ニュースリリース

年頭所感

鈴木敏文 セブン&アイHLDGS.会長兼CEO

明けましておめでとうございます。

  昨年は、9月1日にセブン&アイHLDGS.を設立し、12月にはミレニアムリテイリングとの事業提携・統合を決定するなど、私たちにとってたいへん画期的な年となりました。

  私たちの仕事を支える体制を大きく変える決意をした背景には、現在の社会の大きな変化があります。もはや過去の延長で発想していたのでは、社会の大きな変化についていけません。そのため、私がみなさんにお願いしたいのは、過去の延長でいまなすべきことを類推するのではなく、私たちが目指す未来から現在を「省みて」いま何をすべきかを考える、ということです。それが、私が昨年来言い続けてきた「ブレイクスルー思考」です。(1)このブレイクスルー思考を実践すること、(2)価値ある商品、新しい商品を送り出すこと、そして(3)従来とは異なる新たな接客レベルを実現すること、今年も、この3大目標に向かって、進んでいっていただきたいと考えています。

  大きな変化は、何よりもお客様のお買い物の仕方に表れています。かつては業態によって客層の違いが見られましたが、いまのお客様は、一人の方が必要に応じて百貨店、専門店、スーパー、コンビニエンスストアなどを使い分けていることもその一つです。そして、この年末年始商戦で百貨店がたいへん活況を呈していたことからも分かるように、いまのお客様は“優れた品質をもつ商品”、“いままでにない新しい価値を持つ商品”を求めています。いま、新しいことに挑戦し続けているミレニアムリテイリングとの提携・統合は、私たちがその優れたノウハウを学ぶという点で、たいへん大きな意義があると考えています。もちろん、それは百貨店で売っている商品をそのままセブン&アイHLDGS.各社の店舗で売るということではありません。マーチャンダイジングのノウハウ、売場づくりや接客の技術など、学ぶ点が多々あるということです。

  私は、どちらが親会社、子会社というような資本の論理では考えていません。統合に当たって大切なことは、セブン&アイHLDGS.の各事業会社も、ミレニアムリテイリングも相互に尊重し合い、切磋琢磨していくことです。セブン&アイHLDGS.設立に当たっても申し上げましたが、それぞれの事業会社がお互いに認め、学び合うことで、相乗効果を高めていくことが、もっとも大切な点です。小売業はそこで働く人々の力を結集することで成り立っている事業です。ですから、働いている人たちが「統合して良かった」と心から思える状態をつくり上げていきたいと考えています。

  最後に、国内経済について一言申し上げます。これまでも繰り返し言い続けてきましたが、現在は、消費者心理が経済を左右する時代です。その意味で、今年の国内経済について、もっとも望んでいることの一つは、ゼロ金利という異常事態からの脱却です。金利が正常化し、預金している人々が豊かな心持になることは、国内消費の拡大にとってきわめて重要な意義があると考えています。

(2006年1月4日 年頭朝礼あいさつ要旨)