これまでも素材の共同調達などを通して連携を深めてきたイトーヨーカドーとそごう・西武ですが、今回のシャツは素材だけではなくデザインから縫製までを共同で行い、同じ商品を両社で展開するという、まったく新しい取り組みです。
紳士ドレスシャツの価格は、GMSでは2000円〜3000円台が中心であり、百貨店では7000円台が核でした。その中間の5000円前後の価格帯で、高品質でファッション性の高いシャツを販売すれば、お客様の潜在ニーズを取り込めるのではないか――。そんな仮説か ら商品開発は始まりました。
両社の担当者が「もっともこだわった」と口を揃えるのは素材。超長綿を使用した超細番手の100番の糸を2本撚り合わせた「100番双糸」を高密度で織りあげた高級生地を使用しました。この生地に、やわらかさとツヤ、ハリを与える加工をし、さらに防シワ加工も施して、素晴らしい肌触りとイージーケア性を両立させました。
デザインや縫製も、細部までとことんこだわりました。襟型は、開き角度がレギュラーよりやや広いセミワイド。ネクタイをしてもしなくてもおしゃれに決まるデザインです。襟の高さは、かっこよさを追求しつつ、なおかつ息苦しさを感じさせない絶妙な高さに仕上げ、幅広い年齢層のニーズに応えています。
カフスは、手首に優美にフィットするカービングカフス。ボタンは、独特の光沢と留めやすさが魅力の天然の貝ボタンを使用し、厚さは、美しさと留めやすさ、耐久性を兼ね備えた2ミリに。なおかつ襟元とカフスのボタンについては、着脱がしやすいように根巻き処理をして、ボタンを生地から少し浮かせています。
脇と袖付け部分には、耐久性と美しさにすぐれた巻き伏せ縫い(2枚の布地の端を巻き込むように縫う)を採用。より美しく見えるようにステッチの幅は3ミリに。縫い代の始末など見えない部分も丁寧に仕上げ、見た目の美しさと丈夫さ、そして着心地を追求した1着となっています。
昨年11月から先行販売となったイトーヨーカドー グランツリー武蔵小杉店と西武池袋本店では、サイズ別の棚段陳列だけではなくハンギングにこだわったほか、従来品の生地と並べて陳列し、お客様が実際に触れて肌触りや着用感を実感していただける工夫をしています。イトーヨーカドーでは、お客様に商品価値を伝えられるよう、全国の店舗で販売員研修を実施しました。
サイズは、日本人男性のおよそ9割に対応可能な50サイズで展開。他ではあまり扱いのない端のサイズは、まとめ買いされる方も目立っています。お客様からは、「普段使いできる、こういう上質なシャツがほしかった」「冠婚葬祭にも使えるからうれしい」といった声をいただいています。
そして、価格は5292円(税込)を実現。イトーヨーカドーでは百貨店レベルの上質さと価値を、そごう・西武ではかつてないサイズ展開と百貨店としては値ごろな価格を実現したことで、両社ともにお客様の幅を広げる効果を上げています。
お客様が求める上質なシャツとはどのようなシャツなのか、2社間で共通の認識を持つことに始まり、素材や縫い目やボタンの仕様まで、一つひとつに関してお互いが納得するまで話し合いを重ねたことで仕事の質が深まり、それが商品の品質につながりました。
それぞれの担当者が高いプロ意識と情熱を持ってがっちりスクラムを組んでつくりあげた紳士ドレスシャツ。セブンプレミアムで培った業態を超えた商品開発と展開の手法が衣料にも活かされることで、グループの商品開発に新たな可能性を切り開きました。春には、新たな色や柄も展開予定。今後は婦人シャツにも拡大していきます。