ホーム サステナビリティ 明日にいいこと。つなげる、つづける。 「7つの重点課題」活動レポート 今日も明日も、50年後も。 未来につながる“水産エコラベル”の取り組み

「7つの重点課題」活動レポート

2023.3.31

  • 課題2
  • 課題3
  • 持続可能な調達

今日も明日も、50年後も。
未来につながる“水産エコラベル”の取り組み

セブン&アイ・ホールディングスは、持続可能な水産物の認証として国際的に知名度のあるMSC・ASC認証水産物の流通・加工に必要な認証規格『MSC・ASC CoC認証』を取得しました。この認証の取得にあわせて、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークフーズ、ヨークマートで、ASCの認証を受けた『セブンプレミアム フレッシュ 生アトランティックサーモン』の販売を2022年10月より開始しました。
セブン&アイがMSC・ASC CoC認証の取得に挑戦した目的や背景、ASC認証商品としての販売が始まった生アトランティックサーモンの魅力について、今回の取り組みを推進したセブン&アイ・ホールディングス セブンプレミアム開発戦略部の馬渕悠人さんにお話をうかがいました。

Chapter 1

持続可能な調達100%を目指して。

皆さんは、“水産エコラベル”をご存じですか?水産エコラベルとは、水産資源や生態系などに配慮した環境にやさしく、適切に管理された持続可能な漁業や養殖業を認証し、認証を受けた水産物にその証明となるラベルを表示する仕組みのことです。お買物の際に、このラベルを目印にすれば持続可能性に配慮した水産物を選び、購入することができます。水産エコラベルの認証管理団体は世界各地に存在し、ラベルの種類もさまざまですが、国際的に認められた代表的な水産エコラベルとして、MSC・ASC・MELなどの認証規格が挙げられます。

セブン&アイグループでは、2050年までに達成を目指す4つのテーマから成る環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を掲げています。その1つである「持続可能な調達」というテーマでは、セブンプレミアムを含むオリジナル商品に使用する食品原材料を、2050年までに100% “持続可能性が担保された材料”にすることを宣言しています。この目標の達成に向けた1つの具体策として、セブンプレミアム商品に水産エコラベルを貼り付けた商品を導入していく取り組みが始まったそうです。2018年10月には、セブンプレミアム商品としてMSC認証を取得した辛子明太子・たらこなどの販売をスタート。その後も同シリーズ商品としてASC認証を取得した海老フライなどを登場させ、ラインアップを拡充してきました。しかし、店内加工を伴う刺身や切り身などのカテゴリーにおいては、水産エコラベルをパッケージに貼り付けし、販売することができなかったそうです。その理由について、この取り組みを推進してきたセブンプレミアム開発担当の馬渕さんは次のように語ってくれました。

「販売する商品に水産エコラベルを表示するためには、水産物を漁獲・養殖する生産者だけでなく、加工や流通を担う事業者も『CoC認証』という資格を取得する必要があります。辛子明太子や海老フライのように、すでにパック詰めされた認証商品を仕入れて販売する場合は、私たちが認証を取得していなくてもラベルを表示してお店に並べることができました。しかし、認証を受けた水産物をグループのお店で刺身や切り身などに加工して販売する場合、私たち自身も『CoC認証』を取得しなければラベルを表示することができなかったのです。」
GREEN CHALLENGE 2050で掲げる“持続可能な調達100%”の目標を達成するためには、セブン&アイグループ各社が『CoC認証』を取得することが必要不可欠。そう考えた馬渕さんは、グループ内でスーパーストア事業を展開するイトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークフーズ、ヨークマートと連携して、『CoC認証』の取得に乗り出しました。

Chapter 2

ASC認証のサーモンがお店に並ぶまで。

『CoC認証』とは、水産エコラベルの認証を受けた水産物が水揚げされた後、製造・加工・流通のすべての過程で認証されていない他の水産物と混ざることなく適切に管理されていることを認証する制度です。

『CoC認証』は水産エコラベルの認証を行う機関ごとに取得する必要があり、馬渕さんたちは今回の取り組みでMSC・ASC認証における『CoC認証』の取得を目指しました。この背景には、「以前からセブンプレミアムとして取り扱っていた“生アトランティックサーモン”をASC認証の商品として販売したい」という思いがあったそうです。
「グループのお店の鮮魚カテゴリーにおいて、売り上げの大きな割合を占めるのがまぐろとサーモンです。特に、セブンプレミアムの生アトランティックサーモンはグループ各社で広く取り扱っている象徴的な商品です。サーモンの生産者であるノルウェーの企業は既にASC認証を取得していたので、加工・販売を担う私たちが『CoC認証』を取得すれば、商品に認証ラベルを貼ってお店に並べることができる。その実現を目指して、認証取得に取り組みました。」

セブン&アイ・ホールディングスは、『CoC認証』の取得に向けたプロジェクトを2021年10月頃からスタート。イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークフーズ、ヨークマートと連携しながら取り組みを進め、翌2022年の6月に見事認証を取得することができました。取得に至るまでの過程で、最も大変だったことは「お店で実際に加工する方々の負荷にならない運用ルールを構築すること」だったと馬渕さんは語ります。
「『CoC認証』の審査を通過するためには、細かく定められた運用条件をクリアしなければなりません。一方で、それぞれに鮮魚の管理や加工に関する独自ルールも存在するため、なるべくお店の実状に沿ったかたちでCoC認証に対応した運用ルールを作り上げる必要がありました。」
馬渕さんは鮮魚担当者と何度も話し合い、試行錯誤を重ねながら最善と思われる運用ルールを構築。店舗への研修などを経て『CoC認証』を無事に取得し、目標としていたASC認証の生アトランティックサーモンの販売を2022年10月28日よりスタートさせることができました。

「このサーモンの特徴は、産地であるノルウェーから生のまま空輸しているところです。一度も冷凍していないからこその鮮度と、上質な脂の味わいをお楽しみいただきたいです。」と、馬渕さん。ASC認証の『セブンプレミアム フレッシュ 生アトランティックサーモン』は、セブン&アイグループ傘下のスーパーマーケット461店舗(2022年10月末現在)にて販売しています。ご興味のある方は、ぜひお近くのお店で手に取って“生”ならではのおいしさをお確かめください。

Chapter 3

限りある海の資源を、未来につなぐ。

今回、セブン&アイ・ホールディングスとしてMSC・ASCの『CoC認証』を取得したことで、グループのスーパーの店内で加工した切り身や刺身にも認証ラベルが表示できるようになりました。しかし、今回の取り組みを振り返った時、本当に目指すべきゴールはそこではないことに馬渕さんは気づいたそうです。
「いま、日本ではさまざまな水産物の漁獲量が目に見えて減少しています。このまま水産資源が枯渇してしまえば、私たちは魚を販売することができなくなりますし、生産者の方々の生活も成り立たなくなってしまいます。もともと、この取り組みは認証ラベルを表示して商品に付加価値を与えることを目標にしていましたが、本当の目標はその先にある“水産業の未来”を守ることだと考えるようになりました。」
自分たちの力で海の環境を守り、水産資源を未来に残していくためにも、水産エコラベルの認証を受けた商品の拡充にこれからも全力を注ぎたい。そう馬渕さんは語ってくれました。

画像提供:モウイジャパン
画像提供:モウイジャパン

もう一つ、セブン&アイグループのお店で持続可能な水産物を取り扱う意義について、馬渕さんは次のように話してくれました。
「今はまだ水産エコラベルの存在が世の中に認知されていませんし、水産資源が枯渇する危機感を感じている方も少ない状況です。だからこそ、たくさんの方々の生活に身近な私たちのお店で持続可能な水産物を扱うことで、お客様がその存在を知り、行動を変えるきっかけを生み出していきたいと考えています。」
水産エコラベルの認証を受けた商品を一つずつ増やしていくことで、よりよい未来に一歩ずつ進んでいく。セブン&アイ・ホールディングスは、持続可能な調達にこれからも全力で取り組みます。

セブン&アイ・ホールディングス
セブンプレミアム開発戦略部

馬渕 悠人

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