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重点課題 7パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

お取引先様とともに築く持続的発展可能なサプライチェーンの構築 

 セブン&アイHLDGS.は創業以来、「社是」として掲げた「お客様・お取引先・株主・地域社会・社員」など、企業活動を支えていただいているさまざまなステークホルダーの皆様から信頼される誠実な企業であることを常に心がけています。

 今日、世界では人権に関するさまざまな問題が発生しています。企業に対しては自社が取扱う商品・サービスにおけるサプライチェーン全体の人権の尊重と保護、法令遵守、環境保全、労働条件への配慮など、社会的責任を果たすことが強く求められています。セブン&アイグループでは、人権の尊重と保護を何よりも優先し、お取引先様に「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」(以下、本指針)のご理解と実行をお願いしています。

 お取引先様とともに本指針を運用し、持続的発展可能なサプライチェーンを構築することで、お客様に安全・安心な商品を提供することができると考えています。

  • SDGs7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • SDGs8 働きがいも経済成長も
  • SDGs10 人や国の不平等をなくそう
  • SDGs12 つくる責任 つかう責任
  • SDGs13 気候変動に具体的な対策を
  • SDGs15 陸の豊かさも守ろう
  • SDGs16 平和と公正をすべての人に

お取引先サステナブル行動指針の運用強化

 セブン&アイHLDGS. は、お客様に安全・安心な商品を提供し、お取引先様と協働で人権・労働・環境面などの社会的責任を果たしていくため、本指針の運用を強化しています。お取引先様に対しても、人権デュー・ディリジェンスの実行・推進をお願いしています。

お取引先サステナブル行動指針の徹底

 セブン&アイHLDGS. は、2007年に策定した「セブン&アイHLDGS. お取引先行動指針」を、2017年4月に「セブン&アイグループお取引先行動指針」として改定し、お取引先様に本指針への理解と遵守をお願いしてきました。さらに、2019年12月に「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」として改定しました。本指針の趣旨は、グループで取扱っている商品・サービスの安全性と品質の確保だけでなく、サプライチェーン全体の人権の保護と尊重、法令遵守、地球環境保全、労働環境への配慮などを推進し、お取引先様の皆様とともに社会的責任を果たすことです。本指針については、グループ各社のお取引先様とのさまざまな会議を通じて周知を図っています。

セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針(抜粋)

  1. 人権の尊重と保護
  2. 法令遵守
  3. 児童労働の禁止、若年労働者の保護
  4. 強制労働の禁止
  5. 生活賃金の支払い
  6. 虐待・ハラスメント・差別・懲罰の撤廃
  7. 雇用・労働者保護
  8. 地球環境保全
  9. 機密漏洩防止・情報管理
  10. 個人情報管理
  11. 品質管理とエシカル対応
  12. 地域社会・国際社会との関係
  13. 腐敗防止と公正な取引
  14. 知的財産の保護
  15. 輸出入管理
  16. 内部通報制度の整備
  17. 災害対策
  18. サプライチェーンへの展開
  19. モニタリング

人権デュー・ディリジェンス体制の構築

 セブン&アイグループでは、社是に掲げるさまざまなステークホルダーに信頼される誠実な企業であることを経営の理念としています。なかでも「人権の尊重」は持続可能な事業活動を行い、信頼される誠実な企業であり続けるために最も重要なことであると認識しています。

 サプライチェーンにおける人権の尊重・保護については本指針において、人権の尊重に関するグループの考え方を示し、その遵守を要請しています。

 本指針は、国際的な労働基準である「国連ビジネスと人権の指導原則」「ILO基本労働条約」「OECD多国籍企業行動指針」などに準拠した、人権の尊重を重点とする行動指針として策定しました。「人権リスクの特定・評価」「人権リスク緩和のための行為の実施」「是正のモニタリング」「情報開示」といった人権デュー・ディリジェンスプロセスの実施や、苦情処理メカニズムの整備、ステークホルダーとの対話を進め、人権デュー・ディリジェンス体制の強化を図っています。

人権デュー・ディリジェンスのプロセス

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お取引先サステナブル行動指針の人権デュー・ディリジェンス体制

 セブン&アイグループでは、事業活動がサプライチェーンに与えうる人権への負の影響を評価し、その結果に基づいて、特定した人権への負の影響の防止と緩和、お取引先様への予防と対処への協力要請、人権侵害が発生した場合の救済・是正処置を行い、その進捗ならびに結果について追跡評価を実施し、Webサイト上に開示する継続的なプロセスを行っています。


人権への負の影響を評価・特定・分析 :

プライベートブランド商品の生産工場の把握・お取引先様によるセルフチェックの実施・第三者の監査機関によるCSR監査の実施

行  動:

人権リスクの低減に向けた教育、啓発活動、プライベートブランド商品製造委託先のお取引先様とのCSRに関する覚書、中国・東南アジアでのプライベートブランド商品製造工場のCSR監査認証取得を前提としたお取引

追跡評価:

課題の改善および是正処置支援

情報開示:

取締役会への結果報告・Webサイトへの公開

救済措置:

グリーバンスメカニズムとしてのお取引先専用ヘルプライン(内部通報制度)の設置・運用

お取引先サステナブル行動指針の人権デュー・ディリジェンス体制

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 セブン&アイグループは、サプライヤーリスクを人権・労働環境・地球環境保全などの視点から、地域別に5段階(R1~

R5)に区分けし、最もリスクの高い地域を「R1」とし、「中国・東南アジアおよび新興地域」をR1と位置づけて重点的に対応しています。

グリーバンスメカニズムとしてのお取引先専用ヘルプラインの運用

 セブン&アイHLDGS.は、当社及びグループ各社が社会から信頼される誠実な企業であり続けるために問題の芽を早期に発見し、未然に防ぐためのご相談・通報窓口として「セブン&アイHLDGS.お取引先専用ヘルプライン」を、第三者機関に設置しています。セブン&アイHLDGS.及びグループ各社の役職員に関する法令、社会的規範、契約、「セブン&アイグループ企業行動指針」を含む社内規程に違反する行為、並びに当社及びグループ各社のサプライチェーン上を含むお取引先様に関する「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」における重大な違反行為、若しくは「セブン&アイグループ人権方針」に定める人権侵害行為等のご相談・通報などをお取引先様よりお受けし、適正な対応を実施することで、一層の公正取引の確保に努めています。

お取引先サステナブル行動指針の運用

 セブン&アイグループでは、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」およびグループ各社のプライベートブランド商品の製造委託先工場のうち、人権保護、法令遵守についてリスクの高い地域(主に中国・東南アジア)の工場については、CSR監査にご協力いただいています。また、本指針の推進状況をお取引先様と共有し、問題点の是正処置を支援しています。

 グループ各社と新しくお取引をお願いする場合は、本指針の理解と遵守をお願いし、CSR監査の「適合認証」にてお取引開始とさせていただいています。CSR監査の結果と是正対応状況から適合と認められたお取引先様には「適合認証書」を発行します。お取引継続のためには「適合認証書」の取得を前提としています。

中国・東南アジアのプライベートブランド商品製造工場CSR監査認証の流れ

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CSRに関する覚書へのご同意

 セブン&アイグループは、お取引先様とともに、SDGsの目標8に掲げられている「働きがいのある人間らしい雇用」「強制労働の根絶」「児童労働の禁止および撲滅」の実現を目指しています。また、「サプライチェーンにおける労働の適正化」など、お取引先様の適正な労働環境の維持・向上にも積極的に取り組んでいます。プライベートブランド商品の製造委託をさせていただく際に、お取引の条件としてCSRに関する覚書のご同意をお願いしています。

 企業の社会的責任(CSR)および人権を尊重する責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献するために、お取引先サステナブル行動指針を遵守すること、サプライチェーン全体におけるCSR・人権配慮が社会から求められていることを鑑み、お取引先様とともに取り組みを継続的に推進・確認することを目的としています。

CSRに関する覚書

  • 第1条(目的)
  • 第2条(セブン&アイグループお取引先行動指針の遵守)
  • 第3条(お取引先行動指針内部統制の実施)
  • 第4条(お取引先行動指針等に関する説明)
  • 第5条(お取引先行動指針の遵守状況等に関する報告義務)
  • 第6条(通報義務)
  • 第7条(甲の調査権・監査権)
  • 第8条(違反の場合の是正要求)
  • 第9条(是正要求に応じない場合の解除権)
  • 第10条(損害賠償の免責)
  • 第11条(お取引先行動指針の改定)
  • 第12条(有効期間)
  • 第13条(準拠法・裁判管轄)
  • 第14条(協議事項)

※日本弁護士連合会資料を参考に作成しています

セルフチェックの実施

 セブン&アイグループでは、お取引先様のお取引先サステナブル行動指針の推進状況を確認し、必要に応じて是正対応を支援させていただくために、お取引先様向けセルフチェックシートを運用しています。このチェックシートは、「ISO26000」「経団連企業行動憲章」「OECD多国籍企業行動指針」「ILO国際労働基準」などを参考に作成したものです。2018年11月以降、セブン&アイグループ各社の新規のプライベートブランド商品製造委託先を対象に、人権と労働環境や地球環境保全、情報管理など、CSR監査と同様の内容(124項目)を確認しています。2022年度は、セルフチェックを1,287工場より回収し、管理状況の確認を実施しました。

セルフチェック回答状況

年度

対象工場

回答工場

(国内/海外 工場数)

回答率

2022

1,386

1,287

(869/418 工場)

92.9%

2021

1,593

1,303

(894/409 工場)

81.7%

2020

1,546

       1,267

(854 /413 工場)

81.9


セブン&アイグループCSR監査

 セブン&アイグループは、お客様に提供する商品の安全・安心の確保と、お取引先様とともに目指す持続的発展可能な社会の実現を目指し、独自に作成した監査項目(16大分類項目と117のチェック項目)に沿って、第三者機関がお取引先様の製造工場を監査しています。監査項目は、世界標準であるILO(国際労働機関)条約などの国際条約とISO26000に準拠し、「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」「人権の保護」「法令遵守」「労働安全衛生」「環境保全」などで構成されています。

監査項目16大分類項目と117チェック項目(抜粋)

1. マネジメントシステムおよび規範実施

  • 組織は、セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針のすべての項目に準拠したシステムを実行し、維持しなければならない。
  • 組織は、実現可能な場合、同指針を自社のサプライチェーンに拡大すべきである。
  • 組織は、関連する法令および国際条約などを把握し、遵守しなければならない。

2. 強制労働

  • 強制、拘束、あるいは、強要された囚人労働がないこと。
  • 雇用者に供託金あるいはパスポートなどの身分証明書の提出が強要されておらず、移動の自由が確保されていること。
  • 退職時は妥当な通知を行った後、自由意思に基づいて退職できること。
  • 強制労働に関する国・地域の法律が認識されていること。

3. 結社の自由

  • 作業者は、差別されることなく、彼ら自身が選択する労働組合に参加する、あるいは、結成する権利を有し、団体交渉権を有す。
  • 結社の自由に関する地域の法律や作業者の権利が認識されていること。

4. 健康および安全

  • 設備機械には安全保護策が施され、予防的なメンテナンス訪問が実施されていること。
  • 化学薬品の取扱い・保管が適切であること。
  • すべての必要な防具(PE)は、購入され、定期的に交換されていること。

5. 児童労働および若年労働者

  • 児童労働をさせてはならない。
  • 児童および18歳未満の若年者は、夜間および危険な環境での就業はしてはならない。これらの業務には、化学物質を使用する、または、その近くでの作業、危険な機械のある場所や過度に騒音のある場所での業務を含み、重労働、夜間労働、長時間労働も含む。

6. 生活賃金

  • 賃金は、国・地域の法令で定める標準以上であること。
  • 残業手当は、法的に義務付けられた比率で支払われること。
  • すべての法的義務のある手当や福利厚生は従業者に提供されること。
  • 賃金伝票、採用担当者に関する情報、契約書など、労働者の労働条件を詳述する書類を労働者に開示すること。
  • ※生活賃金には、食料品、住居費、衣料品、及びその他の追加費用として健康、パーソナルケア、育児、教育に関する費用を含みます
    ※生活賃金計算のベースは、グローバル生活賃金連合のアンカー計算法を参考に算出

7. 労働時間

  • 作業者は習慣的に、48時間/週を超える労働が要求されてはならず、少なくとも、平均で7日ごとに1日の休日が与えられなければならない。残業は任意でなければならず、12時間/週を超えてはならない。また、習慣的に要求されてはならず、常に追加料金が支払われなければならない。

8. 差別

  • 採用、報酬、訓練授与、昇給、解雇、および、退職における、人種、階級、国籍、宗教、年齢、障がい、性別、配偶者の有無、性的指向、組合員、所属政党で差別されないこと。

9. 正規雇用

  • 可能な限り、国家法規制に基づいた、広く認められた雇用関係をベースに業務は実行されなければならない。
  • 労働者が職を得るための斡旋料は労働者ではなく、地域の労働法で認められる場合を除いて、雇用主が負担していること(事業主負担の原則)。

10. 下請け契約、家内工業、外部加工

  • 顧客との事前合意がない限り、下請契約は実施してはならない。

11. 懲罰

  • 身体的虐待、あるいは懲罰、身体的虐待の脅威、性的あるいはその他ハラスメントおよび、言葉による虐待、あるいは脅迫は禁止されなければならない。
  • 懲罰方法は公正で効果的であり、恣意的なものであってはならない。
  • 雇用者は、必要な懲罰行為に関連して、作業者の精神的・感情的・身体的健康への尊重を示すこと。

12. 環境

  • 組織は、その環境パフォーマンスにおいて継続的改善を追求していかなければならず、最低限、地域の要求事項や国際法規制に準拠すること。
  • 国際条約または法規制で禁止されている化学物質を使用していないこと。

13. 公正な取引

  • 公正な取引に関連する法令を把握し、遵守していること。

14. 商品の安全確保のために

  • グループ各社に納入する商品において、該当事業会社から要請された品質基準および日本で定められている関連法基準を遵守していること。

15. セキュリティ管理

  • 悪意のあるアクセスから情報を保護するため、セキュリティの仕組みが導入されていること。

16. 地域社会の便益

  • 反社会的勢力との関係を断絶していること。

CSR監査の評価と認証

 CSR監査の監査項目である16大分類は、3つの評価分類に分けています。最も重要視している分類は、「強制労働」「児童労働および若年労働者」「生活賃金(最低賃金)」「懲罰」の4分類で、これらに関する不適合を発見した場合は【重大不適合 Critical 1】とし、該当工場と契約するグループの事業会社へお取引中止勧告を行います。セブン&アイグループの事業およびサプライチェーンにおいては、いかなる形態の人権侵害も容認しません。

 次に重要視する監査項目は、「健康および安全」「労働時間」「下請け契約」「環境」「商品の安全」に関する法令に関する分類で、不適合を発見した場合は【重大不適合 Critical 2】とし、該当工場と契約するグループの事業会社へお取引継続可否の検討を通達します。もし、お取引を継続する際は、再監査(フォローアップ監査)を実施して、是正を確認した上で継続しています。

監査項目と評価

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評価基準

 CSR監査の結果は、A・B・C・D・Eの5段階で評価しています。 

「A」:CSR監査において法令や各地域の条令などの不適合が確認されず、セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針の不適合も確認されなかった工場への評価

「B」:法令不適合は確認されてはいないが、お取引先サステナブル行動指針への不適合が確認された工場の評価

「C」:【重大不適合 Critical 2】は確認されていないが法令不適合が確認された工場の評価

「D」:【重大不適合 Critical 2】が確認された、または法令不適合が10件以上確認された工場の評価

「E」:最も重大な状況で、「強制労働」「児童労働」「生活賃金(最低賃金)」「懲罰」に該当する【重大不適合  Critical 1】が1件でも確認された場合または【重大不適合  Critical 2】が10件以上、法令不適合が20件以上確認された場合の評価

※すべての不適合箇所の是正確認が監査日より90日以内に実行され、是正を確認した場合は評価に準じた認証を行っています

認証運用ルール(中国・東南アジア)

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監査評価基準

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CSR監査当日の流れ

 セブン&アイグループは、CSR監査を実施する工場に対して、事前に通告した上で訪問し、現場・書類・データの確認と管理者や労働者へのインタビューによって、CSR監査項目の遵守状況を確認しています。労働者へのインタビューは、使用者からの指示や報復などを防ぐため、別室にて監査員のみの立ち合いで行います。実地監査は、原則午前9時から午後6時の1日で実施します。監査時に工場から提出いただいた資料・画像については機密保持契約に基づき適切に管理補完し、外部へ流出することはございません。

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監査後の是正確認

 監査の結果、監査項目に適合しない事項(不適合事項)が発見された場合は、第三者の監査機関より当該お取引先様に対し、不適合事項の指摘を行います。お取引先様には、この指摘に基づいた「是正処置計画書(CAP)」を監査終了後10営業日以内に監査機関へ提出していただくとともに、直ちに指摘事項の改善に取り組んでいただいています。お取引先様から指摘事項の改善完了の報告を受けた後、改善を示した写真・担保資料(エビデンス)の提出などを受けて、改善完了の確認を行います。ただし、重大な不適合項目が多数発生する場合など、一定の基準を超えた場合は、再度工場を訪問し、再監査を実施することで問題の改善を確認しています。


 ●是正措置計画書(CAP:Corrective Action Plan)提出の流れ

(1) 不適合項目発生原因の報告・是正計画:10日以内に監査人へ提出

(2) 是正措置の実施:90日以内に是正措置が行われたエビデンスを監査人へ提出

(3) 適正なCAP:監査人受理 → セブン&アイHLDGS.が確認・承認 → 認証書発行

   不適正なCAP:差し戻し

監査終了後90日以内に是正措置が行われたエビデンスの提出がない場合は、再監査(フォローアップ監査)を実施

重大不適合への対応

 セブン&アイHLDGS.は、セブン&アイグループの事業およびサプライチェーンにおけるいかなる形態の人権侵害も容認しません。重大不適合への対応についてはお取引先サステナブル行動指針で定めており、すべてのお取引先様へ周知し、お取引先様説明会においても説明しています。

CSR監査適合認証制度

 セブン&アイHLDGS.では、CSR監査の結果、適合と認められた場合はお取引先様に「適合認証書」を発行しています。不適合が発見された場合は、不適合の是正が完了または是正処置計画(CAP)に記載された計画内容が有効であると第三者監査機関およびセブン&アイHLDGS.が判断した時点で、お取引先様に「適合認証書」を発行しています。

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お取引先CSR監査の実績

海外工場のCSR監査

 セブン&アイHLDGS.は、2012年度よりセルフチェックシートの提出をお願いしたお取引先様のうち、リスク管理の観点から特に重要であると判断した工場を「クリティカルサプライヤー」と定義し、「お取引先サステナブル行動指針」への遵守状況を確認するCSR監査を毎年実施しています。公正性を確保するため、外部審査機関であるテュフ ラインランド ジャパンに審査を委託しています。監査員は原則、独立した社会的コンプライアンス監査人の専門基準機関であるAPSCA(Association of Professional Social Compliance Auditors)に登録し、毎年、監査員との定例会議を開催し、監査項目の標準化を図っています。

クリティカルサプライヤーの定義

 セブン&アイHLDGS.は、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」を製造している工場、およびグループ会社のプライベートブランド商品を製造している中国および東南アジア(13カ国)の工場のうち、取引規模が大きい、重要性が高い、代替が難しいなどと判断される1,471工場をクリティカルサプライヤーとして定義しています。2023年2月末現在、クリティカルサプライヤーとして定義した工場では約30万人が働いており、男女比率は男性49%、女性51%でした。

CSR監査件数(海外工場)

年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

2019

2020


2021


2022

2023

計画

監査工場数 17 28 328 226 245 215

274

304 413 357 322

327

実施率※1(%)

100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

100.0

100.0 89.8※2 79.9※2 74.2※2

1  監査計画工場数に対する監査実施工場数の割合(生産終了、取引停止により審査の必要がなくなった工場を除く)。

2  新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一部工場の監査が未実施。

再監査工場数(海外工場)

製品

カテゴリー

年度

合計 衣料品 日用品

食料品

2020

2021

2022

2020

2021

2022

2020

2021

2022

2020

2021

2022

再監査工場数 40* 37 28 24 17 17 9 12 3 7 8 8

※ 2020年度から新規取引開始の条件として、CSR監査による認証制度を導入

不適合への対応(CSR監査重大不適合の件数と救済・是正・防止措置)

 2022年度の海外CSR監査は322の工場で実施し、7工場で重大な不適合が確認され、是正対応を実施しています。生活賃金(最低賃金)関連(5件)、若年労働関連(6件)の不適合が確認され、生活賃金(最低賃金)関連の不適合の中には、賃金支払い記録不備も不適合として対応しています。若年労働関連の不適合は、若年労働者の未登録、書類不備などの6件で、すべて是正処置を確認しました。また、CSR監査の結果、強制労働および15歳未満の児童労働、懲罰に該当する不適合は確認されていません。

 不適合の発生を未然に防止するため、2023年2月期は、発生しやすい不適合事例(人権侵害など)を解説するオンデマンド形式で、お取引先様へのコンプライアンス研修を、約1,500社を対象にオンラインで実施しました。 合計4,377人が視聴し、総ページビュー数は20,157となりました。今後も人権尊重と労働環境改善に向けた継続的な取り組みを推進していきます。

国内工場のCSR監査

 セブン&アイHLDGS.では、国内における従業員の働き方改革や外国人労働者の雇用、地球環境保全などの課題に適切に対応するために、2018年より国内のプライベートブランド商品「セブンプレミアム」の製造委託先工場へのCSR監査を実施しています。監査件数は、2018年度に50工場で試験的に監査を実施し、2019年度は327工場、2020年度は271工場、2021年度は371工場、2022年度は535工場(全体の約50%)で本格的な監査を実施しています。2022年度の監査では、約95%の工場について何らかの不適合を確認し、是正対応が実施されていることを確認しました。なお、1件の児童労働に関する重大な不適合が確認されましたが、就業規則の記載ミスに起因するもので、児童労働の実態はありませんでした。強制労働、懲罰、外国人労働者に関する差別や強制労働に関する不適合は確認されませんでした。

 セブン‐イレブン・ジャパンでは、国内の一部のお取引先様に対して、セブン&アイグループCSR監査と同じ基準で、第三者機関に委託してCSR監査を実施しています。2016年度から取り組みを開始し、2022年度は62社、62工場で監査を実施しました。今後もグループ全体でお取引先様とともにCSRを推進してまいります。

お取引先様へのお取引先サステナブル行動指針の周知

お取引先サステナブル行動指針の配布・配信

 セブン&アイHLDGS.は、2018年6月~10月にお取引関係が確認されたお取引先様(18,484社)に対し、グループ各社の商品開発担当者を通じて、お取引先行動指針の配布・配信を実施しました。2019年12月には、お取引先サステナブル行動指針に改訂し、2020年6月までに12,385社に対して指針を配布・配信しました。また、お取引先行動指針の改訂にあわせてWeb説明会を開催し、指針の理解を進めています。

 また、2020年度より、中国・東南アジアにおいてプライベートブランド商品を製造委託する新規のお取引先様には、本指針の遵守を求める誓約書の提出およびCSRに関する覚書の締結、CSR監査による認証をお取引開始の条件としています。海外を含むすべてのお取引先様に、この指針の伝達と理解度の確認を行い、指針が遵守されるよう努めています。

お取引先サステナブル行動指針および品質方針説明会の開催

 セブン&アイHLDGS.は、プライベートブランド商品の製造を委託しているお取引先様に対し、お取引先サステナブル行動指針および関連する方針の説明会を開催しています。

 2018年は中国、タイ、カンボジア、ベトナムで開催し、合計260工場、402人のお取引先様が参加しました(参加率94.9%※1)。2019年は中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム、インドネシアで開催し、合計287工場、482人のお取引先様が参加しました。

 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に伴いお取引先サステナブル行動指針とCSR監査に関する現地説明会を中止しました。2020年6月からは海外に生産拠点のあるお取引先様に向けて、オンデマンド配信でお取引先サステナブル行動指針を説明し、その実践を促しました(178社、274人が視聴※2)。2020年8月からは、中国語およびアジア各国5言語の資料も閲覧できるようにするとともに、10月からは中国語ナレーションを付けたCSR監査の説明動画の配信を中国国内のお取引先様向けに実施しています(66社、79人が視聴)。

 2021年度は、お取引先サステナブル行動指針とCSR監査に関する説明会をライブ配信とオンデマンド配信で実施し、517社、1,071人が視聴しました。2022年度もライブ配信とオンデマンド配信を実施し、480社、666人が視聴しました。※2 また、お取引先様の改善支援、意欲向上を図るため、優良なお取引先様には表彰状とトロフィーを授与しています。

1 CSR監査対象工場(海外)のうち、説明会参加工場の割合

2 オンライン説明会はアクセスログからの抽出のため参考値

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お取引先サステナブル行動指針とCSR監査に関する説明会

お取引先様へのコンプライアンス研修の開催

 セブン&アイHLDGS. は、プライベートブランド商品製造委託先お取引先様に対し、人権や労働環境、地球環境保全などに関する啓発と、関連基本法令に関する理解促進と法令遵守の徹底を目的にコンプライアンス研修を開催しています。この研修は、お取引先サステナブル行動指針やCSR監査の目的、ILO国際労働条約、ISO26000、各国の労働安全法令、設備管理、化学薬品管理などを踏まえて実施しております。また、ESG基準の理解を深めるため、他社事例に基づくケーススタディや、CSR監査結果を踏まえた是正対応についての相談会も実施しています。

 2020年度からは新型コロナ感染症(COVID-19)の影響によりオンデマンド配信によるオンライン動画研修として開催しています。2022年度は、いつでも視聴が可能なように複数のコンテンツを用意し、累計視聴者数は14,698名となりました。なお、研修の運営・準備についてはCSR監査の委託先であるテュフ ラインランド ジャパン株式会社へ依頼しています。

コンプライアンス研修 2022年度の実施状況

※視聴者数はページアクセス状況より抽出

No. コンテンツ

視聴者数

1 CSR監査の趣旨と目的    1,833

2

法令遵守と企業倫理    586
3 ビジネスと人権    333
4 CSR監査の流れ (1)     1,882
5 CSR監査の流れ (2)    587
6 労働安全衛生    5,130
7 強制的な労働 / 賃金と労働時間 1,867
8 化学物質の管理 / 環境 2,480
合計 14,698


コンプライアンス研修 年度別の実施状況

※1 2020年度、2021年度はオンラインライブ形式+録画配信

※2 2022年度はオンデマンド配信

2020年度※1

FY2021年度※1

FY2022年度※2

実施回数

5回 19回 8 コンテンツ
参加対象企業数 604社 517社 480社

延べ参加人数

(視聴者含む)

870人 3,566人 14,698人


【社内】コンプライアンス研修の開催

 セブン&アイグループでは、グループ各社の商品開発および商品仕入を担当している部署の責任者および担当者が出席する会議において、CSR監査の結果報告と監査に関する勉強会を実施しています。また、勉強会ではCSR監査の委託先であるテュフ ラインランド ジャパン株式会社の監査責任者を招へいし、製造委託先の工場がある国・地域に関する最新情報や法令について、具体的な事例を用いてご説明いただいています。

【社内】年度別 コンプライアンス研修 開催回数

2020年度

2021年度

2022年度

実施回数    5回 6回  3回 
参加人数    418人 2,090人  285人 


人権・経済関連団体との連携

 セブン&アイHLDGS.は、人権・経済関連団体と連携し、サプライチェーンマネジメントに関する情報収集と情報発信に努めています。外部団体であるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)、および公益社団法人企業市民協議会(CBCC)に会員として参加しています。また、国際協力機構(JICA)と一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)が共同で事務局を行う「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」にアドバイザリーグループ企業として参加しており、サプライチェーンを含めた外国人労働者の人権保護、適切な労働環境・生活環境の整備を推進し、外国人労働者のディーセント・ワークを実現することで、多文化共生社会を目指しています。さらに、こうした取り組みの一環として、2022年5月から責任ある外国人労働者受入れプラットフォームが実施する「外国人労働者相談・救済パイロット事業」に参加しています。


  主な活動:

・ 2019年9月:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の
  「基礎セミナー」 において、お取引先行動指針とCSR監査について説明
・ 2019年11月:日本経済団体連合会のOECD諮問委員会と企業行動・SDGs委員会、BIAC日本代表委員
  OECD、EU、日本政府、ILOが共同主催する「アジアにおける持続可能なサプライチェーン実現に向けて

  ~責任ある企業行動のための国際協調の促進~」に参加し、情報収集を実施
・ 2020年1月:公益社団法人 企業市民協議会(CBCC)が主催する

  「サプライチェーンにおけるCSR推進に向けた課題に関する懇談会」 において情報共有を実施

・   2020年10月:GCNJシンポジウム2020 のパネルディスカッション「いのち・人から考える企業経営」に

      当社の取締役常務執行役員が登壇し、パネラーとして討論

情報開示

 セブン&アイHLDGS. は、健全なサプライチェーン構築に向け、お客様、お取引先様、投資家など、あらゆるステークホルダーに対し、適時・適切な情報開示に努めています。CSR監査結果やサプライチェーンにおける課題について積極的に情報開示を行い、サプライチェーン全体の透明性を高めることで、より安全・安心な商品をお客様に提供しています。

救済措置

 セブン&アイHLDGS. は、お取引先様、サプライチェーンで働くステークホルダーを利用対象とした、通報窓口(お取引先専用ヘルプライン)を設けています。CSR監査や通報を通じて人権侵害が認められた場合は、調査を実施した上で救済措置を行っています。

お取引先専用ヘルプライン(内部通報制度)

 お取引先専用ヘルプラインは、お取引先様の役員、従業員、元従業員が利用することができます。お取引先様向け説明会の中で、制度の紹介やリーフレットの配布を通して周知を図っています。2022年度お取引先専用ヘルプラインへの通報は42件ありました。

重点課題7の取り組み