「7つの重点課題」活動レポート

2021.7.30

  • 課題3
  • 食品ロス・食品リサイクル対策

生産者支援施策を通じた食品ロス問題の解決

セブン‐イレブン・ジャパンが推進する「地域の食材を使おうプロジェクト」。コロナ禍において、全国のエリアを9つに分けてプロジェクトを展開し、地域社会の一員として各地の生産者様やオーナー様を支援しています。その詳しい内容について、セブン&アイグループの環境への取り組みを取材しているライター吉田がお話をうかがってきました。

Chapter 1

「地域の食材を使おうプロジェクト」とは?

新型コロナウイルスの流行にともない、休校による給食の停止や外出自粛による外食需要の減少が影響し、食材の余剰在庫が使用されないまま廃棄される「食品ロス」の増加が問題となっています。このような現状を踏まえ、セブン‐イレブン・ジャパンは2020年5月より「地域の食材を使おうプロジェクト」をスタート。供給過多になっている食材を使用した商品の開発・販売を、強化する方針を固めました。

「生産者の皆様は、愛情を込めて食材を生産していますので、それらを廃棄することは胸の痛む話であったと思います。一方、セブン‐イレブンは、各地域の商品部やセブン‐イレブンのオリジナル商品を製造していただいているメーカー様と連携し、以前からご当地の食材を使った商品の開発・販売に力を入れてきました。コロナ禍の影響を考慮した私たちは、かねてより関係性を築いてきた生産者様や行政の方に相談し、余剰在庫を使った商品化への道筋を探っていくこととなりました」

そう語るのは、セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 地区MD統括部 総括マネジャー森暁さん。セブン‐イレブン・ジャパンは厳正な品質管理を信条としており、通常初めてお取引を行う場合は、安全性などを担保するために、時間をかけて丁寧に審査を行っています。通常の商品開発の場合は半年以上の時間をかけますが、コロナ禍という時世においては、生産者様および事業者様が余剰在庫を抱える一刻を争う状況にあるため、社内の各部署が密接に連携し安全・安心を確認して速やかに対応しました。その結果、食材の供給量や特性にマッチした商品開発に取り組むとともに、もっとも適切な販売エリアを選択することで、廃棄する可能性があった魅力的な食材を、たくさんのお客様へお届けすることができました。

セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 地区MD統括部 総括マネジャー森暁さん

「スピード感を持って取り組みながらも、商品開発は一切妥協していません。我々の根本にあるのは、本当においしいものをつくりたいという思いです。コロナ禍においても、セブン‐イレブンならではの商品をつくり、地域の生産者様、お客様に元気になってもらいたいという思いでプロジェクトを進めていきました」と、森さんは話します。

Chapter 2

余剰在庫を使用した商品で食品ロスを抑制

プロジェクトがスタートしたのは2020年5月。コロナ禍により消費が落ち込んだ秋田産の比内地鶏を使った商品開発に3月から着手したのがきっかけでした。
森さんは、「東北チームより『生産者の方から悲痛な声をいただきました』という報告が上がったことをきっかけに、地域活性化包括連携協定を結んでいる秋田県農林水産部と力を合わせ、比内地鶏を使った弁当の開発を行いました。そこから、お困りになっている生産者様は全国にいるはずだという話になり、各地の情報を精査していきました」と、振り返ります。

その後、北海道、東北・北関東、首都圏、長野・山梨、北陸・新潟、東海、関西、中国・四国、九州という9つのエリアに分けてプロジェクトを進行。各地の生産者様とコミュニケーションを重ね、食材のおいしさを引き出す商品の開発を成功させました。

食ロス問題を「地域商品」販売で解決

その中で、北陸・新潟エリアでは、名産の白エビとホタルイカなどを使った商品の開発を行いました。開発の過程では、担当者が漁連(漁業協同組合)や漁師の方たちに話を聞くなど、何度も試行錯誤して商品の完成度を高めていきました。

たとえばホタルイカは、ボイルする際の煮汁も無駄にせず、パスタやおにぎりに使ってよりおいしく仕上げることができました。また、第2弾商品の発売の際に、白エビの天ぷらを「バラ天※」から「かき揚げ」に変更してより地元で馴染みのある食べられ方にしたのも、生産者様のアドバイスがあってこそでした。商品のおいしさを追求してクオリティを高めることは、結果的に売れ残りを減らし、回り回って食品ロスの抑制にもつながります。

※バラ天:本来の形をバラバラに崩して揚げる天ぷら

セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 地区MD統括部(新潟・北陸) シニアマーチャンダイザー南田聡美さんは、商品への反響について次のように語ります。
「食材を無駄にせずにすむようになったことで、漁師の方たちからは『漁に出る気持ちが前向きになった』というお声をいただきました。また、近隣のセブン‐イレブンで自分たちが獲った白エビやホタルイカが商品として並んでいるところを見て、非常にうれしかったともお話ししてくれました。お客様からも、地元の名産品を気軽にセブン‐イレブンで購入できるとご好評をいただいています

Chapter 3

コロナ禍を乗り越えるための施策を実行

もちろん、プロジェクトを進めていく上ではたくさんの苦労がありました。
商品を企画して店頭で販売するまでには、当然時間がかかります。味のクオリティや安全性の確保など、満たすべき基準を一つ一つクリアしていくとなると、いくつもの段階を踏まねばなりません。しかし、コロナ禍における食品ロスの問題は待ったなしの状況で、スピード感が求められます。南田さんによると、このコロナ禍における課題を解消するためには、普段とは異なる努力が必要だったそうです。

「もっとも大変だったのは、開発担当者の現地入りにストップがかかったことです。コロナ禍においてはどうしても人の集まることが難しかったので、リモート会議などを利用して現地の方たちとコミュニケーションを深めていきました。」

セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 地区MD統括部(新潟・北陸)シニアマーチャンダイザー南田さんには、今回リモート取材でご協力いただきました

また、南田さんはこう話します。
「食材の安全確保の方法も、いつもとは違いました。幸い白エビとホタルイカは、以前から商品化に向けて生産者様にアプローチをしていたため、事前確認がすんでいました。しかし、能登牛を使ったカレーを開発する際には、牛1頭から皮や内臓、四肢の先端などを取り除いた状態にする加工場の確認に予想以上の時間を要することが判明。作業効率を上げるために人手を増やしたくとも、コロナ禍の影響で叶いませんでした。そこで、ほかの和牛の加工などで実績のある他県の工場をご紹介いただくことで、スピード感を失わずに安全性の確認が実現できました」

販売面では、店内における試食販売に制限があったため、時世を踏まえて感染予防対策に注意しながら実施。南田さんは、「生産者である漁連の方や漁師の方をはじめ、行政の方やマスコミの方にもお声かけし、人が過密しないよう留意しつつイベントを開催し、話題づくりへとつなげることができました」と、話していただきました。

Chapter 4

各地の名産品を使って地域を元気にしたい

生産者様の応援に尽力をしてきた今回のプロジェクト。森さんは、現状を次のように分析します。
以前から続けてきた生産者様応援がコロナ禍によってより重要になり、取り組みそのものが進化したと実感しています。我々地域の食材を使おうプロジェクトチームは新商品を出す時により多くの方に本取り組みを知っていただけるように、ニュースリリースの配信はもちろん、その地域の加盟店様との連携を強化して商品のPRに努めています。多くの生産者様とともに商品開発に取り組むことで地域のお役に立てればと思います。今後も取り組みの対象商品を拡大していく予定です」

最後に、プロジェクトを通じて読者の皆様に知ってほしいことを伺うと、南田さんはこう語りました。
セブン‐イレブンの役割として重要なのは、地域社会の一員として、商品を通してお客様、生産者様、オーナー様に喜んでいただくことです。私は、関係するすべての方々がともに地域をつくっていく仲間だと思っています。コロナ禍をきっかけに実現できたことを一過性にせず、継続して地域を盛り上げていきたいです

森さんも南田さんの言葉に深く頷き、「生産者様や行政の方に加え、地域のお客様、そして加盟店のオーナー様や従業員の皆様に喜んでいただけたことが、今回のプロジェクトの何よりの成果だと思います。この経験を次につなげていきたいですね」と、自信に満ちた表情を見せてくれました。

食品ロス抑制のために、今なお進化を続けている「地域の食材を使おうプロジェクト」。今後登場する新商品にも、大いに期待できそうです。

Writer:吉田勉
Photographer:加藤史人
セブン‐イレブン・ジャパン
商品本部 地区MD統括部
総括マネジャー

森 暁

セブン‐イレブン・ジャパン
商品本部 地区MD統括部(新潟・北陸)
シニアマーチャンダイザー

南田 聡美

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