「7つの重点課題」活動レポート

2021.2.26

  • 課題3
  • CO2排出量削減

CO₂排出量実質ゼロへの挑戦

近年の環境問題で外せないテーマの一つに、気候変動と大いに関わりのあるCO2の問題があります。現在、セブン&アイグループは、環境宣言『GREEN CHALLENGE2050』を策定し、「CO2排出量削減」を重要テーマの1つに掲げ、目標達成に向けて、店舗運営にともなうCO2排出量削減のさまざまな取り組みを実施しています。そこで今回、セブン&アイグループへの取材を経て、環境問題への関心をますます高めているライター吉田が、CO2排出量削減対策チームのリーダーである石川孝さんにお話を伺いました。

Chapter 1

2050年までにCO2排出量を実質ゼロに!

地球温暖化によって気候変動が加速する昨今、大気中に排出される温室効果ガスの中でも、もっとも多い割合を占めるのがCO2(二酸化炭素)です。
産業革命以降、世界のCO2排出量は急速に増加し、2017年には約328億トンを記録。日本は全体の3.4%を占める約11億トンを排出し、国としてワースト5位にランクインしています(出典:EDMC/エネルギー・経済統計要覧2020年版)。

このまま経済活動が行われると、21世紀末には地球の平均気温が最大4.8℃上昇することになります(出典:IPCC第5次評価報告書/5ページ)。
気候変動が引き起こされた場合、海面の上昇や自然災害の増加、生態系の破壊、食糧危機といった影響が懸念されます。
このような事実を踏まえ、国際的な枠組みによって温室効果ガスの削減が進められており、日本政府は2020年10月、これまで長期目標として定めていた2050年までに80%削減(2013年度対比)という目標数値を見直し、実質排出量ゼロを目指す方針を明らかにしました。
これを受け、セブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』のCO2排出量削減対策チームも、2050年までにグループの店舗運営にともなうCO2排出量を、80%以上削減から100%、つまりは実質ゼロにすると発表しました。

傘下の米セブン‐イレブンの賛同も得て、対象範囲は日米グループ約3万店に広げていくとのこと。
「国が新たな政策を打ち出したということで、我々も追随しよう、と。これまでの日本のCO2対策は欧米に比べて遅れをとっていて、すでに待ったなしの状態。目標の達成のためにできることを全力でやっていこうと、色々なことに挑戦していきます。」
そう語るのは、チームリーダーの石川孝さん。常に前向きな気持ちでチームを率いています。

セブン&アイグループがこのような目標を掲げたのは、国内大手小売業としての責任を果たすためでもあります。国内のコンビニ事業は約2万2千店まで増え、生活に欠かせない「社会インフラ」と呼ばれる存在になりましたが、店舗数・利用者数が多いため、グループのCO2排出量は年間約220万トンと国内小売業で最も多くなっています。そのためグループ全体をあげて、すでに取り組める施策から着々と実施を進めているとのことです。

Chapter 2

グループ一丸となって挑む、CO2排出量削減

店舗運営にともなって排出されるCO2を削減するためには、セブン&アイグループ全体において、さまざまな施策を組み合わせて効果を高めていく必要があります。
目標の見直しを受け、元より取り組んでいた「調光機能(光の明るさを段階的に調節できる)のついたLED照明」や「オゾン層破壊の要因となる従来のフロンガスと比べて地球温暖化への影響が少ない新しい冷媒を利用した冷蔵冷凍設備の導入」以外にも、新しい取り組みにも挑戦しています。その一つが、神奈川県内における再生可能エネルギー使用率100%のセブン‐イレブンの運営です。

再生可能エネルギー使用率100%に向けた取り組み
神奈川県内のセブン‐イレブン10 店舗において、店舗運営に関する電力エネルギーを全て再生可能エネルギーとして調達する実証実験を2019年9月に開始。
カネカ様の発電効率を大幅に高めた太陽光パネルを設置し、日産自動車様の電気自動車「日産リーフ」のリユースバッテリーを活用したオリジナル蓄電池に貯めるといった流れで、自家発電による電力を効率的に活用することに成功しています。
また、発電分以外の電力の調達として、2019 年 11 月から、スマートテック様より「卒 FIT(※)」由来の電力供給を開始。自家発電分と合わせ、実質再生可能エネルギー比率 100%を達成することが可能となります。

※FIT(=Feed-in Tariffの略)は、太陽光発電で生成した電力のうち自家消費以外の余った電力を電気会社が買い取る制度。11月より制度の期限切れを迎える太陽光発電電力(卒FIT)が順次発生する見込みで、この余剰電力の調達することでエネルギー確保を行う。

また、グループ全体の取り組みとしてもさまざまな取り組みを実施しており、一部地域や店舗だけでなくまさにグループ総力でCO2排出量の削減に邁進しています。

アリオ市原のメガソーラーパネル

アリオ市原では2020年7月に大規模太陽光発電設備を導入し、全体の電力使用量の約25%を削減。CO2の排出量も約25%削減することに成功。国内の商業施設でも最大規模の設備となります。今回の「アリオ市原」に続き、アリオ数店舗に太陽光発電設備を導入する計画があり、現在工事を進めています。

2020年11月、最新の設備・技術を利用した省エネの実証店舗として、東京都青梅市に「セブン‐イレブン青梅新町(おうめしんまち)店」をオープン。店内の気圧を外部より高くして外気の侵入を防ぎ、空調効率を高める「正圧化」をはじめ、さまざまな省エネ対策が随所にちりばめられています。
「この店舗においては、2013年度対比で外部調達電力を43%、CO2排出量を54%削減できる見込みとなりました。これから全国展開できれば理想的ですね」と石川さんも期待を寄せています。

省エネ対策を駆使した店舗運営(※イラストはイメージです)
Chapter 3

環境宣言後、電気使用量は確実に減少

『GREEN CHALLENGE 2050』の環境宣言前後から、努力を重ねてきたCO2排出量削減対策チーム。石川さんは、これまでの努力による着実な成果を実感していると話します。
「2017年から2019年までの3年のグループのデータを確認すると、CO2の排出量を毎年少しずつ削減できています。ただし、この結果は我々の自助努力だけではなく、排出係数(販売電力量あたりのCO2排出量)も関係しているかもしれません。特筆すべきは、2019年の電気使用量が前年より減少していたこと。地道にコツコツやってきた成果の表れだと思います」
もちろん、この成果は加盟店様をはじめグループ全体の仲間の協力があってこそ得られたものです。石川さんは、『GREEN CHALLENGE 2050』がスタートしてから、社内が活気づいていていることをひしひしと感じています。

「セブン‐イレブンでは、幹部社員と加盟店様が集まって意見交換する機会を設けているのですが、さまざまな意見が出てきます。あるオーナー様が話していた『1店舗の電気使用量を5%削減すれば相当な量になる』という言葉が出るなど、みなさんとても積極的です」
グループ全体で目的意識をしっかりと共有することは、CO2の排出量削減への近道になるようです。

石川さんは目標達成に向けてとてもポジティブです。
「できるかどうかではなく、目標を達成するために何をしなければいけないのかを考えたいです。望みのあるものは何でもトライし、効果があったものをどんどん取り入れ、グループ全体で情報を共有して、良い流れをつくっていきたいですね」

Writer:吉田勉
Photographer:落合明人
CO2排出量削減対策チーム
チームリーダー

石川 孝

セブン‐イレブン・ジャパン
執行役員 建築設備本部長

新着コンテンツ

課題3の記事を絞り込む

いつもの暮らしの行動ひとつが、地球の未来に繋がっています。
できることからひとつずつ変えていく『GREENCHALLENGE2050』。