ホーム サステナビリティ 明日にいいこと。つなげる、つづける。 「7つの重点課題」活動レポート セブン&アイグループが目指す循環型社会。【FRaU1月号掲載記事】

「7つの重点課題」活動レポート

2020.12.25

  • 課題3
  • プラスチック対策

セブン&アイグループが目指す循環型社会。【FRaU1月号掲載記事】

コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、専門店などを展開するセブン&アイグループ。国内約2万2500もの店舗は社会インフラとして機能し、近年は環境に配慮した商品づくりにも力を入れる。セブン&アイグループが目指す、サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは。

Chapter 1

パートナーシップで実現した
ペットボトルリサイクルのループ。

世界初の「完全循環型ペットボトル」により誕生した「一(はじめ)緑茶一日一本」。パートナー企業や自治体の協力により、新しいペットボトル回収の仕組みをつくり、モデルケースとしてこれから全国展開していく予定だ。

地域住民と連携した循環型経済社会を目指す。

ひっきりなしに到着するトラックのサイドパネルが開くと、四角くて大きな積み荷が見える——。ここは、茨城県南西部にある「遠東石塚グリーンペット」。四角い積み荷の正体は、ぺしゃんこに潰れたペットボトルのかたまりだ。
ペットボトルの原料は、石油由来の「ポリエチレンテレフタレート」と呼ばれる樹脂だが、近年では海洋汚染や天然資源の枯渇、温室効果ガス排出の観点から、ペットボトルを含むプラスチックの処理は世界的な課題となっている。

そこで、プラスチックを“ごみ”ではなく、“資源”と捉え、再利用する取り組みがはじまっている。使用済みペットボトルを回収のルートにのせ、飲料用ペットボトルとして100%再利用する「ボトルtoボトル」だ。こうして循環させることで、持続的にリサイクルが続く。リサイクルペットボトルは、石油由来ペット樹脂を使用する場合に比べ、CO2を1本あたり約25%削減することが可能だという。
遠東石塚グリーンペットは、台湾の遠東グループと、日本の総合容器メーカー石塚硝子の合弁会社として2012年に誕生したリサイクル専門樹脂メーカー。それまで、日本で排出された廃プラスチックの多くは海外へ輸出されており、リサイクルするためのノウハウは日本に備わっていなかった。20年以上前からリサイクルに着手していた台湾の企業と組むことで、その技術を日本に取り入れたというわけだ。
「かつては年間30万トンもの廃ペットボトルが中国へ輸出されていました。しかしながら、中国では17年に廃プラスチックの輸入規制が導入され、21年にはすべての廃棄物の輸入を禁止するといわれています。行き場を失った日本の廃ペットボトルを、国内でリサイクルできるよう整えることが急務です」と、遠東石塚グリーンペットの青木聡さんは話す。
日本では年間60万トンものペットボトルがごみとなるが、そのうち遠東石塚グリーンペットに集まってくるのは5万トンほど。再びペットボトルの原料となる再生レジンは3.5万トン作られている。21年には工場が拡大し、年8万トンの再生レジンを生産する体制になっていく予定だ。これはPETリサイクル施設としては世界最大級の規模となる。

収集したペットボトルを洗浄、破砕した「フレーク」。ここから有害物質を除去したのちに溶かして、ペットボトルのもととなる再生PETレジンを作る。遠東石塚グリーンペットでは、収集から再生PETレジンを作るまでを行っている。
「遠東石塚グリーンペット」に集められた使用済みペットボトル。大きなかたまりを「ベール」と呼び、1つあたり約400kgにもなる。ペットボトル1本あたり20~30gなので、1万3000~2万本がまとめられていることになる。

取材中、6年以上前のものだというリサイクルペットボトルを見せてもらうと、現在のものに比べて少しくすんでいるのがわかった。
「リサイクルでも色がつかないようにする技術が進み、現在ではきれいな透明のペットボトルを作ることができるようになりました」と、青木さん。ペットボトルを再生したレジンは、服やトレーにすることも可能だが、リサイクルのループからは外れてしまう。ボトルtoボトルは、持続的にリサイクルできる唯一の方法なのだ。それでは、我々消費者にできることは?
「分別して、できればキャップやラベルを外したきれいな状態にしていただけたら。そうすると80%は再生させることができます」

まさにこれを実践しているのが、セブン&アイグループの店舗に設置されているペットボトル回収機だ。セブン‐イレブンでは17年にペットボトル回収機の設置を本格的に開始。洗浄したペットボトルのラベルをはがし、キャップをはずしてこの回収機に投入するとすぐに圧縮。350ml、500ml、2Lに対応し、投入本数に応じてセブン&アイグループなどで利用できる電子マネー「nanaco」にポイントが付与される仕組み。回収したペットボトルは資源化され、再びペットボトルに生まれ変わる。

こうしてボトルtoボトルで誕生した商品が、セブン&アイグループがセブン‐イレブンをはじめとする約万1500店舗で販売している「一(はじめ)緑茶一日一本」だ。遠東石塚グリーンペットと日本コカ・コーラという強力なパートナーシップを得ずしては、成しえなかった。遠東石塚グリーンペットには、自治体が回収したものと、自動販売機横に設置された回収箱などの事業系のペットボトルが集められるが、「一(はじめ)緑茶一日一本」は、セブン&アイグループの店頭で回収したペットボトルのみを原材料としてリサイクルペットボトルにし、再びセブン&アイグループの店舗で販売するという、「完全循環型ペットボトル」商品。一つの流通グループでリサイクルが完結する、これまでに類を見ない取り組みのボトルボトルとして注目されている。

「ワンウェイプラスチックではなく、持続的に循環できるこの取り組みが成立したのは、回収機の設置にご支援をいただいている日本財団をはじめパートナー企業によるサポートと、お客様ひとりひとりのご協力によるもの」と、セブン&アイ・ホールディングスのサステナビリティ推進部執行役員の釣流まゆみさん。
店舗で回収されるペットボトルは産業廃棄物扱いになってしまうが、資源物として循環させる事業のパートナーに、自治体も加わった。20年10月には、横浜市と日本財団、セブン‐イレブン・ジャパンで、ペットボトル回収事業を開始。今年度中に横浜市内のセブン‐イレブン120店舗でペットボトル回収機の設置を目指している。産官民が一体となった新しいペットボトル回収の仕組みは、現在までに横浜市を含む7つの自治体と協業している。セブン&アイグループが目指す「循環型経済社会」の実現に向けて、今後も拡大していく予定だ。
日本でSDGsが急速に認知されるようになった一方で、「何からはじめていいのかわからない」という声を聞くようになった。意識の高い一部の人々のものではなく、社会一般で当たり前にエシカル消費を選択できるようになるには、社会インフラとしての機能を持つ大企業の力が不可欠だろう。「手に取ったものがエシカル商品」。セブン&アイグループは、それが“当たり前”の社会をつくっていく。

Chapter 2

子ども靴がつないだ笑顔の100万足。

そごう・西武が 2009 年からスタートした 子ども靴の下取りが、まもなく累計 100 万足を達成しようとしている。日本から、ザンビア共和国の子どもたちへ。 私たちにもできる、支援のかたちがあります。

そごう・西武が 2009 年からスタートした 子ども靴の下取りが、まもなく累計 100 万足を達成しようとしている。日本から、ザンビア共和国の子どもたちへ。 私たちにもできる、支援のかたちがあります。

子どもの足を守るだけでなく 健康や教育にも貢献。

子どもは成長が早く、一つの靴を履ける期間が短い。履かなくなった子ども靴を西武・そごうに持ち込むと、下取り1点につき500円の割引券をもらえるのをご存知だろうか。
持ち込まれた子ども靴はどうなるのかというと、靴を持たないザンビア共和国の子どもたちに送られる。アフリカの中でも治安が良いザンビア共和国は、靴を確実に届ける環境が整っているという。靴の運搬や、海上輸送とコンテナの提供など、多くの企業からの協力を得て叶えられた取り組みだ。
ザンビア共和国では、自給自足で生活する農民が多く、収入は非常に低いため、子どもたちに靴を買い与えることができない家庭が多い。靴を履かないことで、破傷風や、寄生虫による感染症にかかる子どもが後を絶たない。送られた靴は子どもたちの足を守り、安心して運動ができるようになるほか、「自分の靴」を汚したくないという思いから、子どもたちには手足を洗う習慣も身に付き、衛生教育にもつながる。
活動を取りまとめる公益財団法人ジョイセフは、ザンビア共和国到着後の通関や陸送、靴の配布だけでなく、子ども靴を受け取りに来た母親たちに向けた妊娠・出産についての啓発活動を行うとともに、安全な出産のための待機場所「マタニティハウス」を建設。それには靴の輸送で使われたコンテナを利用している。
子ども靴の下取り活動は、ザンビア共和国の子どもたちだけでなく、日本の子どもたちへの教育にも貢献している。ザンビア共和国の現状や、ものを大切にすることを伝える紙芝居動画を、店頭やホームページで紹介。また靴をくれた子どもたちには感謝状を渡すなど「ものを大切にする心」や「グローバルな視点」を育むきっかけづくりとなっている。さまざまなSDGsとの関わりが隠れているのだ。

西武・そごうの各店舗にて、履かなくなった子ども靴を回収する。→子ども靴は丁寧に包んで、横浜の倉庫へすべて運ばれる。→コンテナ船で約30日かけて南アフリカやモザンビークの港へ。→港からザンビアまで、さらに2~3週間かけてトラックで運ぶ。→到着した子ども靴は、ザンビアの子どもたちに配られる。→靴を履いた子どもたちは安心してサッカーを楽しめるように。
Chapter 3

新たな取り組みがはじまっています。
セブン&アイグループの循環プロジェクト。

セブン&アイグループのSDGsへの取り組みは他にも。 環境負荷を削減し、限りある資源を循環させるために、さまざまな活動をはじめている。

セブンプレミアム ライフスタイル ヤシノミR洗たく洗剤 / 本体(600ml) 柔軟剤 / 本体(600ml) 薬用泡ハンドソープ / 本体(300ml) 手指消毒スプレー / 本体(300ml)

セブンプレミアム×サラヤの 地球にやさしい洗剤シリーズ
「人と地球にやさしい」がコンセプトのSARAYAのヤシノミシリーズが、セブンプレミアムライフスタイルとコラボ。1971年の誕生以来、ヤシの実由来の洗浄成分を使用し、洗浄剤には不要なものは入れない無香料・無着色にこだわってきた。洗たく洗剤は、汚れに高浸透しながら繊維に残らない洗浄成分「植物系ツインパワーノニオン」を配合。石油系界面活性剤・蛍光増白剤・漂白剤・着色料・抗菌剤・香料不使用で、高い生分解性を持ち、排水後は微生物によって分解され、地球に還る。セブンプレミアムライフスタイルでは、洗たく洗剤のほか柔軟剤、薬用泡ハンドソープ、手指消毒スプレーを展開し、詰め替え用(付け替え用)も販売している。

環境負荷の高いCO2を排出しない水素で走る小型トラック
物流と店舗における省エネルギー・CO2排出削減に向け、セブン‐イレブンでは、店舗に商品を運ぶトラックの一部に、ハイブリッド型やEV等、環境配慮型の車両を導入してきた。2020年4月、栃木県栃木市で水素ステーションを併設した「チルド米飯佐野センター」が稼働を開始したタイミングに合わせ、都内で実施してきた実証実験を栃木県内の一部でもスタート。実証実験エリアを拡大することで、異なる気象条件や道路条件で走行テストを行い、将来の配送にともなうCO2の削減を目指す。採用しているトヨタ自動車『MIRAI』のFCユニットを搭載した「FC小型トラック」は、走行中にCO2等の環境負荷物質を排出しない。

FCユニットで発電した電気は、動力のほかに冷蔵ユニットの電源としても使用する。寸法:全長6,185 / 全幅2,180 / 全高2,970mm。最高出力:114kW / 155PS。水素貯蔵量:約7kg。走行距離:約200km
『GALLORIA リサイクルグリーンダウン』、『Kentリサイクルグリーンダウン』。100年使える羽毛を再生資源として循環させる。

店頭で回収した羽毛から作ったリサイクルグリーンダウン
2020年11月より、全国のイトーヨーカドー約70店舗で販売を開始した『GALLORIAリサイクルグリーンダウン』と『Kentリサイクルグリーンダウン』。イトーヨーカドーでは3月から、使用しなくなった羽毛布団やダウンジャケットを回収してきた。今回販売するダウンは、店頭で回収したダウン商品を再資源化し、新たな商品として発売するもの。世界的に羽毛原料が不足し、羽毛リサイクルの認知拡大の必要性が高まっている。イトーヨーカドーは、循環型社会の一助となるこの取り組みで、持続可能な社会の実現を目指していく。収益金は環境保全団体へ寄付し、社会貢献にもつなげていくという。

食品ロス削減のための 緑色のシールをご存知ですか
セブン‐イレブンは、食品ロスの削減を目的として、2020年5月より『エシカルプロジェクト』を開始。これは、販売期限が近付いたおにぎりや弁当などをnanacoで購入するとボーナスポイントを付与し、すぐ食べるなら手前から商品をとってもらうことで、食品ロスの課題を一緒に考えていこうというもの。全国のセブン‐イレブン店舗約2万店で実施しており(※1)、昨年比・全国平均で1店舗あたり約2割の食品ロス削減につながっている(※2)。対象商品は、おにぎり・寿司、お弁当、サンドイッチ・ロールパン、麺類・グラタン・ドリア、お惣菜・サラダ、スイーツ、パンで、商品に貼られた緑色のシールが目印だ。
※1 店舗により取り扱いのない場合あり。
※2 2020年5月11日~6月10日までの実績。

セブン‐イレブン専用工場では、技術革新によって、オリジナルデイリー商品の製造工程や温度、衛生管理を見直すことで、消費期限延長を実現。保存料を使うことなく安全性を保ち、味や品質の向上に努めている。

『GREEN CHALLENGE 2050』

セブン&アイグループは、2019年に環境宣言『GREENCHALLENGE2050』を始動。4つのテーマで2030年、2050年の目標達成に向け、取り組みを加速させている。

CO2排出量削減
グループの店舗運営において、LED照明や太陽光発電パネル、蓄電池を導入し、省エネ・再生可能エネルギーの活用することで、CO2排出量の削減に努める。2050年までに排出量実質ゼロを目指す。

食品ロス・食品リサイクル対策
まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の課題解決のため、食品廃棄物を2013年度比で2050年までに75%削減し(発生原単位)、飼料などへのリサイクル100%を目指す。

プラスチック対策
レジ袋やプラスチック製容器などのプラスチックの削減に取り組む。2050年までにオリジナル商品で使用する容器は、バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙を使用した環境型素材100%に。

持続可能な調達
オリジナル商品において環境に配慮した商品を提供するため、MSC/ASC認証や有機JAS認証、フェアトレード認証など、持続可能性が担保された食品原材料の利用を2050年までに100%へ。

photo : SHIN HAMADA
illustration : YOSHIKO ANETAI
text & edit : CHIHIRO KURIMOTO

FRaU SDGs特設ページ https://gendai.ismedia.jp/list/genre/sdgs/

問い合わせ
セブン-イレブン・ジャパン TEL:0120-711-372
西武・そごう TEL:03-6272-7409
セブンプレミアム TEL:03-6238-3000
イトーヨーカドー TEL:03-6238-2111
記事は2021年FRaU1月号掲載の内容のため、現在は取り扱いがない商品がございます。
詳しくは各社までお問合せくださいませ。

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