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スーパーストア事業の戦略(シナリオ分析)

事業会社:イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨーク(※)

 ※2023年9月 スーパーストア事業再編で、イトーヨーカドーにヨークが吸収合併

 2022年度、セブン&アイグループのスーパーストア事業である、イトーヨーカドー・ヨークベニマル・ヨーク3社のシナリオ分析を実施しました。本分析では、実質的な対応策の立案や正確な事業インパクトの定量化を目指して、スーパーストア3社内にて、それぞれシナリオ分析体制を組織し、管理部門および気候変動に関わる主要部門が参加。各部門でリスク・機会や対応策を議論したことで、実態に即した分析ができ、気候変動への対応力向上につながりました。

シナリオ分析の前提条件

シナリオ分析の前提(2022年度)

シナリオ 脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)・ 温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)
対象事業 イトーヨーカドー・ヨーク・ヨークベニマルの国内店舗運営
分析手法 店舗が直接受ける物理的な影響に加え、店舗運営に伴って発生するコスト、店舗運営に大きな影響を与える商品のサプライチェーン(原材料・商品を製造する工場・商品の配送)やお客様の行動変容について分析
対象年 2030年時点の影響

 本分析では、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、1.5℃目標に対応した分析を実施しました。 具体的には、IEA「World Energy Outlook」で示されているSTEPS ※1、APS※2、NZE2050※3などのシナリオをはじめとして、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」と、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)」の2つのシナリオを設定。2030年時点の影響を分析しております。

    • ※1  STEPS:公表政策シナリオ(Stated Policies Scenario)。これまでに公表された脱炭素政策や目標が反映されているシナリオ。
    • ※2  APS :発表誓約シナリオ(Announced Pledges Scenario)。政府が長期的な実質ゼロ排出目標発表したすべての気候関連のコミットメントを完全かつ時間どおりに満たすことを前提としたシナリオ
    • ※3  NZE2050:50年実質排出量ゼロシナリオ(Net Zero Emissions by 2050)。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナリオにあたり、2050年以前に排出量ゼロをめざすシナリオ。

重要なリスクと機会および対応策について

 2021年度の国内コンビニエンスストア事業の分析事例や各レポートを参考に、スーパーストア事業に影響を与えるリスク・機会を3社の各部門で具体的に議論し、それぞれ多くのリスク・機会があがりました。これらが、売上・利益などの財務面、店舗運営・商品調達などの戦略面に与える影響の大きさを検討。重要なリスク・機会の項目として、「各国の炭素排出目標/政策」「消費者の嗜好変化」「異常気象の深刻化・増加等」「降水・気象パターンの変化」について、事業に与えるインパクトを定性・定量で評価し、対応策を立案しました。

【スーパーストア事業3社のリスク・機会および対応策の一覧表】

◆移行リスク・機会(脱炭素シナリオ1.5℃~2℃)

重要なリスク・機会の項目

具体的な

事例

影響 シナリオ

事業

リスク

事業

機会

主な対応策
政策・
規制
各国の
炭素排出
目標/
政策
炭素価格の
導入

運営

コスト

  • CO2排出量に応じて炭素税が課税され、店舗運営などに係るコスト増加
  • CO2排出量削減に向けて、主に下記施策を推進(環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』)
  • 店舗における省エネ推進、省エネ設備の導入
    (店内照度、冷蔵冷凍設備の温度見直し・LED照明の入れ替え等)
  • 店舗における再生可能エネルギー活用の推進
    (太陽光発電・オフサイトPPA・バイオマス発電 等)
  • 生ごみ処理機の導入による食品残渣の収集運搬コストおよび CO2の削減
  • 配送用燃料費を中心に、サプライチェーンの各段階で炭素税が課税されることでコスト増
    (調達、商品、包装資材、店舗建築設備、販売、物流 等)
  • 低炭素社会に向けて、配送車両EV化の投資コスト増
  • お取引先の省エネや再エネ利用拡大への支援
  • EV車両など環境配慮型車両の利用拡大
  • 物流の効率化、グリーン化施策の推進
    (配送体制見直し、共同配送、モーダルシフト、置き配の拡大 等)
  • 地産地消の推進による調達コスト低減
電力小売
価格の変動

運営

コスト

  • 省エネシフトに伴う電力小売価格の上昇
  • サプライチェーンを通じてのコスト増
    (調達、商品、包装資材、店舗建築設備、販売、物流 等)
  • 店舗における省エネ推進、省エネ設備の導入
  • お取引先における省エネ設備導入への支援など

EV車両の

普及拡大

運営

コスト

  • 店舗駐車場でのEV充電器に係る設置・メンテナンスコスト増
  • 店舗駐車場でのEV充電サービスの拡大で、売上客数の増加を見込む
売上
  • 店舗駐車場でのEV充電サービスに係る来店動機増加
評判

消費者の

嗜好変化

サステナブル商品販売による売上の変化 売上
  • 消費者のサステナブル商品への関心が高まり、それに応える商品を販売することで売上が増加
  • 消費者のサステナブルなサービスへの関心が高まり、資源改修やリサイクル等の取組による来店動機増加、評判向上
  • 認証原材料(オーガニック農産品・認証海産品等)の品揃え拡大(『GREEN CHALLENGE 2050』の目標「持続可能な調達」)
  • 大豆ミート等代替肉の品揃え
  • ノントレー、ラベルレス等の環境配慮型容器包装導入やペットボトル回収・リサイクルの推進(『GREEN CHALLENGE 2050』の目標「プラスチック対策」)
  • リサイクル素材を使用した買い物かごの導入


◆物理的リスク・機会(温暖化進行シナリオ2.7℃~4℃)

重要なリスク・機会の項目

具体的な

事例

影響 シナリオ

事業

リスク

事業

機会

主な対応策
急性 異常気象の深刻化・増加等 自然災害に
よる被害

運営

コスト

  • 自然災害の発生頻度や強度が強まり、大雨や台風による洪水での店舗被害や商品損害、休業による売上損失、復旧費、従業員の安全確保等で被害額が増加
  • 生産地や物流網等のサプライチェーン被害による欠品、機会損失
  • 防災対策の投資コスト増
  • 水害を想定した出店戦略、店づくり(止水板や防潮板の設置拡大)
  • 災害に強い物流拠点・供給網の構築
  • 災害協定など店舗インフラを活用した災害拠点化(地域住民の避難場所等)
  • 蓄電池の性能向上などフェーズフリー設備による災害時の営業継続
  • 緊急物資配送用の燃料備蓄
  • 井水導入で非常時の水確保(イトーヨーカドー)
レジリエンス向上による信頼・売上増 売上
  • 消費者の防災意識が高まることで、災害対策商品の需要増加
  • 防災用品や備蓄品、簡便即食商品の品揃え拡大
自然災害に関する保険料の支払い

運営

コスト

  • 自然災害の発生頻度や強度が強まることで、自然災害に関する保険料の支払い額が増加
  • 各種被害防止策により損失を抑制
慢性 降水・気象パターンの変化 農畜水産物の原材料価格の変動

運営

コスト

  • 農畜水産物の収量や品質が低下することで、原材料価格が上がり、調達コストが増加
  • 原材料生産地の分散と集約
  • 工場野菜や陸上養殖、品種改良など気候耐性のある原材料や認証原材料の調達拡大による安定的な仕入の確保
  • デジタル技術やAIの活用
  • 気候に左右されにくい、冷凍食品や加工食品の品揃え拡大
平均気温の上昇

運営

コスト

  • 平均気温の上昇により、夏季を中心に、空調や冷蔵冷凍設備にかかる電気使用量が増加し、電気料金の支払いが増加
  • 店舗における省エネ推進、省エネ設備の導入
  • 暖房費、除雪費用等の冬季の運営コスト削減(ヨークベニマル:寒冷地域)
  • 冬季の来客増加(ヨークベニマル:寒冷地域)
売上
  • 暑熱による外出頻度低下で来客数減少

  • お届け事業、ECサービス拡大
    (イトーヨーカドー:大型センターによる配送枠増)
  • クーリングシェルターとして来店の呼びかけ (イトーヨーカドー:東京都のクールシェアスポットとして全店を登録)
  • お届け事業、ECサービスの需要増加
新たな販売機会の創出・販売機会の拡大

売上

  • 気温上昇によるお客様の嗜好の変化
  • 暑熱対応商品(冷感商品、涼味商品、日焼け止め等)の品揃え拡大

※事業インパクト評価にあたっては、それぞれ影響が大きいほうのシナリオを参照

※一部、立地や店舗規模に応じて、限定的な項目あり

(1)重要な移行リスクと対応策  脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)

 移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、様々な規制が導入される脱炭素シナリオに基づいて検討。中でも、最も大きな影響があると予測される、炭素価格の導入による「炭素税制度の影響」について、以下の通り試算しました。

【重要な移行リスク:炭素税制度の影響】

項目 事業インパクト
炭素税額(2030年) 74億円

<前提> ・炭素税額 :135ドル/トン-CO2(IEA「World Energy Outlook2022」の最大金額)
・為替レート:131.62円/ドル(23年2月期決算時に使用したレートに合わせています)

 IEA「World Energy Outlook 2022」を参考に2030年時点の炭素税額を135ドル/トン-CO2と設定し、最大金額でインパクトを試算、スーパーストア事業3社での炭素税合計は、事業活動の成長に伴いCO2排出量が増加した場合の単純計算では107億円になりました。しかし、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』に掲げる通り、CO2排出量を、2030年に50%削減(2013年度比)することで、炭素税額は74億円(33億円削減)となります。さらに、2050年目標であるCO2排出量実質ゼロに向けて取り組みを推進することで、最終的に炭素税の影響は無くなると見込んでいます。

◆主な対応策

 CO2排出量削減の目標達成に向けた取り組みにより、炭素税の影響や電気料金の支払い増加などの移行リスクを大幅に軽減していきます。当社グループのCO2排出量の約9割は店舗運営における電気使用に由来しているため、省エネ・創エネ・再エネ調達の3つの柱でCO2排出量削減を進めていると共に、スコープ3を含めたサプライチェーン全体の削減を目指しています。


スーパーストア事業では、特に以下の取り組みを進めています。

1 省エネ 

 省エネ設備の導入や従業員による節電により、電気使用量の削減を推進。(店内照度、冷蔵冷凍設備の温度見直し・LED照明の入れ替え等)

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                  冷気を逃がさないリーチインケース(ヨークマート)             冷蔵ケースのフィルター清掃(ヨークマート)

2 創エネ 

 イトーヨーカドー23店(うちヨーク9店)、ヨークベニマル42店に太陽光パネルを設置(2023年2月末時点)。

3 再エネ調達

 オフサイトPPAの取り組みなど、様々な電力会社と協力の幅を広げています。

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Ario市原店

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ヨークベニマル太平町店

(2)重要な物理的リスクと対応策  温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)

【重要な物理的リスク:自然災害の影響】

項目 事業インパクト
店舗被害、商品損害、休業による売上の損失、復旧費用など 55億円

<前提>2019年(台風19号到来)と同規模災害が発生
    ※ 2019年災害時の被害実績と災害や洪水の発生頻度増加予測から試算。また、被害の程度を把握するため、保険適用を考慮せず試算を実施しています。

 温暖化進行シナリオでは、異常気象による自然災害の発生が最大のリスクです。自然災害は発生予測が難しく、一度発生すれば甚大な被害をもたらします。近年、温暖化進行により、災害をもたらす大雨などの極端な気象現象の発生が増加しており、本シナリオにおいて、この傾向はさらに強まります。
 そこで、過去の災害発生時の被害金額を踏まえ、甚大かつ広域な被害が予想される、「台風19号による計画休業を実施した2019年度と同規模災害が発生した場合」を想定し、店舗被害や商品損害、休業による売上損失、復旧費用などの被害金額を、スーパーストア3社合計で55億円と試算。なお、本シナリオより災害や洪水の発生確率は下がるものの、脱炭素シナリオにおいても異常気象による自然災害の発生は特に重大なリスクと考えており、同じく被害金額を合計46億円と試算し、その影響を把握しています。

◆「自然災害の影響」への主な対応策

 災害対応の充実を図ることで、災害時に店舗の営業を早期に再開し、また、インフラや避難場所など災害拠点として機能することで、地域のお客様への貢献を続けていきます。自然災害が増大するリスクへの対応として、以下の対応を進めています。

・早期復旧の体制構築
・水害を想定した店づくり(止水板や防潮板の設置拡大)
・蓄電池の性能向上などフェースフリー設備による災害時の営業継続
・緊急物資配送用の燃料備蓄
・災害協定など店舗インフラを活用した災害拠点化

〔自治体との包括連携協定数〕

2021年
2月末

2022年

2月末

2023年

2月末 

イトーヨーカドー 56 79 78
ヨークベニマル 10 11 14
ヨーク 4 4 4
グループ合計 267 320  329


(自治体連携)イトーヨーカドーの取り組み
・2022年7月13日   千葉県船橋市物資供給訓練
・2022年9月  3日   東京都・品川区合同総合防災訓練

・2022年11月5日   埼玉県朝霞市防災フェア出展


・2022年11月4日締結 東京消防庁赤羽消防署 大規模災害時における物資供給に関する協定(※)

・2022年12月1日締結 埼玉県上尾市 洪水時における施設の利用に関する協定書

・2023年2月14日締結 東京消防庁多摩消防署 大規模災害時における物資供給に関する協定(※)

 ※ 大規模災害時に被災地にて救援活動を行う消防署員に対し、食料・日用品などの必要物資を供給するもの。

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           東京消防庁多摩消防署 協定締結式の様子                 東京都・品川区 合同総合防災訓練の様子


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<関連したWebサイトリンク>
忘れてはいけない 東日本大震災から10年


【重要な物理的リスク:原材料原価の上昇】

 次に大きなインパクトをもたらすと考えられる、気象パターンの変化による「原材料原価の上昇」インパクトを試算しています。スーパーストア事業の初年度分析における分析対象の原材料については、仕入金額の構成や将来情報の有無をもとに検討し、『米・トマト・豚肉』を選定しました。(分析対象は、今後拡大予定)
 気候変動の影響で収穫量が低下(※)し、その分、仕入金額が増加すると仮定して、その増加額を試算。『米・トマト・豚肉』の調達において、主に温暖化進行シナリオで大きな影響が見込まれることが分かりました。さらに原材料調達については、この「気象パターンの変化」だけでなく、前述した「炭素税制度」や「自然災害の増加」などの影響も関連することが見込まれ、それらを踏まえて各種対応策を検討・実施しています。
※収穫量の変化は、文部科学省、環境省、気象庁、国立環境研究所、農業・食品産業技術総合研究機構などのデータから試算

◆「原材料原価の上昇」への主な対応策

 環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』では、オリジナル商品で使用する食品原材料を持続可能性が担保された材料を使用する「持続可能な調達」の目標を掲げ、自然共生社会の実現に向けて推進しています。以下、「原材料原価の上昇」への対応策として、安定的な仕入のために行っている代表的な取り組みとなります。

・原材料生産地の分散と集約
・野菜工場や陸上養殖など気候耐性のある原材料や認証原材料(水産物、農産物)の調達拡大による安定的な仕入の確保
・デジタル技術やAIの活用

・気候に左右されにくい、冷凍食品や加工食品の品揃え拡大


農産物

 各社で生産者と連携してGAP認証(※)の取得を推進していることに加えて、安全・安心、おいしさにこだわって作られた国産野菜を厳選してお届けする「顔が見える野菜。(イトーヨーカドー)」や「三ツ星農産物(ヨークベニマル)」などのプライベートブランドの野菜を販売しています。環境にも人にもやさしい商品であるために、「誰が、どこで、どのような思いで 」生産したのかを分かりやすく情報公開しています。
※GAP認証とは、農業の持続性に向けた取り組みを推進する生産者に対し、第三者機関の審査により与えられる認証です

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イトーヨーカドー 野菜売り場

           セブン&アイグループのJGAP指導員資格取得者数(人)

2021年度 2022年度
グループ合計 62 139

※JGAP青果と畜産の総計

※セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、セブン&アイ・フードシステムズ、アイワイフーズ、セブン&アイ・ホールディングスの従業員

イトーヨーカドー「顔が見える食品。」売上金額

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
売上金額(億円) 228 246 243 248

※概数


水産物

 豊かな海の恵みを未来世代に引き継ぐために、MSC(※1)やASC(※2)など持続可能性が担保された商品の販売に取り組んでいます。

 2022年10月、当社グループは、国際的な非営利団体MSC(海洋管理協議会)ASC(水産養殖管理協議会)の、自然環境に配慮した認証水産物の流通管理に関する認証規格の『CoC認証』を取得いたしました。CoC認証は、自然環境に配慮して生産されたMSCASC認証水産物が製造・加工・流通の全ての過程において非認証水産物と混ざらずに、適切に管理されていることを認証する制度です。CoC認証の取得によりグループのスーパー店内で加工したMSCASC認証水産物についても認証商品として販売することが可能になりました。それまで、グループのスーパーで販売するMSCASC認証水産物は魚卵など、店外加工された一部の商品に限られていましたが、今回、CoC認証を取得したことで、水産商品の主力品である「セブンプレミアム フレッシュ」等、グループのスーパーの店内で加工した刺身や切り身商品も認証商品として、販売を開始することができます。

 また、生産者とお客様をつなぐ小売業の責任として、持続可能性が担保された商品の価値や生産者の想いを店頭・ウェブサイトなどを通じて、お客様にお伝えすることにも力を入れています。

※1 MSC=Marine Stewardship Council(海洋管理協議会) 水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業でに関する天然の水産物の認証規格。 

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※2 ASC= Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会) 自然環境の汚染や資源の過剰利用の防止に加え、労働者と地域社会にも配慮した責任ある養殖業で養殖された水産物の認証規格。

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(3)両シナリオでの事業機会と対応策

【脱炭素シナリオにおける事業機会について】

 本シナリオでは、お客様の意識の変化を大きな事業機会として捉えています。国の政策など世の中の脱炭素化の動きに合わせ、お客様がサステナブルな商品やサービスに大きく関心を持つようになっていくことで、現在の私たちの取り組みが機会に結び付き、更に取り組みが加速すると考えています。例えば、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」で推進している下記のような取り組みとなります。


「CO2排出量削減」の取り組み

 脱炭素シナリオにおいて電気自動車が普及していくことから、スーパーストアの駐車場で電気自動車用充電サービスを拡充させることが、来客増加の機会になると考えています。2023年6月末時点、スーパーストア2社で計2,373基の電気自動車用充電器を設置しています。

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「プラスチック対策」の取り組み

 オリジナル商品の容器包装を環境配慮型素材にしていくことや、ペットボトル回収&リサイクル推進をすることで、お客様に関心を持っていただき、来客増加の機会になると考えています。

 当社グループでは、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の目標のひとつ「プラスチック対策」において、2030年までにオリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器包装を50%、2050年までに100%環境配慮型素材にすることを目標として掲げ、容器・包装に係る環境負荷の低減を推進しています。 イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークでは、生鮮食品および惣菜の量り売りなど販売方法を工夫し、容器包装の使用量削減を図っています。また、惣菜売場ではコロッケ・唐揚げなどの販売方法について、プラスチック容器を使わない紙袋による販売も拡大しています。そのほか一部店舗では、精肉売場や鮮魚売場で販売している商品の一部で、トレイを使用せずポリ袋包装で販売する方法を採用しています。

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<関連したニュースリリースなど>
・(2022.3)イトーヨーカドーのプラスチック対策について

 ペットボトル回収機については、スーパーストアとセブン-イレブンにて2023年7月21日時点、2,935店舗に設置しています。また回収したペットボトルは、国内でペットボトルや肌着などに再生される「循環型リサイクル」システムを実施しています。

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「持続可能な調達」の取り組み

 「顔が見える野菜。(イトーヨーカドー)」や「三ツ星農産物(ヨークベニマル)」などのプライベートブランドの野菜をはじめ、水産物(MSC認証・ASC認証・MEL認証など)や農産物(GAP認証など)の認証取得商品など、持続可能性が担保されたサステナブル商品の品揃え拡大をすることで、お客様に関心を持っていただき、来客増加の機会になると考えています。

【温暖化進行シナリオにおける事業機会について】

本シナリオでは、気温上昇に伴ったお客様の嗜好変化・行動変化として、下記の内容を主な事業機会として捉えています。

・お客様の防災意識が高まることで、災害対策商品の需要増加
・暑熱時に好まれる商品(冷感商品)の販売伸長
・暑熱で外出頻度が低下することで、お届け事業やネットスーパーなどECサービスの利用増加


◆売り場での防災コーナーの展開

 お客様の防災意識の高まりに合わせて、イトーヨーカドー店内で防災コーナーを展開しています。

  

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◆イトーヨーカドーネットスーパー 新横浜センター

 年々拡大するお客様の配達ニーズに対応するため、2023年8月、『イトーヨーカドーネットスーパー 新横浜センター』を開設しました。近隣のイトーヨーカドー約30店舗の配送エリア及び、同センターから約30km圏内を配送エリアとする大型拠点です。

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スーパーストアの気候変動対応について、詳しくはこちらをご覧ください。
・イトーヨーカドーWebサイト CSR 「社会・環境への取り組み
・ヨークベニマルWebサイト CSRレポート2022 ※重点課題3をご覧ください。