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TCFD提言への対応

 気候変動問題は年々深刻さを増し、地球規模で人々の生活に大きな影響を及ぼしています。日本においても、2019年度は、台風15号・19号や千葉県での豪雨災害などにより、市民生活が影響を受け、経済活動にも大きな被害が発生しました。

 セブン&アイグループでは、気候変動問題は、企業の持続的な発展に欠かせない安定した社会を損なうものと認識し、パリ協定の温室効果ガス削減目標の達成に貢献したいと考えています。2019年5月に策定した『GREEN CHALLENGE 2050』では、CO2排出量削減を取り組むべきテーマの1つに掲げ、CO2排出量削減に向けた施策を検討・実行しています。

 また、気候変動問題が深刻化する中で、金融安定理事会(FSB)は、気候変動リスクが金融システムの安定を損なう恐れがあるという認識のもと、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)を設置しました。2017年6月にTCFDが公開した最終報告書では、投資家が気候関連のリスクと機会を適切に評価し、投資判断を行えるように、企業に気候変動に関わる情報、とりわけ財務関連情報を開示することを促しています。セブン&アイグループは、ステークホルダーとの信頼関係を構築するために、情報開示の充実は必須のものと考え、2019年8月にTCFD提言に賛同を表明しました。あわせて、TCFD提言に賛同する日本企業や金融機関などが一体となって取り組みを推進するために設立されたTCFDコンソーシアムにも参加し、より良い情報開示とステークホルダーとの対話のあり方について検討を進めています。

 今後、TCFD提言を活用して積極的にグループの取り組みをお伝えし、ステークホルダーとの信頼関係を確実なものにすることで、企業価値の向上に努めてまいります。

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気候変動に関わるガバナンス・リスク管理

ガバナンス

 セブン&アイグループでは、気候変動問題はグループ会社横断で取り組むべき重要課題の1つと考え、セブン&アイHLDGS.代表取締役社長を委員長とするCSR統括委員会において取り組みの管理を行っています。CSR統括委員会は、グループ会社のCSR推進責任者とセブン&アイHLDGS.のCSR関連部署の責任者が委員として出席し、年2回開催されています。CSR統括委員会のもとには、気候変動問題に対処するための下部組織として、環境部会を設置しています。環境部会は、事業会社の環境部門の責任者によって構成されています。また、CO2排出量削減に向けたグループ横断のイノベーションを生み出していくために、2019年5月の環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の策定とあわせて、主要事業会社の主管部門の執行役員以上をリーダーとするCO2排出量削減チームを発足しました。

 CSR統括委員会は、CO2排出量をはじめとする気候変動問題に関わる指標の推移や緩和策を中心とした取り組みについて報告を受け、部会やグループ各社で実施される対策の承認と必要な助言を行っています。また、こうした気候変動問題を含むサステナビリティに関わる取り組みの進捗は、年1回以上、取締役会に報告されることになっており、適宜、方針・取り組みの見直しを行っています。

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リスク管理

 セブン&アイHLDGS.では、当社およびグループ各社のリスクを適正に分析・評価し、的確に対応するため、リスク管理の基本規程に基づき、リスクマネジメント委員会を中核とする統合的なリスク管理体制を構築・整備・運用しています。気候変動に関わるリスクについても、この統合的なリスク管理体制のもとで管理しています。

 グループ各社は、年2回、グループ共通のリスク分類に基づき、自社のリスクの洗い出しを実施。リスクの影響度・発生可能性を考慮したリスク評価の定量化とともに、各リスクへの対応策をリスク調査票にまとめて当社リスク統括部(リスクマネジメント委員会事務局)に提出します。このリスク調査票には、CO2排出規制、昨今の大型台風などによる事業継続リスク、さらには、商品原材料の生産地・漁場の変化など、定量面だけでなく定性面も含めたリスクなども含まれています。

 年2回開催されるリスクマネジメント委員会は、グループ各社から提出されたリスク評価と対策をもとに、グループのリスク状況を網羅的に把握し、重大性・改善の喫緊性などの観点から、各社のリスク管理・改善の取り組みに対するモニタリングを実施しています。

 こうしたリスク管理の状況は原則年1回、セブン&アイHLDGS.取締役会に報告が行われています。

シナリオ分析の実施

シナリオ分析への着手

 セブン&アイグループでは、将来の気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を明確にし、「リスク」を低減し、「機会」を拡大するための事業戦略立案にむけて、シナリオ分析に着手しています。シナリオ分析に着手するにあたり、2019年10月に環境省の「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加しました。

 シナリオ分析では、サプライチェーンを含むグループ全体を対象とする必要があると認識していますが、今回の分析では、シナリオや対象範囲を限定して、試験的に分析を行いました。シナリオは、2℃シナリオと4℃シナリオを採用しました。分析対象は、グループの営業利益の約6割を占めるセブン‐イレブン・ジャパンの店舗運営を対象にしました。

分析の範囲

シナリオの定義

 2030年段階での、2℃シナリオ、4℃シナリオにおけるセブン‐イレブン・ジャパンの店舗運営を取り巻く環境を、以下の通りに検討しました。

 2030年段階での2つのシナリオの大きな差は、主に気候変動対策の違いによる移行リスクの部分に現れてくると考えられます。+2℃の世界では、温室効果ガス削減のための規制が強化されて低・脱炭素化が進み、移行リスクが高まると考えられます。一方+4℃の世界では、規制などの移行リスクの影響は小さいものの、異常気象などの物理的リスクが高まると考えられます。

二つの将来シナリオ

セブン‐イレブン店舗を取り巻く環境

重要なリスク・機会とインパクト評価

 事業インパクトを評価するにあたり、まず、セブン‐イレブン店舗の運営に関わりの深いリスク・機会項目の洗い出しを行いました。次に、その中でも重要な影響を与えるリスク・機会として、「炭素価格」「各国の炭素排出目標/政策」「消費者の評判変化」「異常気象の激甚化」「降水・気象パターンの変化」の5つを抽出しました。

 今回は、初めての試みであることから、インパクト評価では、上記の5つの重要なリスク・機会に関わる具体的な事例で、できるだけ客観的な予測データを入手できるものを選択して、定量・定性の両面から評価を行いました。結果は、以下の通りとなりました。

2030年の事業インパクト評価結果の概要

対応策の検討と指標・目標

 セブン&アイグループでは、2019年5月に環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を発表しました。「GREEN CHALLENGE 2050」では、「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」を目指すべき社会の姿として掲げ、CO2排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つを具体的な取り組みテーマとしました。CO2排出量削減の取り組みでは、具体的な数値目標として、グループの店舗運営に伴うCO2排出量を、2013年度と比較して、2030年には30%、2050年には80%以上削減することを定めています。

 今回は、いくつかの具体的な事例に限定して事業インパクト評価を行ったため、気候変動によるインパクトを総合的に判断することはできませんが、分析の対象としたリスク・機会は、現在行っている災害対応や「GREEN CHALLENGE 2050」の取り組みを推進することで、リスクの低減や機会の拡大を図れるものと考えています。

 例えば、炭素価格や電気代の上昇のリスクに対しては、CO2排出量削減につながる省エネや再エネの活用を拡大することが対応策の1つと考えられます。また、原材料の調達リスクに関しても同様に、「GREEN CHALLENGE 2050」の持続可能な調達を推進する中で、グループ内での産地情報の共有、グループ共同の産地開発などを進めることが、リスクの低減につながると考えられます。

 さらに、異常気象などの災害の増加に対しては、現在進めている自治体との連携を通じて、災害時のインフラとしての役割を拡大してまいります。

「GREEN CHALLENGE 2050」に定めるCO2排出量削減目標

TCFD提言への今後の対応

 今回、TCFD提言に沿ってシナリオ分析に着手し、情報開示を開始しましたが、シナリオ分析の対象は限定的で定量化できたリスク・機会は一部にとどまっています。今後、サプライチェーン全体を通じたリスク・機会の定量化や消費者の評判変化に関する情報の収集が必要だと考えています。

 異常気象による災害が増加・激甚化する中で、企業の気候変動対策に対する社会からの懸念・期待は、高まるものと考えられます。2℃シナリオ、4℃シナリオを含めた気候変動の影響下でも、持続的に発展できる企業であるために、シナリオ分析の精度をあげてまいります。まずは、分析の範囲の拡大・定量化を図ることで、より正確な財務上の影響把握に努め、戦略的な対応策立案につなげます。また、その結果を開示することで、ステークホルダーの懸念・期待にお応えしてまいります。