2021.06.11

食品ロス・食品リサイクル対策

賢者のレシピ

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タサン志麻さんと考える
私たちができる「暮らしの中のエコ」

6月は環境月間です。食品ロス削減レシピ『賢者のレシピ』を開発いただいた伝説の家政婦タサン志麻さんに、私たちの毎日の暮らしを、もっと楽しく、エコにしてくれる工夫を教えていただきました。
Chapter 1

「こうしなくちゃ」をやめると、
料理の幅が広がり食材のムダもなくなる

−−志麻さんは、いつも短時間にパパッとその場の限られた食材だけでたくさんの料理を作られていらっしゃいますが、昔からそういうことがお得意だったのですか?

いいえ。私はフランス料理の料理人をしていましたので、むしろ料理はこうじゃなくちゃいけないという思いが強く、家でフランス料理を作ったこともなかったんです。フランス料理は、手軽に家で作れるようなものではないと思っていましたから。でも、家政婦の仕事を始めて、そのお家にあるもので料理をするようになり、ある物で何とかするにはどうしようか考えるようになった積み重ねの結果です。

−−例えば、どのような料理がありますか?

普段から和食中心で醤油とみりんと酒くらいしかないお家でも、1週間飽きずに食べていただきたいので、中華も、洋風の料理も、できればフレンチやエスニックも作りたい。そんな時、何で中華っぽくするかと言うこと、ごま油を使います。大抵のご家庭にはごま油がありますから、それにニンニクと生姜を利かせると中華風になります。あと、味噌に砂糖やみりんを足して甜麺醤(テンメンジャン)のような甘さを出すとか。エスニックにしたい時は、ニンニクにレモンなどの酸味とお砂糖で甘さと酸っぱさを加えたり。パクチーがなくても、セロリなど少し癖のある香味野菜を使って、例えば肉団子にセロリの葉っぱを混ぜるとエスニック感が出ます。そうやって代用できるものがいっぱいあるので、あまり難しく考えずに、いろいろ試してみると面白いと思います。レシピや自分のこうしなくちゃいけないというこだわりを捨てていくと、すごく料理の幅も広がるし、食材を無駄にせず冷蔵庫の中もスッキリします。

Chapter 2

毎日の小さなエコの積み重ねが大切

−−食材を無駄にしないというのは、エコな生活にもつながりますね。志麻さんは、日頃他にエコで意識されていることはありますか?

お風呂の水を洗濯に使うとか、電気をこまめに消すとか、普通のことですがやっています。最初にフレンチの修行をした老舗フランス料理店のシェフが、食材の無駄に厳しい方で、そこでの経験が生きています。野菜の皮は捨てずにスープの出汁にする、水を出しっぱなしにしない、野菜を洗った水も貯めて沸かせば鍋を洗う時に使えるなど。ちょっとしたことなんですが、料理は毎日することなので、その積み重ねが大きいですね。
あと、フランスに留学していた時に、フランス人の物を無駄にしない生活にも影響を受けました。15年以上も前のことですが、すでにエコバックを持ち歩くのは普通でしたし、過剰包装には厳しく「ゴミになるから包装はいらない」と断るのも当たり前のようでした。コンポストを使ってできた肥料で、ベランダや庭先で野菜を育てて楽しむ人も多かったです。とにかく家庭から出るゴミが少なくて、特にプラスチック系のゴミが少なかったのが印象的でした。私もできるだけ、日常の中でそういう意識を大切にしたいと思っています。

Chapter 3

家族で一緒に楽しく会話を楽しむ食卓を
大事にしたい

−−志麻さんは、小さなお子さんを育てるお母さんでもありますね。ご家庭でのエコやお子さんへの教育などで意識されていることはありますか?

普段の生活の中で、できるだけいろいろな考え方や意識を見せてあげたいと思っています。教科書的に学ぶのではなく、例えばテレビで流れるニュースから、一緒に環境について話をしてみたり。家では、フランスのニュース番組を流していることが多いのですが、オーストラリアの森林火災やプラスチックゴミを飲み込んでしまった魚のニュースなどじっと見入っていたので、「何でこんなことが起きたのか」など話をしたりしました。まだ3歳と1歳ですが、興味を持ってくれて。そんなふうに、自然と環境問題などにも関心を持ってくれるといいなと思っています。

−− 家族の食卓で意識されていることや、食育で大事にされていることはありますか。

フランスでは、家族で一緒に食事をする時間がとても長く、夕食とか普通に1時間半とかかけて、みんなでゆっくり食事を楽しみます。煮込み料理など鍋ごとドンとテーブルに置いて、それをみんなが各々取り分けながらわいわい話をして食べるので、自然と時間もかかるんですよね。小さな子どもも、「今日は何が入っているのかな」とか覗き込みながら自分の食べたい物を選んでいくので、飽きずに食卓についていますし、食育にもなっているのかなと思います。子どもだって、大人と同じように、今日はこのくらいしか食べられないかなと思うようなことがあるはずです。おやつを食べ過ぎちゃったかなとか。だからまず、「今日はどのくらい食べるの?」と自分で食べられる量を決める習慣を自然につけてほしいと思っています。フランス人の夫は、子どもが自分で取り分けた分を残すとすごく叱るのですが、「今日はこれしか食べられません」と言う分には「全然いいよ」と。だから、子どもたちも納得するし、食材などにも興味をもって、すごく楽しそうに食べてくれます。
あとは、とにかくみんなで食べることを楽しむ。そのためには、私自身も無理をしない。今日はちょっと疲れたなと思ったら、レトルトのソースなどを使って時短でパパっと作ったり、買ってきたお惣菜を組み合わせたり。自分自身が、家族と囲む食卓で楽しくいたいと思っているので、その気持ちが大事なのかなと考えています。

タサン 志麻さん

公式プロフィール

大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業。ミシュランの三ツ星レストランでの研修を修了して帰国後、老舗レストランなどで、約15年勤務。結婚を機に、フリーランスの家政婦として活動開始。各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でその仕事ぶりが放映され、年間最高視聴率を記録。出版したレシピ本は続々ベストセラーとなり、著者累計150万部を突破。『志麻さんのプレミアムな作りおき』でレシピ本大賞2018 料理部門入賞、『志麻さんの気軽に作れる極上おやつ』でレシピ本大賞2020 おやつ部門準大賞を受賞。
現在は家政婦の仕事に加えて、料理イベント・セミナーの講師や、地方の特産物を活かしたレシピ考案など多方面で活動中。フランス料理やフランス人を通じて学んだ家族の食卓の温かさを、忙しい日本の家族に届けたい一心で、日々、料理と向き合っている。フランス人の夫、2人の息子、2匹の猫と暮らしている。

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