ホーム サステナビリティ 明日にいいこと。つなげる、つづける。 「7つの重点課題」活動レポート お客様と二人三脚で取り組む「食品ロス問題」【生産工夫編】

「7つの重点課題」活動レポート

2020.12.22

  • 課題3
  • 食品ロス・食品リサイクル対策

お客様と二人三脚で取り組む「食品ロス問題」【生産工夫編】

持続可能な社会づくりの一環として、食品ロス削減に取り組むセブン&アイグループ。最近、環境問題に関心を持ち始めたライター吉田が、普段日常的に利用しているセブン&アイグループの環境問題への取り組みに興味を持ち、今回、食品ロス・食品リサイクル対策チームのリーダーである石橋誠一郎さんにインタビューを行ってきました。
お取引先との協力体制によって生産工程などを改善しつつ、目標達成に向けてどのような取り組みをしているのか、とても興味深いお話をお聞きしたのでご紹介していきます。

Chapter 1

まだ食べられるのに廃棄される?

ここ数年で頻繁に耳にするようになった「食品ロス」という言葉をご存じでしょうか。
食品の流通過程で生じる売れ残りや食べ残し、食用として提供できなくなったものなどを「食品廃棄物」といい、その内、まだ食べられるはずの食品が捨てられてしまうことを「食品ロス」といいます。消費されないまま大量の食品が廃棄されていく先進国と、貧困や紛争で食糧危機に直面している途上国との間で、食の不均衡が起きているとして問題視されています。

全世界における食品廃棄物の量は年間で約13億トン。日本を例にすると、2017年の「食品廃棄物」は2550万トンで、そのうち612万トンが「食品ロス」に該当します。その内訳は、事業活動から発生するものが328万トン、家庭から発生するものが284万トン。国民一人当たりに換算すると“お茶碗約1杯分(約132g)の食べもの”が毎日捨てられていることになるのです。この数字を見ると、企業も消費者もそれぞれ工夫をして食品ロスの削減に取り組まなければいけないことが理解できます。(引用:農林水産省「食品ロスとは」)

チームリーダーの石橋誠一郎さん

セブン&アイグループは、2019年5月に発表した環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の一環として、食品ロス削減に力を注いでいます。この問題を担当するチームリーダーの石橋誠一郎さんは、重要な課題の一つとしてセブン‐イレブンにおける廃棄食品の問題を指摘します。
「私たちは以前から食品ロス削減の取り組みを進めてきましたが、一番のきっかけとなったのはセブン‐イレブンにおける廃棄食品です。まずはこの問題と真摯に向き合い、社会的責任を果たそうということで、以前からの取り組みをさらに推進しています」

Chapter 2

企業努力でおいしさ向上、
消費期限も延長

セブン‐イレブンのチルド弁当

『GREEN CHALLENGE 2050』の宣言後により重きを置くようになったのは、お弁当などの毎日発注をする「デイリー商品」の長鮮度化(消費期限の延長)です。セブン‐イレブンの「チルド弁当」は、素材や製造工程、温度管理を見直す事で、おいしさを維持しながら消費期限を延長し、これまでのお弁当が消費期限27時間だったところを4日間へと延長することに成功しています。おいしさを保ちながら消費期限を延ばすのはかなりの企業努力を要したそう。
また、パスタを例にすると、茹でた後の冷却方法を冷水から冷風に切り替えることで、水の使用によってパスタが傷んでしまわないことでそれによっておいしさが向上し、消費期限も約1.6倍に延びました。

石橋さんによると、「おいしさはそのままに消費期限を延長することで、品質の向上を一番に据えながら消費期限を延ばしていく研究開発を目指しました」とのことで、生産工程におけるさまざまな改善・改良によって、おいしさをしっかり担保しつつ消費期限の延長に成功しています。
さらに、少人数でも食べ切ることができる小容量のパウチ惣菜や必要な野菜を必要な分だけ購入できるカット野菜など食べ切りや長期保存に配慮した「セブンプレミアム」のラインナップを拡充することで家庭における食品ロスの低減につなげています。

Chapter 3

容器のフタ変更で消費期限が延びた!

トップシール包装

ここ最近、セブン‐イレブンのサラダは大きな進化を遂げています。その進化のカギとなったのが「トップシール包装(シール状になっているフタを使った包装)」。
「トップシール包装によって、容器内の空気を窒素置換し、野菜が元気でいられる環境にしてしっかり密閉することで、野菜を新鮮に保ったまま、消費期限を60時間から99時間に延長。お客様にもおいしいとご好評をいただき、商品の販売数を伸ばすことができました。」

容器の改善だけではなく、野菜を作る段階からもセブン‐イレブンでは工夫を行っています。2019年からはお取引先の協力のもと、神奈川県相模原市にてセブン‐イレブン専用野菜生産工場「相模原ベジタブルプラント」の稼働がスタート。天候・気温に左右されず、安定的に供給することで、今までは鮮度面などの理由から商品として使用できなかった野菜を大幅に減らすことができ、食品ロス削減にもつなげられています。

相模原ベジタブルプラント

こういった取り組みによって「ムダ、ムラ、ムリ」をなくし、計画生産を可能にしたことで、近年環境問題の改善策として注目される「持続可能な調達」にもつなげています。
「計画生産に基づいてつくった野菜は、100パーセント使い切ることができるため、食品ロス削減につながります。この野菜はデジタルプラントで栽培しているため水洗浄を抑えることができ、水の使用量を減らすことで環境への負荷も低減できています」と、食品ロス・環境問題への配慮ともに良い結果になっていると石橋さんは語ってくれました。

Chapter 4

製造の過程でもロスを
減らす工夫を

食品ロス改善のチャレンジは、製造の過程にもおよびます。
食に関わる事業者間のルールで、既定の期間を過ぎると店頭に並ぶ前に商品を廃棄しなければならいない決まり(3分の1ルール)がありました。製造日から賞味期限までの期間を概ね3等分して設定し、それぞれの期日が過ぎたら廃棄するという食品業界の商習慣として定着しており、食品ロスの一因としてあげられていました。そのため省庁、メーカー・卸・流通業界が連携し「納品期限見直し」プロジェクトが実施され、セブン&アイグループも2014年11月から納品期限を3分の1から2分の1に変更。グループのみならず、お取引先の食品ロスの削減にも貢献できるようになりました。

さらに、一部商品における賞味期限を「〇年〇月〇日」という年月日表示から、「〇年〇月」という年月表示へと変更したことも、食品ロスの改善を前進させる大きなトピックでした。
「一般的に、1日でも先の賞味期限のものを買うという意識がどうしてもある中で、表示を変えることで少しでも廃棄物が減るような工夫をしています。もちろんお客様においしく食べていただけるものを店頭に並べ、その賞味期限も長く保てるようにさまざまな角度で研究・改善に取り組んでおります。
食品ロスの問題は企業単体の努力だけではできる事は限られており、社会全体の仕組み・意識から変えていく必要があります。コンビニやスーパーをご利用いただくお客様にも食品ロス問題を共有し、一緒に環境問題への意識を高く持つことができるよう、お取引先、お客様と一緒に食品ロス問題の改善に努めていきます。

Writer:吉田勉
Photographer:加藤史人
食品ロス・食品リサイクル対策チーム
チームリーダー

石橋 誠一郎

セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員
グループ商品戦略本部長

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