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そごう・西武労働組合によるスト予告通知を受けて

2023年8月28日

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

この度、そごう・西武労働組合より、2023年8月31日にストライキ(以下、「本件ストライキ」という。)を予告する声明が公表されましたことを受け、当社としての見解を以下の通りお知らせいたします。

 

                                                                                  記

 

  1. 1.これまでの当社の取り組み

 

  • (1)そごう・西武の雇用維持及び事業継続に関して

 当社は、2022年11月11日の「当社子会社の株式譲渡及びそれに伴う子会社異動に関するお知らせ」において公表致しました通り、当社子会社である株式会社そごう・西武(以下、「そごう・西武」といいます。)につきまして、同社の成長性及び効率性の向上を促し得るベストオーナーとしてFortress Investment Group LLC(以下、その関連事業体と総称して「フォートレス」といます。)を選定し、同社の株式譲渡(以下、「本件譲渡」といいます。)の完了に向けて交渉を重ねてまいりました。これは百貨店業界の事業環境が年々厳しさを増す中、当社及びそごう・西武の最大限の経営努力にもかかわらず、当社グループによるそごう・西武の成長を実現することができず、当社グループの経営資源による事業構造改革ではお客様への提供価値及び事業価値の最大化を図ることは困難であるとの経営判断に基づくものです。

 そごう・西武は、ブランド力や顧客に対する優れた提案力及び接客力、優良な店舗立地を背景とした集客力を保持しており、お客様、お取引先、地域社会など広く社会の皆様にご提供できる価値は少なくありません。しかしながら2023年2月期において4期連続の最終赤字となるなど、大変厳しい経営成績が続いており、有利子負債も約3,000億円に達しています。とりわけ、この厳しい状況下で、新たな成長投資に向けて必要な資金につきましても、金融機関からの借入も困難な状況であり、当社グループによるファイナンス等の支援も年々増大しております。

 当社グループでは、2021年7月公表の「中期経営計画2021-2025」及び2022年4月公表の経営メッセージ「世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して」にお示しした通り、コンビニエンスストア事業を成長戦略の中心とし、事業ポートフォリオの見直しと最適な運営に向けてアクションを加速している最中です。このグループ経営方針のもとで、今後そごう・西武に経営資源を投下し続ける事は困難であると判断し、当社グループの債権放棄を含む一定の損失計上も前提として、そごう・西武の再成長の実現に資するベストオーナーに経営を委ねる決断を下しております。具体的には、そごう・西武が再成長を実現するため、①有利子負債の返済を通じ、抜本的な構造改革を速やかに進める体制の構築が不可欠であり、②その上で新たなオーナーシップの下での成長戦略に舵を切ることが、真の「雇用維持」及び「事業継続」を実現する上で不可欠であると判断いたしました。

 

 

(2)現状の打開に向けて

 本件譲渡の公表以来9カ月が経過しており、そごう・西武のお客様、お取引先様、従業員等のあらゆるステークホルダーの皆様に少なからぬご心配、ご不安が広がるとともに、西武池袋本店を始め各店舗の事業運営にも悪影響が生じております。また、本件譲渡の遅延は、譲渡完了後にフォートレスの下で期待されるそごう・西武の成長投資が速やかに実行出来ない状況を招いております。

 これらの状況も踏まえ、そごう・西武の雇用維持及び事業継続に最大限配慮したリニューアルプランにつき、当社では改めてフォートレスに要請を行ってまいりました。その結果、フォートレスからも、本件譲渡後の再成長に向けてそごう・西武の財務基盤を整えるとともに、百貨店事業の潜在的価値を最大限に引き出し、事業基盤をさらに飛躍させるプランが提示されるに至っております。当社では、このように着実かつ誠実に本件譲渡に係る課題解決に向けた環境を整えており、本件譲渡によるリニューアルプランの実行によって、そごう・西武の速やかな再成長を期する時機に至っているものと判断しております。本件譲渡の一日も早い実現こそが、雇用維持及び事業継続に最も資するものであり、当社及び株主の皆様をはじめとする当社のステークホルダーの皆様の最善の利益に合致するものと確信しております。

 

  1. 2.これまでそごう・西武が誠実な協議を続けていたこと

 

 本件譲渡の公表後、そごう・西武は、そごう・西武労働組合が要請する社員の雇用維持及びそごう・西武の事業継続に関する団体交渉及び協議において、そごう・西武がフォートレスの協力を受けて真摯に作成した本件譲渡後のそごう西武の再生計画(なお、本件譲渡後の事項となりますが、正式な事業計画は、そごう・西武が、お取引先様との協議等を踏まえて本再生計画を更に精緻化した上で決議することとなると想定しております。)や雇用維持に関する方針について詳細に説明し、当社も、当該協議においてそごう・西武に対する支援を行って参りました。そごう・西武は、本日に至るまで、そごう・西武労働組合との間で、当社が関係人として参加したものだけでも4回に亘り団体交渉を実施し、本件譲渡の背景・内容及び再生計画について、下記3.の事項も含め、詳細な資料を用いて説明し、その内容について協議を継続してまいりました。また、当社に加えて、フォートレスの協力の下、そごう・西武労働組合からの質問に対して、誠実に回答しています。そごう・西武は、本件譲渡後も、そごう・西武労働組合との間で、雇用維持及び事業継続に関する団体交渉及び協議を継続することを明確にしており、当社も、そごう・西武による団体交渉や協議に関与者として適切な範囲で参加することをお伝えしています。

 

  1. 3.当社による本件譲渡後における雇用維持への協力

 

 上記1.においてご説明しました通り、そごう・西武は、4年連続赤字を計上し、約3,000億円の過剰な債務を抱えるという厳しい経営環境にあるところ、本件譲渡は、そごう・西武における雇用維持及び事業継続に最も資するものと考えております。当社は、本件譲渡を実施しない場合、西武池袋本店の不動産を保有したままでのそごう・西武の経営は厳しく、そごう・西武の事業は大幅に縮小されることとなると考えております。その結果として生じる余剰人員は本件譲渡における見込みを大きく上回ることが予測され、事業継続が困難になると考えられます。

 

 しかしながら、小売事業に従事する当社グループにおいて、従業員の雇用が確保されることは極めて重要です。そしてそれは本件譲渡により当社グループを離れることとなるそごう・西武の従業員の皆様についても同様であり、当社が本件譲渡を行うに際して目標としたそごう・西武における雇用維持及び事業継続を目指すという目標は些かも揺らいではおりません。

 そのため、当社は、上記のとおり、そごう・西武の雇用維持及び事業継続に最大限配慮したリニューアルプランにつき、フォートレスに要請を行い、フォートレスから、本件譲渡後の再成長に向けてそごう・西武の財務基盤を整えるとともに、百貨店事業の潜在的価値を最大限に引き出し、事業基盤をさらに飛躍させるプランが提示されております。そして、本件譲渡後、そごう・西武の経営はそごう・西武と新たなオーナーであるフォートレスの責任の下で行われることになり、仮に、西武池袋本店のリニューアルのために、そごう・西武の正社員に余剰人員が生じた場合、そのような余剰人員も、上記のとおり一義的にはそごう・西武による新規事業や他店への配置転換等により対応される予定ですが、当社としても、当社グループにおける人員の受け入れを含めフォートレス及びそごう・西武に適切な範囲で協力し、また、そごう・西武による団体交渉や協議に関与者として適切な範囲で関与を継続する予定です。

 

4.本件譲渡に対する当社の考え方

 

 そごう・西武労働組合から、団体交渉を含む協議の過程において、本件譲渡それ自体に反対するものではない、また、ストライキ権の確立は、そごう・西武における雇用維持及び事業継続に関する情報提供を目的としていると伺っております。

 そごう・西武は本件譲渡後、株主となるフォートレスの下で、当社グループによる信用力の補完なく、独立した企業として事業を運営することとなります。そして、事業継続に関し、そごう・西武及びフォートレスは、本件譲渡後に西武池袋本店のリニューアルを計画しており、池袋という首都圏有数のターミナル駅に直結した優良な立地に、他の主要百貨店と比較しても遜色のない営業面積を確保する長期の賃貸借契約を締結する予定です。また、フォートレスによれば、そごう・西武の経営の大きな負担となっている約3,000億円の債務は、本件譲渡後の西武池袋本店の不動産の売却等によりすべて弁済されるとのことであり、そごう・西武はフォートレスとも協議の上、これらを踏まえた再生計画を策定しております。また、雇用維持に関しては、上記のとおり、西武池袋本店のリニューアルに伴い余剰人員が発生する可能性もありますが、 一義的にはそごう・西武が配置転換等により対応し、当社も適切な範囲で人員の受け入れを含め協力する予定です。そして、このようなフォートレスの下でのそごう・西武の再成長に向けた道筋については、これまでそごう・西武労働組合に説明してまいりました。

 

 西武池袋本店の不動産に関しては、上記のとおり長期の賃貸借契約を締結する予定であり、賃貸借契約であっても継続的に売上を上げ、採算性を上げていけば事業継続は可能と考えられます。また、一般的に、建物貸主として、他の主要百貨店と比較しても遜色のない営業面積を占有することとなるそごう・西武に代替するテナントを確保することは容易ではありません。本件譲渡後、そごう・西武が、人材を含む経営資源を活用し、自らの力で成長性及び効率性の向上を目指すことができる環境を整える上で西武池袋本店に係る施策は不可欠であり、また、西武池袋本店の存続を含めたそごう・西武の事業継続は、そごう・西武によるお客様への提供価値の最大化を通じた事業の発展により実現されるものであると考えております。このような観点からは、当社は、本件ストライキが行われることにより、今後のそごう・西武の事業運営や上記の再生計画の実行に支障が生じることを危惧しております。

 

 団体交渉を含む協議の過程においては、そごう・西武からそごう・西武労働組合に対して十分な説明が実施され、そごう・西武労働組合からの質問に対して回答がなされています。加えて、上記のようなそごう・西武の状況及び本件譲渡後の西武池袋本店のあり方につきましては、豊島区をはじめとする地域関係者等のステークホルダーの皆様から同店存続に関する強いご要望をうかがい、計画を取りまとめてステークホルダーの皆様にも複数回にわたり説明してまいりました。その結果、ステークホルダーの皆様からも一定のご理解を得るに至っていると考えております。

 

 今後、そごう・西武が、そごう・西武労働組合と、雇用維持及び事業継続について更に協議を進めるためには、本件譲渡を実行し、そごう・西武が新オーナーであるフォートレスの下で西武池袋本店のリニューアルに取り組むことを明確にした上で、西武池袋本店のお取引先様と協議を行い、事業計画を精緻化することが必要です。

 

  • 5.結語

 

 仮にそごう・西武労働組合によってストライキが実施されれば、お客様、お取引先様をはじめとする関係各位にご迷惑をおかけすることとなり、大変申し訳なく存じます。そごう・西武は、今後とも、そごう・西武労働 組合との間で、雇用維持及び事業継続に関する団体交渉及び協議を継続するとともに、当社は、そごう・西武とそごう・西武労働組合との間の協議について適切な範囲で支援・協力してまいります。



以上