「7つの重点課題」活動レポート

2021.1.19

  • 課題3
  • プラスチック対策

みんなの海を守るために、いまできること

藤沢市、日本財団、セブン‐イレブン・ジャパンの三者の協同によりスタートしたペットボトル回収事業。最近、プラスチックごみによる海洋汚染問題が気になっているライター吉田が、藤沢市長の鈴木恒夫さんとセブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ推進室の矢萩陽子さんの対談の場にお邪魔し、プロジェクトの現状から今後の展望までを語っていただきました。

Chapter 1

産官民の連携で目指す海洋ごみ削減

セブン‐イレブンのペットボトル回収機

軽くて持ち運びしやすく、耐久性に優れたペットボトル。今や生活に欠かすことのできない存在といえます。
多くの人がペットボトルを便利に使う一方で、利用後の処理がきちんとされず、使い捨てにされています。
PETボトルリサイクル推進協議会によると、2019年度には日本国内で59万3,000トン(245億本)のペットボトルが販売されましたが、そのうち約2%は未回収。一部は海に流れ込んでいます。
また、同年のペットボトルのリサイクル率は85.8%ですが、キャップやラベルの分別がされていないものは、焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルに回されています。

セブン‐イレブン・ジャパンでは、“循環型社会”の実現と海洋ごみの削減の取り組みとして、使用済みペットボトルを原材料に、飲料用ペットボトルとして再生する循環型の「完全循環型ペットボトル」を推進すべく、藤沢市、日本財団と協定を締結。産官民の連携によって、2020年8月より藤沢市内のセブン‐イレブン15店舗にペットボトル回収機を設置、地域社会と一体となったペットボトルリサイクル活動を促進しています。
セブン‐イレブン・ジャパンではペットボトル回収機の店頭への設置は、2017年よりスタート。現在、東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県、沖縄県内の487店舗(2020年12月31日現在)で稼働しています。

Chapter 2

ペットボトルの循環利用で海を守る!

海の街である藤沢市にとって、海洋プラスチックごみは身近な問題です。わが市が国際イベントでセーリング競技の会場に選ばれたことを契機に、セブン‐イレブン・ジャパンさん、日本財団さんと意見交換を行い、プラスチックごみ削減の一環として、ペットボトルの資源循環モデルを構築しようとの思いが一致しました」

そう語るのは、藤沢市長の鈴木恒夫さん。かながわ海岸美化財団が行った調査では、同県の海岸ごみの7割は川から流れてきたものであり、そのうちの半分以上がペットボトルを含むプラスチック類であると報告されています。
境川が流れている藤沢市においても、海岸清掃やポイ捨ての防止とともに、使用済みペットボトルの回収率を向上させていくことは重要な課題です。

そこで、藤沢市は「市民への周知啓発および店舗からの回収」、日本財団は「回収機本体費用の50%を支援」、セブン‐イレブン・ジャパンは「回収機の設置・運用」を担うことになりました。

ペットボトルのリサイクル循環

セブン‐イレブン・ジャパンの矢萩陽子さんは、「湘南エリアを代表する藤沢市で取り組みをスタートできて、非常に喜ばしく思っています。回収機を使ったペットボトルの循環利用は、海洋プラスチックごみ対策としても意義があると感じています」と、話してくれました。

Chapter 3

セブン‐イレブンを新たなリサイクル拠点に

鈴木市長によると、ペットボトル回収機は市民の方々から「高く評価していただいています」とのこと。
「利用者の皆さんからご好評をいただいていることに加え、他の自治体からも注目度が高く、県内外から反響があります。回収機の利用は、生活の一部として自然に定着、浸透していくのではないかと予測しています」

ペットボトル回収機を利用する際は、キャップとラベルを分別し、中を洗浄して潰すのが望ましいとされています。セブン‐イレブンの店頭では、お客様に手順を理解していただくため、POPの掲示などで使い方を周知。矢萩さんのもとには、利用者からの「気軽に利用できてうれしい」「回収後の循環サイクルがわかりやすい」といった声が届いているそうです。
「セブン‐イレブンがリサイクル拠点として貢献し、新たな習慣をお客様と一緒につくっていきたいと思います」

※写真撮影時のみマスクを外しています。

このペットボトルの循環リサイクルに関連する取り組みとしては、セブン&アイグループの店頭で回収させていただいたペットボトルを100%使用したリサイクルペットボトルを原材料として使った日本コカ・コーラ様との共同企画商品『一(はじめ)緑茶シリーズ』があり、完全循環型のペットボトルとして注目を集めています。

完全循環型ペットボトルリサイクル
Chapter 4

循環型社会の実現に向けて

矢萩さんは今回の取り組みによって、藤沢市の後押しを非常に心強く感じています。
「企業がペットボトルのリサイクルを進めると『お願い』になりますが、行政の方々が関わると、市民の皆さんは『藤沢のために頑張ろう!』と思ってくださるようです。認知度を高め、たくさんの方に広める過程において、本当に大きな力になっています」

※写真撮影時のみマスクを外しています。

この言葉を受けた鈴木市長は、「行政だけではどうしても限界があります。それぞれが得意なことを実践し合い、マルチなパートナーシップによってペットボトルの循環システムを構築できれば理想的ですね」と、笑顔を見せます。
そして矢萩さんは、ペットボトル回収機の利用を「当たり前」の行動にしていくため、意欲に燃えています。
「この問題を考える時、どうしてもペットボトルが悪者になってしまいますが、大切なのはごみではなく資源として循環させていくことです。これまでペットボトルをそのまま捨てていた方が、キャップを外し、ラベルを剥がすようになり、ボトルtoボトルのリサイクルにご参加いただくということは、とても大きな変化です。

この行動が当たり前となり、日々の習慣になるように、皆さんとともに周知啓発に一層の力を入れていきたいです」
鈴木市長も、「回収機を置いて終わりではなく、うまく機能させ、効果を検証し、市民の皆さんを巻き込む形で新しいことにも目を向けていきたいです」と、力強く語ってくれました。
ペットボトル回収機をきっかけに、「海を守るための活動を広めたい」と話すおふたり。市民の皆さんの協力を得ながらプロジェクトを推進する姿に、心強さを感じました。

Writer:吉田勉
Photographer:加藤史人
藤沢市長

鈴木 恒夫さん

セブン‐イレブン・ジャパン
サステナビリティ推進室
環境推進担当

矢萩 陽子

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