ホーム サステナビリティ 明日にいいこと。つなげる、つづける。 「7つの重点課題」活動レポート 「世界を変えていく、私のチョイス」百貨店のサステナブルな取り組み

「7つの重点課題」活動レポート

2021.5.28

  • 課題6

「世界を変えていく、私のチョイス」百貨店のサステナブルな取り組み

世界的な潮流として国内でも広く浸透しているSDGs。そごう・西武は、「世界を変えていく、私のチョイス」という年間テーマに基づき、積極的な取り組みを行っています。
2021年3月16日~4月5日には、そごう横浜店において、サステナブルな暮らしを提案するためのフェアを展開。同時に、3月23日~29日の間には、セブン&アイグループが推進する『GREEN CHALLENGE 2050』のパネル展も開催しました。

Chapter 1

百貨店としてサステナブルな暮らしを提案

すっかり春めいてきた3月末日。私が降り立ったのは、普段からよく利用している横浜駅。東口方面に進むと、そごう横浜店の地下2階正面入口前に、面白そうなブースを発見しました。案内を読んでみると、「未来の地球とわたしたちの話」と題したパネル展のようでした。駅を行き交う人たちは、足をとめてパネルを見ています。環境問題に興味のある私は、そばにいらっしゃったスタッフの方にお話をうかがってみました。

「今回のパネル展では、セブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の施策や、「SDGs未来都市」に向けた横浜市の取り組みを紹介しています。さらに、地球環境を守るために私たち一人ひとりができることについても、お客様と一緒に考えていただける展示となっています。ちなみに、3月27日と28日の2日間限定で、ペットボトル回収機によるリサイクル体験イベントも開催し、たくさんの方に集まっていただきました。」

そう説明していただいたのは、そごう横浜店販売促進部の仲野俊平さん。
そごう横浜店で開催中のSDGs関連のフェアのご担当をされているとのことでした。私自身も関心があり、色々お話をうかがっていたところ、店内を案内してくれるとのことなので、パネル展を見終えた後、そごう横浜店全館をあげて開催しているフェア、『世界を変えていく、私のチョイス「サステナブルな暮らしの提案」』を仲野さんのご説明を受けながら見て回ることにしました。

パンフレットを手に取り、この「世界を変えていく、私のチョイス」は、2020年からのそごう・西武のサステナブルプロモーションのテーマでもあることを知りました。環境・社会貢献を切り口に、6つのキーワードに沿ってサステナブルな暮らしを提案するフェアとは、はたしてどのようなものでしょうか。

Chapter 2

これからのお買物で意識したい6つのこと

地下2階の正面入口のすぐそばには、「食べものを無駄にしない」というテーマで、フードシェアリングサービスを展開する「ロスゼロ」が出店していました。何となく聞いたことはあるけれど、「フードシェアリング」とは一体何でしょう?仲野さんが教えてくれました。
フードシェアリングは、廃棄されそうな食品と消費者の皆様をマッチングするサービスのことです。たとえばお菓子なら、クリスマスやバレンタインデーのために製造したものは、たとえ賞味期限前でも時期を過ぎると店頭に並べて売ることが難しく、廃棄せざるを得ない場合もあります。ロスゼロさんはそのような「もったいない食品」をお客様に販売することで、食ロス認知の浸透に取り組んでいます。また、製品にならないまま廃棄される可能性のあった、「もったいない製菓材料」を使用して新たにチョコレートなどをつくり、食べものが原材料の段階でも無駄にならないように、また、それをお客様が食べることで食品ロスを知るきっかけになるような、取り組みをしています。」(仲野さん)

ロスゼロオリジナル「RE:YOU」 チョコレート

なるほど!普段何気なくお買物をしていますが、素晴らしい取り組みをされていることを初めて知りました。同じように関心を持った方に対し、スタッフの皆さんがていねいに説明を行う姿が印象的で、取り組みに共感した方は商品を購入しているようでした。私もチョコレートを一つ買って帰りました。

続いて1階へ。ビューティーフロアでは「環境を配慮した商品選び」をテーマに企画が展開されています。こちらではどんな取り組みをされているのでしょうか。
「対象ブランドでは、自然環境に配慮した化粧品や石鹸などを販売しています。また、化粧品ブランド「キールズ」では製品の空き容器を、リサイクル目的で回収しています。キールズさんは環境問題に積極的に取り組んでいることで知られており、持続可能な資源調達や製品づくり、コミュニティ活動を実践し、独自の循環エコシステムを構築しています。」(仲野さん)
メーカーさん独自でもさまざまな環境問題への取り組みをしていて、こういった連携をしていくことで徐々に地球規模の環境問題を解決していこうという姿勢はとても良いなと思いながらしみじみお話をうかがっていました。

1階ビューティーフロア「環境を配慮した商品選び」について

3階のフロアの一角では、SDGsに特化したブランド、ブルーサージが「ジェンダーレス」というテーマに基づき期間限定ショップをオープンしています。ちなみにブルーサージは、どのようなブランドなのか仲野さんにうかがいました。
「ブルーサージさんは、地球の未来を見据えた活動をしているアパレルブランドです。大量生産・廃棄をやめ、環境や人権に配慮した素材・工程で製造を行っています。ジェンダーはもちろん、季節や年齢を問わないボーダーレスなクリエーションをコンセプトに掲げているのが特長で、廃棄生地・余剰在庫生地を再利用したアイテムも人気です。」(仲野さん)
どのアイテムもおしゃれで、性別問わず誰が着ても違和感のないまさにボーダーレスなものが多く印象的でした。

ブルーサージ ジェンダーレスの商品展開

また、3階、4階、5階では、「不要になったものを役立てる」をテーマに衣料品の下取りキャンペーンを実施しており、こちらも仲野さんにご案内いただきました。衣料品のリユースは今までなんとなく認識はしていましたが、改めて意識していきたいと思う取り組みです。
「こちらでは、衣料1点につき500ポイントを差し上げるオンワード樫山さんのグリーン・キャンペーンや、ご不要になった衣料をOFFチケット(※回収を受け付けた施設内のワールド系列ブランドで利用できる割引券)と交換するワールドさんのエコロモキャンペーンなどを行っています。引き取った衣類はリユースされ、収益金は寄付される仕組みです。加えて8階のこども靴売場ではお客様から使わなくなったこども靴をお預かりし、ザンビア共和国のこどもたちに届ける「こども靴下取りサービス」を、10年以上前から行っています。」(仲野さん)
そして、6階の寝具売場では、以前から導入している羽毛布団のリペアサービスを全面的にPRしていました。
「昔は布団を打ち直して使うことが当たり前でしたが、近年では綿布団を使う家も減っており、それにともなって、打ち直しして使い続ける人も減っています。そこで、近年主流となっている羽毛布団のリフレッシュサービスを提案いたしました。お預かりした布団の羽毛を取り出して洗浄し、さらに新しい羽毛を追加して新品同様に仕上げることができます。このようなリペアは、今回のフェアのテーマの一つ「いいものをながく使う」ことにつながります。今はゴミを出すのも有料ですから、このような取り組みでエコロジーの実現に貢献できると考えています。」と仲野さんは教えてくれました。
さらに各階では、以前から続けている「樹を育てて森を守る」というテーマの一環として、プラスチック製のお買物袋だけではなく、紙製のお買物袋も有料化しているようでした。

「以前使っていた紙製お買物袋は、FSC認証(森林保全に貢献できる認証紙)素材のものに切り替えました。このほかにも、ギフトラッピングの注文料税込100円のうち、半分の50円が認定NPO法人環境リレーションズ研究所への寄付となるグリーンラッピング、お中元やお歳暮ギフトの簡易包装やお客様のお買物袋の辞退などを取り組み、育樹・植樹へとつなげています。」(仲野さん)

グリーンラッピング

こうして全館を見て回り、そごう横浜店のSDGsに対する積極的な姿勢を肌で実感することができたと同時に、環境問題の改善はとても大きなテーマで、食・衣服・化粧品などすべての分野がそれぞれエコロジカルな取り組みを行い、その成果が積み重なることがとても大事なんだと改めて感じました。

Chapter 3

社会的課題に取り組む企業風土

ここまで仲野さんの熱心なご案内のおかげでこのフェアの意義をしっかり理解することができました。私自身今回の取り組みについて興味があったので、フェアに対する思いについて改めてお話をうかがいました。
「そごう横浜店は女性のお客様が多く、これまでもビューティー&ウェルネスに紐づく売場展開に力を注いできました。近年、女性向けの製品をつくっているメーカー様は、サステナブルな視点で商品開発をしています。我々売場の人間も、お客様にメーカー様の思いを伝えていこうと考え、今回のフェアの開催となりました」(仲野さん)
なるほど、そのような経緯があったのかと感心しつつ、さらに詳細をうかがいました。

「そもそもそごう・西武は、SDGsにまつわる三つの取り組みを長年にわたって行ってきました。
一つは、先ほどご紹介した「こども靴下取りサービス」です。こども靴1点につき、こども服売場でのお買い上げ税込5,000円ごとに1枚ご使用いただける500円割引券とお引替えしています。
もう一つは、環境保全を意識した植樹・育樹です。今回のフェアの『樹を育てて森を守る』にもつながるのですが、たとえばグリーンラッピング80件で1本分、簡易包装なら4,000件、お買物袋なら1万枚の削減でそれぞれ1本の植樹につながります。
最後は盲導犬育成支援です。盲導犬をかたどった大型募金箱をそごう・西武全店に常設し、定期的に『盲導犬キャンペーン』を開催し、お客様への啓発活動に努めています。さらに、社内では従業員の給与から自動引落で積み立てる『ワン!コイン倶楽部』の募金を任意で実施し、お客様からお預かりする店頭募金とあわせて、全国の盲導犬団体に寄付しています。
いずれの活動も10年以上継続し続けているので、そごう・西武の従業員には社会的課題に積極的に取り組むDNAが根付いているのではないかと思います。」

「ただし、時代の変化が急激な現代においては、今までやってきたことを継続するだけでは十分とは言えません。そこで、百貨店としての強みを活かし、学校、行政、企業、NPOといった関係各所と手を取り合って一緒に取り組むことで、今回のような新たなアウトプットが行えたのだと思っています。」(仲野さん)
そごう・西武が環境保全に積極的だということはこれまでも感じていましたが、改めて長期にわたってさまざまな取り組みをされてきたことをうかがうと、それが単発的なものではなく本気で環境問題に向き合って進めているプロジェクトなんだと理解できました。

ちなみに、そごう・西武で2017年から実施している全従業員を対象とした「CSV(社会課題の解決とビジネス目標の達成を同時に実現させる)アイデアコンペ」において、そごう横浜店では毎年さまざまな領域や年代の従業員が応募するなど、意識の高い従業員が多いそうです。また、神奈川県や横浜市自体が環境問題に積極的に取り組んでいることもあり、お客様の意識も非常に高いのだとか。「世界を変えていく、私のチョイス」というフェアを開催したのも納得です。

「今回このようなフェアを開催しましたが、各フロアにおいてコンセプトに共感して商品をご購入していただいたお客様がおり、手応えを実感しています。
全館をあげてのSDGs関連のフェアは今回が初となりましたが、一度きりではなく継続していくことが目標です。また、未来を担うお子様に、体感しながら持続可能な社会に向けてできることを学べるフェアも企画中です。これまでの社会的課題に対する取り組みと同じく、続けていくことでお客様の共感の輪が広がっていくと信じています」(仲野さん)

初めての試みながら、今回のフェアは想像以上の反響を得ることができたそう。今後はグループ内での連携をさらに加速させつつ、持続可能な社会に向けた取り組みを一歩ずつ着実に行っていきたい、との熱い意気込みをおうかがいし、買物をする側の自分たちにも何かできないかと考えさせられるとても良いきっかけになりました。

Chapter 4

従業員の熱意がお客様の共感につながる

SDGsに関するフェアのワッペン

各フロアを歩いてみてもっとも心に残ったのは、従業員の皆さんの熱意です。各売場の商品やサービスが、どのような形でサステナブルやSDGsと結びつくのかを言葉を尽くして説明する姿がとても印象的でした。一人ひとりが胸につけているフェアのワッペンからも、SDGsに対して真摯に取り組んでいることがうかがえました。

また、コロナ禍で直接伝えることが難しい今、パネル展示など非接触でも見て回れるような工夫をされていて、私自身もとても安心して各階を巡ることができました。そのような気遣いもSDGs に取り組むうえで大切な考え方なのかもしれません。

パネル展示によるSDGs関連の取り組み紹介

今回特に勉強になったのは、フードシェアリングの仕組みとジェンダーレスの推進についてです。フードシェアリングに関しては、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食材を違う商品に作り直して販売していることを知り、食品ロスの改善のためにもこれから積極的に利用したいと思いました。またブルーサージのジェンダーレスな製品に関しても、性別の悩みを服で解決するイノベーション的な取り組みにとても共感が持てました。
年齢や性別を問わず、たくさんの人が訪れる百貨店でこのようなフェアを開催するのは、非常に意義のあることだと思います。このような取り組みが増え、私たちのサステナブルな暮らしの実現につながっていけば良いなと感じた一日でした。

Writer:吉田勉
Photographer:山北茜
そごう横浜店
販売促進部 売出計画担当

仲野 俊平

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