
2008年5月

消費の飽和が叫ばれる中、今のお客様が求める要素を的確に取り込み、実績につなげている商品・売場・サービスの取り組みを紹介します。
キッチンガーデンやバスガーデンでは品揃えの幅を広げ、選べる楽しさを追求しました。
モノも情報もあふれる現在、お客様は自分の生活スタイルに合わせてモノや情報を取捨選択しています。そのようなお客様のニーズにお応えするために、イトーヨーカドーでは今、新しい売場づくりに取り組んでいます。その一つが「専門店化」。これまで一ヵ所で広く浅く何でも揃えていた商品構成を変え、絞り込んだカテゴリーの中で品揃えの幅や奥行きを広げコーナー化。お客様に「選べる」品揃えと情報性、提案性のある売場づくりを図っています。衣料ではコーディネート・ショップの導入などで先行してきましたが、住居でも「専門店化」が進んでいます。たとえば6店舗で展開している「キッチンガーデン」は、「家族で食を楽しもう」をテーマに据え、食育や安全・安心といった現在の「食」ニーズに応える売場づくりを進めています。その品揃えの柱となる「顔が見える食器。」は、産地と連携して鉛を排除した釉ゆう薬を使った開発商品。QRコードをつけ、携帯電話で生産履歴を確認できる仕組みも取り入れています。
アリオ鳳(大阪府)で登場した「バスガーデン」も家族のコミュニケーションをキーワードとして、バスルームで使う雑貨類の充実を追求。タオル類は種類とカラーバリエーションを豊富に揃え、選ぶ楽しさを提供します。
市原店の「健康・快適あんしんサポートショップ」。壁の絵と解説を見ながら動くと、自然に体力アップできる無料の運動自習室も設置。
また、モノの消費だけではなく、楽しい時間を過ごす、情報を取り入れてモノを上手に使いこなすなど、精神的満足感へのニーズの高まりに応えるために、物販とサービスを融合した売場づくりにも挑戦しています。その一つが、この3月にオープンした市原店(千葉県)の「健康・快適あんしんサポートショップ」。これまでの「あんしんサポートショップ」で展開してきた介護用品やシニアの快適な暮らしを支える商品の販売とともに、栄養相談、地域介護情報の提供、家族とも楽しめる運動施設などの設置によって物販とサービスの両面から高齢者のニーズに応えています。ショップには福祉用具相談員、理学療法士、管理栄養士などの専門家も配置して、気軽に相談していただけるようにしています。この新しい形態の「あんしんサポートショップ」は、今年度中に5〜10店舗を開設していく計画です。
商品開発会議では、地域のお客様に満足いただける味、品質を追求し、何度も試作、試食が繰り返されます。
地域の方が慣れ親しんだ味を、地元の特産品を使い、地元でつくって、地元で食べていただく、「地域商品」がお客様に喜ばれています。セブン‐イレブン商品本部・地区MD統括部の責任者は「原料、調味料など地元の味に徹底してこだわり、お客様に質の高い価値ある商品を提案するため、地域の生産者、メーカーと一体となって地域商品の開発に積極的に取り組んでいます。目標品質を定め、それを実現するための創意工夫を重ねながら、地域のお客様ニーズに応える品揃えを目指しています」と言います。
愛知県豊橋地区では、地元の“あつみ牛”を使った牛めし弁当の開発にチャレンジし、2月に販売しました。あつみ牛のこだわりは、「安全」「安心」「脂ののったおいしさ」。地元農協があつみ牛用に特別に開発した飼料を使って飼育することで、肉本来の旨み、おいしさを備えた良質な肉となりました。
さらに調味料にもこだわりました。「情報を収集し、地域で馴染みのある『五分だまり醤油』を使用することになりました。ごぼう、たまねぎなども加えて、一緒に煮込むことで、ふっくらと仕上げた肉の旨みを引き立てる地元の味が完成しました」と言うのは、静岡・愛知地区担当の開発担当者。地域の味を徹底して追求しています。
セブン‐イレブンでは、お客様のニーズにお応えする商品を開発するために、必要な技術やノウハウを持つメーカーや専門家と一緒にチームを組んで、ものづくりを進めています。2007年からは、そのチームに各地域の店舗を担当するDM(ディストリクトマネジャー)が加わり、商品開発から、発注、販売までが一体となった取り組みにチャレンジしています。
そのチームで毎週一回行われている商品開発会議では、「どうすれば地域のお客様の期待にお応えできるのか。目標の味、品質になっているのか」を、何度も検討を重ね、全員が納得するまで試作、試食が繰り返されます。豊橋地区のDMは「店舗を担当する側が一緒に参加することで、原料から製造までの開発のこだわりを直に感じ、価値を共有することができます。それを店舗に自信を持って伝えていくことで、積極的な発注、売場づくりにつながっています」と言います。
(上)豊橋地区では、担当するOFC全員が参加する勉強会を開催。あつみ牛の生産農家を訪ねて、こだわりの飼育方法を聞きました。
(下)地域で馴染みのある「五分だまり醤油」を製造する小田商店で伝統醸造を確認。牛めしはその「五分だまり醤油」を使った煮汁で、肉をていねいに煮込んでいきます。
さらに今回は、豊橋地区を担当
するOFC(オペレーションフィ
ールドカウンセラー=店舗経営指
導員)全員が参加する勉強会が開
催されました。あつみ牛の生産農
家を訪ねて、生産者やJAの方た
ちからこだわりを聞き出します。
「五分だまり醤油」を製造する小田
商店では、伝統の味を生み出す杉の木桶での伝統醸造を自分の目で
確かめました。さらに、デイリー
メーカーわらべや東海の工場も訪
問。肉をスライスし、調理して弁
当になるまでの過程を見学し、一
つ一つの工程での商品価値向上の
取り組みや、徹底した品質、衛生
管理による安全・安心の推進体制
を確認しました。この見学会で見
て、聞いたことをOFCが実感を
こめて各店舗に伝えていくこと
で、豊橋地区ではどの店舗でも積
極的な発注、売場展開へとつなが
っていきました。
いよいよ2月
19
日。「あつみ牛の
牛めし」がセブン‐イレブンの店
頭に並びました。豊橋地区の店舗
では、通常商品の3倍から5倍に
発注数を増やし、手づくりのPO
Pとボリューム陳列で、お客様に
アピールしました。また、お客様
にこの新商品の味を知っていただ
くための試食販売も積極的に行い
ました。その結果、どの店舗も毎
日、売上第2位の商品と大きな差
をつけ、群を抜く売上げを記録し
ました。また、弁当全体の売上金額
も、販売した2週間は連日前年比
140%から150%と大きく伸
ばすことができました。セブン‐イレブンの豊橋地区のオーナーは
地域商品の取り組みを次のように
語っています。
「オリンピックと同じように、
地元の商品なら仲間意識を強く持
つことができ、地元の人たちも応
援してくれます。従業員さんも積
極的に売っていこうと発注や売場
づくりに意欲的に取り組んでくれ
ます」
セブン‐イレブンでは、こうし
た地域商品の開発を積極的に進め
るとともに、昨年からは和歌山県、
長野県、栃木県、奈良県、茨城県
などの各自治体と「地域活性化包
括連携協定」を締結。今年度中に
は
20
を超える自治体との締結を目
指し、地域一体となった取組みを
進めています。