できるか」を常に考え、今後も新しい価値を「共創」できるお取引先様と一緒に、「コト発想」視点の挑戦をしていきたいと思います。

ムービー

この鼎談の様子は、動画でもご覧になれます。

セブン‐イレブン・ジャパン 50周年特別鼎談(4:54)