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セブン&アイの挑戦

「新しい価値」を創出し、次世代コンビニエンスストアの扉を開く
~セブン‐イレブン・ジャパン 永松 文彦社長に聞く~

2022年2⽉

セブン‐イレブン・ジャパン

個々の課題に即した柔軟な対応を図る

 当社では、2019年から「ワンフォーマットからの脱却」の方針のもと、事業の革新に取り組んできました。社会構造やお客様の生活実態が大きく変化し続ける中で、私たちのビジネスモデルはさまざまな変化に後れをとらないように対応をし続けていく必要があります。そこに新型コロナウイルス感染症の影響が加わり、お客様の価値観や購買行動の変容がいっそう顕在化しました。これまでも、品揃えをはじめとする店内レイアウト、加盟店様へのカウンセリングのあり方など、常に改善を図ってきましたが、コロナ禍の今、すべての面から見直しをかけ、個々の課題に即して柔軟な対応を進めています。
 たとえば、OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=店舗経営相談員)による加盟店様へのカウンセリングのあり方も大きく変化しています。個店ごとに立地や商圏の環境が違い、解決すべき課題の優先順位もすべて異なります。そこで「個店行為計画」をもとに、個々の店舗が抱える課題などをOFC、地区の責任者、本部が情報共有をして取り組みを進めています。
 また、コミュニケーションのあり方でも改革を進めてきました。加盟店様にカウンセリングを行うにあたって、会社方針や、意思統一の面などにおいて情報を「共有化」することは不可欠です。このため、コロナ禍であっても、現場を預かるOFCと現場を支える本部とが直接顔を合わせてコミュニケーションを行うことで、情報だけでなく「想い」や「熱意」を共有する場を持つことを大切にしています。私を含めた本部の役員も、頻繁に現場に行って加盟店様やOFCとダイレクトコミュニケーションを行い、お互いの考えや意見を交換する機会を広げています。必要に応じてリモートとリアルのコミュニケーションを組み合わせることで、コロナ禍でも加盟店様に私たちの方針へのご理解をより深めていただくことができました。

お客様の来店動機となる「面白さ」「楽しさ」の追求

北海道フェア
1月の北海道フェアに続き、今後も各地域商品のフェアを継続。

 コンビニエンスストアは、かつては通勤や通学、帰宅途中、行楽など、人が動く時や動きのある所に大きな販売機会がありました。しかし、コロナ禍によって人流が抑制され、コンビニの使われ方も大きく変化しています。自宅近くのセブン‐イレブンで、家でのお食事に必要なものをお求めいただくというように、何かのついでではなく、目的を持ってご来店いただくお客様が増加しました。このため、以前は近くのオフィスに通勤されるお客様のニーズが大きな比重を占めていたお店でも、今では店舗周辺にお住まいのお客様に支えられています。
 昨年末のクリスマス期は、過去の駆け込み需要時を除くとこれまでにないチェーン全店売上を記録しました。これは、ワンストップショッピングのニーズの高まりとともにお客様がクリスマスを家で楽しむために、ケーキだけでなく惣菜やソフトドリンク、酒類など多様な商品をお求めいただいた結果です。このように目的を持ってご来店いただくお客様を惹きつけ続けるには、セブン‐イレブンに行けば欲しいものが必ず手に入るということだけでなく、何か新しいもの、面白いものがあるという期待感を持たせ、次の来店動機につなげることが大切です。そこで、商品開発にはこれまでの味や品質の追求とともに、来店動機となる「ワクワク感」や「面白さ」を重視しています。今まで以上に発想力や創造性が求められますが、商品開発担当者にとってはやりがいも生まれています。
 面白さや楽しさのご提供の一環として、この1月には北海道フェアを全店で開催し、好評を博しました。これは、北海道地区の商品開発担当者が企画、開発した商品を全国展開したものです。セブン‐イレブンでは、このような地域に根差した原材料や食文化、地域の人気商品などを見出し、これを商品開発につなげる取り組みを強化しています。
 コロナ禍では外食産業の需要が激減し、影響を受けている農産物や海産物が多い中、各地域で地元の地産品を使った商品開発への強いご要望があります。私たちはこれまでも、各地の生産者様と連携して商品開発を進め、地域の人気商品を生み出してきました。このような地産地消の取り組みは、各地域の行政機関の皆様からも熱心な応援をいただいており、今後は地元だけではなく、ほかの地域のお客様にも各地の味覚や商品を広くご提供する「地産他消」を進めていきます。これは全国に2万1千店舗以上を展開し、全国規模で商品供給インフラを構築しているセブン‐イレブンにしかできない取り組みと自負しています。

セブン‐イレブン・ジャパン

かつての「事業所立地」を「都市型住宅立地」に店舗属性を見直し、周辺に住むお客様のニーズに対応できるように品揃えや店内レイアウトの革新に注力しています。

店舗での接客サービスがお客様との関係強化の基盤

セルフレジ
スマホレジやセルフレジなどの展開を進め、店舗業務の省力化や負担軽減を図っています。

 お客様との関係強化の面でもセブン‐イレブンならではの強みを活かしていきます。セブン‐イレブンでは、各店舗のオーナー様や従業員の皆さんが、お客様一人ひとりにていねいなお声がけや接客を通じて、新しい商品やサービスをお伝えしている姿を目にする機会が多いかと思います。これは地元に根をおろし、多くのお客様と顔見知りになっているからこその姿です。オーナー様たちは接客を通じて、より深く地域のお客様のご要望やご期待を把握し、ニーズに合った商品をおすすめできます。このお客様との距離の近さは、セブン‐イレブンならではの強みだと感じています。
 現在、レジ業務は店舗業務の35%ほどを占めています。これを軽減することで、店舗の皆さんにはこれまで以上に接客に時間を割いていただけるようになります。
 セブン‐イレブンのお客様との関係強化の基本は人と人が対面して行う接客であり、そのために店舗従業員の皆さんを対象とした集合研修なども地域ごとに開催するなど、接客サービスの質をよりいっそう高める取り組みを推進しています。
 それと同時にアプリを通じて個々のお客様との接点を強化する取り組みも進めています。すでにセブン‐イレブンアプリの会員数は1500万人を超えました。現在、アプリを通じて個々のお客様のし好やニーズに合わせた商品のご提案を進めており、今後さらにご提案の精度などを高めていくことで、お客様にご来店いただく楽しみを広げていきたいと思います。

「強み」を活かしたネットコンビニの追求

 ラストワンマイルの利便性をさらに高めるため、ネットコンビニの取り組みを加速させています。現在約600店舗(2022年1月末時点)で実施しており、2022年中には1200店舗での実施を計画しています。お客様の身近に多くの店舗を擁するセブン‐イレブンの強みを活かすことで、最短で約30分でのお届けを実現しています。これにより、お客様がご家族団らんの最中にちょっとお菓子が欲しい、飲みものが切れたという時でも、すぐに欲しい商品をお届けすることができます。また、店頭在庫と連携した注文システムを活用することで、店頭在庫から注文商品をお選びいただくことができ、欠品なく商品をお届けすることが可能です。さらに実証実験を重ねて、お客様にとっての使い勝手の良さを徹底的に追求しています。

次の成長を支えるグローバル戦略とサステナビリティへの取り組み

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 代表取締役社長 永松 文彦

 グローバル戦略は、これからのセブン‐イレブンの成長を支える重要な取り組みと考えています。昨年7-Eleven International LLCを設立しましたが、これは、米国の7-Eleven, Inc. との共同出資によるもので、セブン&アイグループのグローバル戦略の中心的な役割を担っていきます。そのねらいは3点あり、既存出店地域でのエリアライセンシーのサポート強化、新規エリアへの出店加速、そして原材料調達などの国際的な協力体制の構築です。これまでハワイやアメリカでは、セブン‐イレブン・ジャパンが国内のお取引先の協力を得て、各地域のニーズに即した形で、日本と同様に味や品質にこだわったフレッシュ・フードなどの開発や供給を支援し、各地域でお客様の支持を拡大してきました。こうした支援を、世界規模で展開し、「7-Eleven」ブランドへの信頼感をさらに高めていくことで、国内店舗のインバウンド利用を向上させ、お取引先には海外展開の機会を獲得していただくことが可能になると考えています。
 また、SDGsに向けたサステナビリティの推進も重視しています。お客様の意識も高まっており、多くの加盟店様も地域の声にお応えしようと懸命に努力されている中で皆さんと一緒に取り組むことが私たちの使命と考えています。環境課題への対応では、CO2排出量の削減を掲げており、消費エネルギーを抑えた設備の導入や各店舗における電力消費データの見える化などの「省エネ」施策はもとより、「創エネ」の領域にあたる太陽光発電パネルは、すでに8千店舗(2021年12月末時点)以上に設置しています。設置可能店舗すべてに設置する方針で、今後1万2千店舗まで拡大可能と考えています。また、オフサイトPPAによる「再エネ」の取り組みを千葉地区で開始しています。物流の面でも、お取引先と協力しながら配送ルート・配送回数の見直し、配送車両のクリーンディーゼルやEV化など、総合的に対策を進めることで、CO2排出量の削減を進めています。
 プラスチック削減に向けては、ペットボトル回収機の設置(2021年12月末時点、1351台)を進めています。さらに食品ロスの削減に向けては、商品の長鮮度化、冷凍商品の品質向上と品揃えの拡充といった取り組みを進めており、資源の持続可能性を高めるため、原材料を循環型の調達に変える努力も続けています。私たちはグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』で定めた目標の達成に向けて、着実に環境負荷低減への歩みを進めています。
 こうしたさまざまな面での自己革新を通じて、次代のコンビニエンスストアを創出していくことで、セブン‐イレブンは、今後さらなる成長を図ってまいります。