2012年11月22日、埼玉県久喜市にオープンしたショッピングセンター「アリオ鷲宮」。そのショッピングセンターゾーンに婦人服「GALLORIA(ギャローリア)」、カジュアル衣料「good day(グッデイ)」、紳士服「Kent(ケント)」の専門店が登場しました。これらは、イトーヨーカドー衣料MDの中心となっているPBのショップ。初の専門店形式の出店となり、それぞれの販売員がお客様のさまざまなライフスタイルに応じたシーン別のファッションを提案し、きめ細かなサービスが支持を受け、順調なスタートとなりました。 今、これらのPB開発の現場で進んでいるのが、従来のGMSの衣料のあり方を一新する挑戦。「横断」「連携」「一貫性」によって既存のMD組織の限界を超える取り組みです。
イトーヨーカドー初の試みとなる専門店ゾーンでのPBショップを展開する、アリオ鷲宮の「GALLORIA」「good day」「Kent」(上から)。
お客様に、ブランドの特性が伝わりやすく、ていねいな接客で価値を伝えることで、多くのお客様から支持をいただいています。
その一つが「横断型商品開発」への挑戦。たとえば、「グッデイ」では、従来、婦人、紳士、子どもといった対象ごとに進めてきた商品づくりの枠組みを超えて、ファミリーという視点から、素材、機能、デザイン、コーディネートをとらえ、個々の商品開発担当者が連携して統一感のある商品開発に取り組んでいます。
また、従来はシャツ、カットソー、ボトム、アウターなど服種ごとに進められていた商品開発も、計画段階から各服種の担当者が共有して、個々の商品の数量計画などに反映させられる仕組みも取り入れています。
さらに、素材選択の面でも開発チーム全体の連携を推進。素材メーカーなどの専門家にも参加していただく「素材会議」を立ち上げ、ここで素材情報を商品部全体で共有化しています。そこから個々の商品開発の際の素材調達も共同化などを進め、より合理的なものづくりを可能にしています。
このような仕組みから生まれた商品を売場に展開することにより、お客様から見て、デザイン、テイスト、素材などの面で統一感のある商品が並び、シャツとボトムやアウターなどのコーディネートがしやすくなります。そこからブランドのイメージも明確になり、新しいファンの獲得にもつながっています。
商品企画から販売に至るまでの一貫したマネジメント体制の構築も進めています。意思を明確に持ったオリジナル商品づくりには、お客様のニーズに応える商品企画、企画を具体的な商品に落とし込むデザインやパターンなどの仕様設計、さらに生産・物流管理にまで踏み込んだマネジメントが不可欠です。しかし、それぞれのマネジメントには相応の専門知識が必要となり、従来のGMSのオリジナル商品づくりの壁になっていました。そこでイトーヨーカドーでは、SPA推進室を強化して、商品づくりに精通した人材のもとで各分野の専門家と連携していくマネジメント体制を整備。商品部も担当者と専門家がいっしょになって、計画的な商品供給を図り、お客様のニーズの変化にもスピーディに対応しています。
さらに、「お客様の立場に立った商品と売場づくり」に向けて2012年から、「くらしのアドバイザー(※)」やお客様相談室のメンバーと連携した「情報共有会」を実施。共有会では、Tシャツの衿の開きぐあいにまで踏み込んだ指摘が出され、そこから商品開発や売場づくりに活かされていきます。
また、個々の商品づくりでも、セブンプレミアムの開発手法に学んで、試作品に対するお客様の意見を聞くモニタリング調査なども実施。お客様のニーズに基づいた「新しい価値」の実現に取り組んでいます。
このようにMDの基礎にまで踏み込んだ改革で、素材、生産・加工、物流、売場づくりまで一貫性のあるMDを追求。接客を重視した売場の改革ともあいまって、「新しい価値」をお客様に的確に提供していく環境を整えています。こうしたMD改革のうえで、自主開発商品を、年代を問わず幅広いお客様に上質なカジュアルをコーディネートしていただける「ギャローリア」(婦人)や「ケント」(紳士)、男女を問わずファミリーで着用いただけるベーシックカジュアル「グッデイ」にPBを整理・統合していきます。さらに、お客様一人ひとりの個性に合わせたコーディネートを提案できるよう教育体制も見直し、接客を強化しています。今後もMDと接客を進化させ、新たな顧客の獲得にも力を注いでいきます。