セブン&アイの挑戦

かつての破綻会社がグループ2番目の利益会社に

 2012年度(※1)、米国セブン‐イレブン・インクの営業利益は4億7832万ドル(前年比116.6%)と、セブン&アイHLDGS.連結決算ではセブン‐イレブン・ジャパンに次ぐ規模となり、利益貢献を果たしています。
 これは、1991年にセブン‐イレブン・インクの前身サウスランド社(※2)が経営不振に陥って以来、セブン‐イレブン・ジャパンが長年にわたって改革を進めてきた成果です。
 90年代、アメリカでは大手コンビニチェーンが次々に姿を消していき、流通専門家や研究者たちの間では「コンビニの時代は終わった」とさえ言われていました。しかし、それは目の前のお客さまニーズにきちんと対応できていなかったのが原因でした。商圏ニーズに合った魅力ある商品の供給やきめ細かな店舗オペレーションが不十分だったことに加え、非効率な物流オペレーションなど、ムダも多かったのです。

  • 1 セブン‐イレブン・インクの事業年度は1月~12月
  • 2 サウスランド社は1999年セブン‐イレブン・インクに改称。以下、サウスランド社時代を含め、本記事ではセブン‐イレブン・インクと呼称します。

お客様の立場に立った経営改革を推進

 91年からの経営改革では、意識改革をベースに店舗運営やMD(マーチャンダイジング)などの改革を推進するとともに、財務体質の立て直し、物流のアウトソーシング化など経営全般の抜本的な改革に挑戦。日常化していたディスカウント販売の廃止、単品管理に基づくお客様ニーズに合わせた品揃えの追求、さらに接客サービスやクリンリネスなど基本4原則の徹底を図りました。また、MDでは、サンドイッチなど味と鮮度、品質を重視した商品開発に注力。FF(フレッシュフーズ)の主力商品化を進めました。
 こうしてお客様視点での改革を進めた結果、セブン‐イレブン・ジャパンの経営参画3年目にあたる93年度には、単年度黒字化を達成。また、こうした成果を背景に米国内の加盟店オーナーさんたちの単品管理への理解も進み、やがて「TANPINKANRI」が店舗経営に欠かせない用語として定着するに至りました。
 このような改革が実を結び、全店商品平均日販は92年には約2300ドル(ガソリン売上げを除く)だったものが、12年度には約4400ドル(同)にまで増加(前年比100.3%)しました。

2005 年に就任したデピント社長は、幹部とともに現場に入り込んで意識改革を実行し、売上げ改善に成果をあげました。今年開催した商品展示会では、全米のオーナーを招いて、直接語りかけました。

サンドイッチなどのファストフーズやPB商品「セブンセレクト」を、差別化商品として強化。

積極的なM&Aの推進と日米の協力体制をさらに強化

 MD改革、オペレーション改革と並行して、事業の拡大にも本格的に着手しました。

 91年当時、6000店強だった店舗数は、2010年以降の積極的なM&Aにより、12年度には8000店を超えるまでに増加しました。コンビニ経営から撤退する石油大手系や地域の小規模チェーンなどのM&Aも含め、新規店舗の開発を積極的に推進。12年度は約1000店を新規出店しました。今後、アメリカのコンビニ業界は、ますますM&Aによる集約化が加速する様相です。

 05年にはセブン‐イレブン・ジャパンが、セブン‐イレブン・インクを完全子会社化したのを機に経営陣を一新。さらに改革のスピードが加速していきました。FFの強化をはじめとしたMDの改革、店舗オペレーションの強化をさらに追求。

 これに応えてセブン‐イレブン・ジャパンは2012年度から、従来米国に派遣していた4名に加え、幹部社員を含む6名の社員を派遣。トップマネジメントとより緊密に意思疎通を図り、米国内での店舗オペレーション改革などに協力しています。

「日本のノウハウをこれからも注入し、単品管理の精度を向上させ、平均日販のさらなる向上を図ります。一方でM&Aについては、案件ごとに十分精査しつつ、慎重に進めていきます。さらに日米が協力し、今後は世界のセブン‐イレブンに対しても経営支援を行なう予定です」と、セブン‐イレブン・ジャパン企画室長。

 今年3月にはラスベガスに全米からオーナーさんを招いて、商品展示会を実施するなど、商品力と店舗経営のさらなる強化に向けた、新たな挑戦もスタートしています。

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