

堀木 私はコンビニエンスストアが大好きですが、コンビニエンスストアのお弁当には防腐剤などが使われているというイメージを持っている人が、まだたくさんいるのではないでしょうか。
鈴木 セブン‐イレブンは、すでに2001年からお弁当、おにぎり、惣菜、調理パン、調理麺などのオリジナル商品で、保存料や合成着色料を完全に排除しています。その後も焼きたてパンやデザートに拡大しています。
これは、1日3便の配送体制で、専用工場からお店の陳列ケースまで商品特性に合わせた徹底した温度管理のもとで商品を提供する仕組みを構築して、つねに新鮮な商品を提供しているセブン‐イレブンだからこそ可能なことです。
たとえば、家で料理をする場合も、保存料などが入った調味料を知らず知らずのうちに使っていることがあります。ですから、それらを排除しているセブン‐イレブンのお弁当の方が、実は家庭料理よりもずっと安心して召し上がっていただけるわけです。
堀木 私たちはロハス、有機野菜とか、○○さん家の…、といった言葉に思わず反応して、少しでも安心できるものを食べたいと思います。
鈴木 セブン‐イレブンは新鮮でおいしい商品を提供するために、厳選された素材と調味料、本格的な調理方法、鮮度・温度管理に徹底してこだわるとともに、原材料の履歴をつねに把握できるシステムを確立し、安心・安全な食品をお届けしています。
また、イトーヨーカドーの生鮮食品部門では、独自の基準をクリアした野菜、果物、肉などを生産者の「顔が見える食品」として提供する仕組みづくりを進めたり、生産から販売までの履歴管理を徹底して、お客様にも確認していただけるような仕組みをつくってきました。ヨークベニマルなどセブン&アイHLDGS.の各社でも、そのような取り組みはどんどん進んでいます。
堀木 お話をうかがってよくわかりました。安心や安全に応えている、まさに「顔が見えるお店」ということですね。
鈴木 このように、安心・安全をはじめお客様のいまのニーズをしっかりとらえ、そのニーズに積極的に応えていくことがたいへん重要だと考えています。
堀木 いまの読者や買い手は、いままでにないものを強く求めていると感じるのですが、鈴木さんはどのように考えていらっしゃいますか。
鈴木 衣料品などは、いまや完全に消費飽和の状態にあり、お客様はすでに十分に着るものを持っています。ですから、新たに買い求めるとなると、いままでにない新しい物ということになるわけです。
堀木 雑誌づくりでも、季節ごとに同じような企画が繰り返されることがありますが、編集者自身が飽きてくる頃には、とっくに読者が飽きてしまっているものです。たとえばタイトスカートはもう飽きたなと感じて、街でまわりを見回してみると、タイトを履いている人が少なくなっている。そういうことがよくあります。ですから編集の現場では、みんなに「自分たちが飽きたらやめよう」とよく言っています。
鈴木 わずか30年ほどの歴史しかないセブン‐イレブンでも、やはり過去の経験を否定し続けていかないと、お客様に飽きられてしまいます。
堀木 私は「創るということは過去を忘れることだ」と考えて雑誌づくりに取り組んでいるつもりです。いつも新鮮な企画、これまでにない新しい発想で提案を続けていくためには、過去のことはきっぱりと忘れていかなければならないと考えています。
鈴木 私がいつも言っているのは、売り手の論理と買い手の論理はまったく違うということです。買い手にとって都合がいいことは、売り手にとっては苦痛をともなう変化をもたらすものです。成功するには、その苦痛に耐えることが必要です。逆に、売り手が苦痛を避けて自分たちの論理を買い手に押しつけると、買い手が苦痛や退屈を感じることになります。
堀木 いつも読者の感覚で考えていくということは、雑誌づくりでもたいへん大切です。いまは情報があふれているので、それを一冊にまとめていくには、どうしても情報をセレクトしなければなりません。セレクトを行う時には、読者が何を望んでいるかを判断していく必要があります。私はそれを「サービス精神をもってセレクトしよう」と言っています。たとえば、この春先からワンピースが人気で、お店にいっても品薄の状態が続いています。そういうものは、読者はたくさん見てみたいわけですから、いろいろな商品を紹介します。しかし、これから売れるパーティドレスやブランドの“走り”のようなものは、1つを大きくバーンと見せた方が見やすいわけです。そのように読者の情報に対するニーズを考えて、見せ方を変えています。
鈴木 衣料品でも、種類をたくさん置けばお客様に喜んでいただけるというのは、売り手の勝手な思い込みです。売場では、商品を絞り込んだ方が一つひとつの商品が見やすくなり、買い物がしやすくなります。実際にイトーヨーカドーでもブランドや品番を大幅に絞り込んだところ、売れ行きが上がりました。