新・総合生活産業  変化し続ける社会の中で、進化し続ける「新・総合生活産業」を目指しています。

セブン&アイの挑戦

グループ各社の事業活動を通じて社会的課題の解決に取り組んでいます。

2007年12月

少子高齢社会の進展、地球温暖化、食の安全・安心など、現在、社会が直面している課題の解決に向けて、セブン&アイHLDGS.はグループ各社の事業特性や独自のインフラを活用した取り組みを進めています。 今号から2回にわたり、事業会社の経営トップと社外のステークホルダーや専門家の皆様との対話を通して、各社の方針と具体的な取り組みについてお伝えします。

ヨークベニマル

お客様に選ばれる新鮮で安全・安心な野菜を、
地域の生産者の皆様とともに

ヨークベニマルは、地元で採れた新鮮で安全・安心な生鮮品を、その地域のお客様にお届けする「地産地消」を重視した品揃えに取り組んでいます。
その主力商品の一つ「ムッくんのお野菜」シリーズを生産している契約農家の方々をお招きし、「地産地消」の意義、ヨークベニマルに期待することなどについて、ご意見をうかがいました。

「新鮮」なだけでなく、「安全・安心」な野菜を提供するために

: 最近、「地場野菜」を扱うスーパーマーケットが増え、「地産地消」が消費者の注目を集めています。レストラン・ファストフード業界でも「地場野菜」を材料にしていることをアピールするところがでてきました。しかし「地場野菜だから安全・安心」とは言い切れないところがありますね。

橋本 : 地場で採れた野菜は「新鮮」ではありますが、必ずしも「安全・安心」とは限りません。その点、私たちがつくる野菜は「安全・安心」です。ポジティブリスト制度*などの残留農薬規制を守っていますし、農薬使用履歴を細かく記録・管理しています。そのうえ、法律や規制よりも厳しい、ヨークベニマルの品質基準をクリアしています。

* ポジティブリスト制度…2006年5月29日に施行された食品への薬品残留を規制する制度。食品(加工品を含む農産物・畜産物・水産物)への農薬・動物用医薬品の残留を原則禁止するとともに、一部残留を許容する薬品とその残留許容濃度が定められている。

: 「つくり手」である農家の方々のそういったご努力と、私ども「売り手」側の管理があってこそ、地場野菜は「新鮮」で「安全・安心」な、品質の良い商品になるのです。もちろん、「おいしさ」という品質も大切です。

高野 : ヨークベニマルと取引を開始してから、作物の品質に対する私たちの意識はずいぶん高くなりました。最初はバイヤー(仕入担当者)さんから要求される質・量をなかなか確保できず、苦労しました。その後、ヨークベニマルから依頼を受けて、魚由来の土壌改良剤「ムクダイ」(1)と有機堆肥を使った農法を始め、2年くらいで品質も量も安定して、「味」への自信も深まりました。

(1)「ムッくんのお野菜」 ヨークベニマルでは、安心できる食品をお客様に提供するために「ムクダイ」という土地改良剤で土壌の力を発揮させ、化学肥料や農薬をできるだけ使用せずに栽培した野菜や果物を、「ムッくんのお野菜」として販売しています。現在、ごぼうやじゃが芋など、約30品目が店頭に並んでいます。お客様の好評を受け、供給体制の強化を進め、栽培履歴や減農薬などについて一定基準を満たした商品を「ムッくん」シリーズとして販売しています。2006年度、青果部門の売上高に占める「ムッくん」シリーズの割合は6.2%に拡大しました。2007年度は8.9%を目指しています。

: ムクダイは、土壌の栄養を増やして、農産物が育ちやすい、健康で病虫害の少ない土壌をつくるといわれています。実際に使ってみていかがですか?

吉田 : 生産者の本音としては「大量の野菜を安定的に収穫するためには化学肥料が必要だ」と言いたくなります。その一方で、化学肥料に頼りすぎるのは連作障害*の原因になりますし、「有機栽培」への消費者ニーズにも反する──以前は、そんな悩みがあったんですが、ムクダイを使うようになってから、化学肥料を使う量もかなり減り、従来以上に収穫できるようになりました。味についても、自然の味わいがでて、苦みやエグみが少なくなりました。「子どもも『おいしい』と言ってくれる」と喜んでくださるお母さんも多いですね。

* 連作障害…同じ場所で続けて作付けすることによって、作物がその生育を妨げられたり、病気になったりすること。

地域経済を活性化し、環境負荷を低減する「地産地消」

: ムクダイを使って栽培した「ムッくんのお野菜」や「産地が見える商品」(2)のような地場産品を私どもが重視しているもう一つの理由は、近隣地域で農家を営む方々を支援することで地域経済に貢献したいということです。実際のところ、ヨークベニマルの「地産地消」推進が地域農業の活性化にどれほど役に立っているのか、率直なご意見をお聞かせいただけますか?

(2)トレーサビリティを確保し、気軽に情報アクセスできる仕組みを提供 商品のトレーサビリティを確保していくために、ヨークベニマルでは、生鮮食品などの生産地や栽培・育成環境に関する情報の把握・管理に努めています。お客様がそれらの情報を確認してお買物できるよう、売場には「黒毛和牛」や「伊達鶏」「愛媛県産活〆真鯛」といった商品名とともに、生産地や商品の特徴を記したカードを掲示。青果物については生産者名も表示しています。また、ホームページには「ヨークベニマルの産地が見える商品」というコーナーを設け、ヨークベニマルが厳選した生鮮食品の産地や特徴、生産工程、生産者などの情報を見ることができます。

高野 : とても役立っています。まず、バイヤーさんから「お客様が求めている商品」「売れる商品」をアドバイスしてもらえることで、大きな安心感を得ています。また、私が加盟している生産団体は、平均年齢が68歳と高く、標高の高い地域なので収穫期間が半年しかないのですが、それでも一定の収益が確保できています。

吉田 : 生産意欲というか、農業を営むモチベーションにもつながっていると思います。私の周りには「毎日ヨークベニマルへ通って、自分がつくった野菜の売場を見に行くんだよ」と嬉しそうに語るおじいちゃん、おばあちゃんが大勢います(笑)。そういう喜びは、つくり手としての誇りや責任を自覚することにもつながっていきます。

: お客様にとって「生産者の顔が見える」ことが「安全・安心」につながり、生産者の皆さんにとっては「消費者が喜んでいる顔が見える」というやりがいにもつながっているのですね。

橋本 : もう一つ、地域内で一定量を販売できるようになって、それまで大きな負担になっていた輸送コストが減りました。これも大きなメリットですね。

: ヨークベニマルが福島・宮城・山形・栃木・茨城という一定地域に店舗を集中させていることには、物流の効率化が可能でコストを減らせるというメリットがあります。「地産地消」も同様です。また、「地産地消」によって配送距離自体を縮めることで、CO2排出などの環境負荷も減らすことができます。
では、最後にヨークベニマルに期待することなどをお聞かせください。

橋本 : 私たち生産者は「お客様に選ばれる野菜」をつくらなければいけません。一方、ヨークベニマルのような流通業者さんには、私たちが丹精込めた作物を一人でも多くのお客様に食べていただけるよう、さらに工夫してほしいと思います。

吉田 : ヨークベニマルの担当者さんは、頻繁に生産地まで足を運んでくれますし、栽培方法や商品づくりの相談にものってくれるので、ありがたく思っています。今後は、販売方法についても意見交換をさせてもらえたら嬉しいですね。自分たちがつくった野菜を、お客様にどう売ればいいのか、とても気になりますから。

: そうですね。今後も、お互いに意見・アイデアを出し合いながら、一緒にお客様のご満足を高めていくような関係を築いていきたいですね。

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