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セブン&アイの挑戦

2017年2月
特集 セブン&アイグループの成長戦略 首都圏×食品戦略 第一回

少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった人口構造やライフスタイルの変化にともない、国内における「食」を取り巻く環境は大きく変化しています。セブン&アイHLDGS.では安全・安心な食の提供はもちろん、多様化するお客様のニーズにきめ細かく対応しています。
セブン&アイHLDGS.における国内グループの食品売上げは2015年度で4兆円を超えており、直近3年間で2割増加しています。とくに、グループの店舗密度が高い首都圏での「食」のマーケットの伸びは大きく、さらに売上げを伸ばしていく大きなチャンスととらえています。

イトーヨーカドー食品館

商圏の環境に合わせた都市型小型食品スーパーを展開

異業種との初のコラボで新たな利便性を提供

 2016年12月2日、東京都足立区梅島に「食品館イトーヨーカドー梅島店」がオープンしました。梅島店は家具業界大手の(株)ニトリホールディングスが同月に開業した「ニトリ環七梅島店」の1階部分に出店したもので、異業種大型店との初のコラボレーションによる店舗として話題になりました。地元の野菜やワンハンドで食べられるオリジナルの「梅島ドッグ」などが人気で、毎日賑わっています。
 食品館は、収益性の高い食品事業の強化を目指してイトーヨーカドーが2010年から首都圏で展開している都市型小型食品スーパーです。同年10月に東京都杉並区阿佐谷に1号店を開店して以来、首都圏の総合スーパー(GMS)の出店空白エリアを中心に年間2〜3店舗のペースで出店し、梅島店は12店舗目となります。
 梅島店は、東武鉄道・東武スカイツリーライン「梅島駅」の徒歩圏内にあり、環状七号線や国道4号などの主要幹線道路にも近接したアクセス至便な場所に立地しています。週末や休日に多くのお客様を集めるニトリと、平日もコンスタントな集客が期待できる食品館。互いの強みを活かして、周辺地域の多くのお客様が、毎日楽しく便利にご利用いただける店舗づくりを進めています。

立地や商圏特性に応じた独自の取り組みを推進

 「食品館イトーヨーカドー」は、「上質」「手軽さ」「安全・安心」を基本コンセプトに、青果、鮮魚、精肉、惣菜、加工食品、生活雑貨など、購入頻度の高い商品に特化した品揃えで都市部のお客様のデイリーニーズに応えています。
 GMSの出店が難しい都市部の人口高密度エリアにおける食品館の強みは、機動性と自由度の高さにあります。店舗面積は一般食品スーパーの半分程度、商圏は1km程度を想定しているものの、基準を厳格化せず、出店地の立地環境や物件の大きさ、商圏特性などに応じてレイアウトや品揃え、オペレーションをフレキシブルに変えていることが大きな特長です。
 たとえば「早稲田店」では、駅に隣接する立地条件に合わせて、駅を利用するビジネスパーソン向けに、弁当やサラダ、飲料、デザートなど利便性の高い商品を提供。一方、食品館最大の生鮮売場を持つ「新宿富久店」では、鮮度にこだわった青果、鮮魚、精肉などを取り揃え、対面での接客販売を強化しています。さらに商圏に合わせてワンランク上の上質商品を揃え、店内でご購入いただいた弁当や焼き立てのピザを食べられるイートインコーナーも設置しています。また、都市近郊のショッピングセンター(SC)内に出店した「ららぽーと湘南平塚店」では、30品目の惣菜を揃えたバイキングコーナーを設けるなど、SCを利用する幅広い世代のお客様に向けた店舗づくりを進めています。

梅島店
惣菜のバイキングコーナーでは、約30品目のラインアップから日々12~14品を厳選して提供しています。

新宿富久店
焼き立てピザを食べられるカフェ形式のイートインコーナーも充実しています。

食品スーパーの新たな方向性を追求

 このように各店舗が独自の取り組みを展開する中で、共通しているのは「GMSの縮小版ではない」業態を目指していること。時間帯に応じた売場変更など、それぞれの店舗の工夫によって、小型スーパーならではの魅力づくりに取り組んでいます。また、商品においても、小ロットでもクオリティの高い商品を開発できる協力メーカーを開拓し、独自性の高い品揃えを追求。現在では60品目以上のオリジナル商品をラインアップしています。この中からヒット商品が生まれ、イトーヨーカドー全店に拡大したものもあります。このほか納品タイミングをきめ細かく設定した物流の仕組みを構築するなど、オペレーション面でも新たな試みで効率性を高めており、収益性の向上を図っています。
 都市型スーパーの新たな方向性を追求する食品館。さらなる成長を目指しています。

食品館の主な出店形態

駅隣接型店舗(早稲田店など)
都心の駅に隣接する立地特性を活かし、ビジネスパーソン向けの商品を充実させています。

都心型店舗(新宿富久店など)
こだわりの商品や上質商品の品揃えを強化。お買物の楽しさを提供しています。

ショッピングセンター内店舗(梅島店など)
ショッピングセンター内に出店。惣菜のバイキングコーナーなどを設置し、各世代のお客様のニーズに応えています。

イトーヨーカドーからの転換店舗(三ノ輪店など)
イトーヨーカドーをスクラップ&ビルド。地域のお客様にとって、より魅力的な店舗に生まれ変わりました。

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