新・総合生活産業  変化し続ける社会の中で、進化し続ける「新・総合生活産業」を目指しています。

セブン&アイの挑戦

グループ各社の事業活動を通じて社会的課題の解決に取り組んでいます。

2007年12月

少子高齢社会の進展、地球温暖化、食の安全・安心など、現在、社会が直面している課題の解決に向けて、セブン&アイHLDGS.はグループ各社の事業特性や独自のインフラを活用した取り組みを進めています。各社の方針と具体的な取り組みについて、事業会社の経営トップと社外のステークホルダーや専門家の皆様との対話を通してお伝えします。

セブン-イレブン

「循環型社会」の実現に向けて
リサイクル資料・対比で原材料を生産する。

セブン-イレブンは、おにぎりや弁当・惣菜など食品を扱う小売業として、食品廃棄物のリサイクルの仕組みづくりを推進しています。そこで、「産・学・公・地域」の連携による開かれた研究・教育拠点の形成をめざす「早稲田リサーチパーク」の設立に関わり、環境分野にも造詣の深い早稲田大学教授・河合素直氏をお迎えし、食品廃棄物のリサイクル利用などについて語っていただきました。

環境負荷の低減を進めながら「食品廃棄物のリサイクル」に注力

河合 : 日本にセブン-イレブン1号店が開店して30年以上が経ち、コンビニエンスストアは、今や私たちの暮らしに欠かせない存在と言えますね。この間に、時代は「量の拡大」から「質を問う」時代へと確実に変わりつつあります。こうした中で、環境問題をはじめ、事業規模の拡大と連動して、お客様や地域、そして社会の期待や要請にどう応えるのか、「質」の面での取り組みをお聞かせいただけますか。

山口 : 何よりも重視しているのは「安全・安心」です。特に品質管理については、お客様に安全・安心な、間違いのない商品をお届けするために、原材料の調達から製造、配送、店舗での販売に至るまで徹底しています。また、店舗の環境負荷を低減するために、加盟店オーナーさんにご協力いただき、廃棄物のリサイクル(1)、物流の効率化や設備の省エネ化に取り組んでいます。さらに、年中無休・24時間営業という特色を活かして、各店舗を、事件・事故や急病人に関する緊急通報、少年・少女の非行防止などにも役立てていただく「セーフティステーション活動」も展開しています。

(1)廃棄物を一括回収・処理する「エコ物流」 セブン-イレブンでは、1994年に独自の「エコ物流」システムを構築し、チェーン全体で統一した廃棄物の回収・処理方法を運用しています。このシステムでは、セブン-イレブン本部が指定した各市町村の廃棄物処理業者が、各エリアにある店舗の廃棄物を回収し、一括処理を行います。2007年2月現在、31都道府県で運用しています。(廃棄物処理業者の収集・運搬に関する許可制度のない一部市町村を除く)また、デニーズの一部店舗でも、この「エコ物流」を共同利用しています。

河合 : 店舗を地域社会の一つの「安全・安心の拠点」にしていく、ということですね。

山口 : そうです。近年は食品リサイクル法に関連して、食品廃棄物のリサイクルに力を入れています。これは、セブン-イレブンでは売上げ全体の42%をおにぎり・お弁当・お惣菜・麺類など「デイリー商品」と呼ばれる中食商品*群が占めていて、その製造過程で調理くずなどが、また、店舗では販売期限切れ商品などが発生するからです。

*中食…レストランやファストフード店などにおける「外食」、家庭内での「内食」に対して、持ち帰り型の調理済食品を「中食」と呼ぶ

堆肥・飼料から生産、商品化へ。「リサイクル・ループ」の構築

河合 : 食品廃棄物を有効に活用するには、「仕組みづくり」が最も大切ですが、具体的にどのような仕組みで進められているのですか?

山口 : 製造過程で発生する廃棄物に関しては、2002年に九州で、現地の工場や廃棄物処理会社、養豚農家の方々と「九州食品工場リサイクル事業協同組合」を組織し、食品廃棄物の飼料化を開始しました。市場で売られている飼料よりも安価ですし、工場から出るパン粉や野菜くずは当社の品質基準を満たす安全で高品質なものばかりですから、栄養価の高い良質な飼料として養豚農家の方々からも好評です。

河合 : その飼料で育った豚からも安全で良質な食肉が得られる、ということですね。

山口 : おかげさまで大変味の良い豚が育つと評判です。

河合 : 店舗での販売期限切れ商品のリサイクルの仕組みはいかがですか?

山口 : 2003年3月から、東京23区内の店舗で発生した販売期限切れ商品を当社の「エコ物流」で回収し、(株)アグリガイアシステムの工場(千葉県八街市)で堆肥化しています(2)。また、この5月から同社が千葉県佐倉市に建設した「循環型飼料化センター」で飼料化の実験を行い、本格稼働に向けて準備中です(3)。

(2)廃棄物から「堆肥」へリサイクル セブン-イレブンは、2003年3月から東京23 区内の「エコ物流」システムを利用した販売期限切れ商品の堆肥化を開始しました。この堆肥を利用する農家からは、「良質な作物が育つ」と評判も高く、これに伴って、セブン-イレブンのデイリー商品に使用する原材料(野菜)を栽培している契約農家でも利用が進んでいます。2006年10月から首都圏で販売された「関東産ほうれん草のごま和え」では、この堆肥で育ったほうれん草を原料の一部として使用しています。

(3)「飼料」としての再資源化も本格スタート 堆肥化の成果を受けて、今秋より東京23区の約1000店舗から出される販売期限切れ商品を、養豚・養鶏向けの飼料にリサイクルする「循環型飼料化センター」を本格稼働します。年2回ほどの植え付け時期に需要が集中する堆肥と比べ、飼料は年間を通じて需要があり、循環型システムを安定的に運用できるメリットがあります。もともとトレーサビリティを確保した安全・安心な素材を使い、保存料・合成着色料を完全排除したセブン-イレブンの商品だからこそ、堆肥や飼料としても安全・安心で良質なものができます。今後、この飼料で育てられた豚や鶏は、セブン-イレブンのお弁当や惣菜の原料としての利用を検討しています。 千葉県佐倉市の「循環型飼料化センター」

河合 : 従来は食品廃棄物として処分され、いわば環境負荷になっていたものが、飼料や堆肥として新たな食料生産に役立てられているのですね。

山口 : さらに現在、堆肥や飼料を生産者に供給するだけでなく、それらを使って生産された農畜産物を、当社グループの商品の原材料として再び活用していく「リサイクル・ループ」(4)の仕組みづくりに取り組んでいます。現在、一部の地域で堆肥や飼料を採用していただける生産農家・畜産農家を開拓しながら、そこで生産された農畜産物を使った新商品の企画・開発を進めています。

付加価値を創造する、「前向き」なリサイクルを

河合 : 商品の製造や流通の過程で発生する「食品廃棄物」を、「廃棄物」ではなく、良質な飼料や堆肥をつくるための「付加価値をもった原材料」として有効活用するというわけですね。また、それら安全で安心な農畜産物を使って再び商品をつくる、というのは実に興味深い仕組みです。リサイクルの重要性は誰もがわかっていますが、単に堆肥化するだけでは問題は解決できません。人や組織の信頼関係にもとづく循環の仕組みづくりが必要で、大変難しいのですが、成功すれば大きな付加価値を生み出すことができます。

山口 : はい。受け身ではなく、積極的に新しい付加価値を創造する「前向き」なリサイクルを推進していくことが重要だと考えています。

河合 : 私たち早稲田大学の本庄キャンパス(埼玉県)では、近隣の農家をはじめ多くの方々と議論をしています。話題には、食料自給率が40%を割り、耕作放棄地が増加している現状や、農畜産物の高付加価値化、環境の保全などといった内容が挙がります。これらの課題は仕組みづくりという次元から取り組まなければならないことから、具体的な成果を出すためにはまだ時間がかかります。その点で、お聞きした取り組みは、「農・食・環境」問題への新たな挑戦として、今後の展開に大きな期待がもてる仕組みだと思います。

山口 : 今後も皆様と力を合わせて、持続可能な「循環型社会」の実現に向けて努力を続けていきます。