新・総合生活産業  変化し続ける社会の中で、進化し続ける「新・総合生活産業」を目指しています。

セブン&アイの挑戦

グループ各社がお客様の信頼に応える事業活動を追求しています

2008年2月

大きな社会問題となっている食の安全・安心や、健康的な生活の維持・促進、また、多くのお客様が利用する「公共の場」としての店舗づくりなど、セブン&アイHLDGS. のCSR の取り組みについて、前回にひきつづき、各事業会社の経営トップと社外の専門家・研究者との対話を通してお伝えします。

セブン&アイ・フードシステムズ

外食事業の「安全・安心」
人々の健康的な食生活を支え、増進する外食事業を目指して

「食肉偽装」や「原材料の不正表示」が大きな社会問題となっている昨今、外食産業にも徹底した「食の安全・安心」への取り組みが求められています。そこで、食品研究の分野で長年活躍してこられた農学博士の久塚智明氏をお招きし、塙社長と「食の安全・安心」や外食産業の社会的責任について語っていただきました。

お客様に「安全・安心」な商品を提供するという「基本」を重視して

久塚 : このところ食品関連の企業不祥事が相次いでいて、人々は「食の安全・安心」に対して厳しい目を向けるようになってきています。塙社長はグループの外食事業を率いる立場から、このことをどう考えていらっしゃい ますか?

: 食品を扱う企業は、商品の安全性を保証し、お客さまに安心して召し上がっていただかなければなりません。それは、「食」に関わる企業として最低限かつ最重要の社会的責任です。この責任を果たすためには、原材料の生産から物流、加工、調理、販売までの一貫したトレーサビリティ(生産流通履歴)の確立をはじめ、日頃の品質管理や鮮度管理への地道な努力の積み重ねが何よりも大切だと考えています(1)。

(1)トレーサビリティを確保し、安全な食材を調達する セブン&アイ・フードシステムズは、「生産者の顔が見える食材」にこだわり、生産方法、流通経路を正確に把握・管理するトレーサビリティシステムを構築しています。たとえば、デニーズで購入している野菜・果物は、すべて化学肥料や農薬の使用状況を記録した「肥培管理表」で安全性を確認しており、デニーズ独自の品質基準に合致しないものや肥培履歴がないものは使用しません。さらに「年間産地リレー表」をもとに全国に複数ある産地から計画的に仕入れ、最適温度帯での輸送を徹底することで、質・量ともに安定した鮮度のよい食材を店舗に届けています。また、ポッポでは野菜の産地や農家との契約を季節ごとに取り交わし、つねに「生産者が見える」状態を維持しています。

久塚 :「食の安全・安心」に王道はない、ということですね

: ええ。私は、昨年5月まで、10年あまり中国でイトーヨーカドーの店舗づくりに携わってきました。最近、世界各国で中国産食品への警戒心が高まっていますが、中国にも「安全・安心」な食材を出荷している良心的な生産者は大勢いらっしゃいます。イトーヨーカドーが真剣に「安全・安心」を追求していることをお客様にご理解いただくために、徐々にですが、専用農場・指定農場と契約し、有機農法で生産した青果物を提供したり、その他の食材・食品についてもトレーサビリティシステムを整備したりと、地道な取り組みを進めてきました。その結果、中国各地のお客様から厚い信頼を得て、順調に売上げを伸ばすことができました。

食材調達から調理、接客、サービスまでトータルな活動で「安心の一皿」を提供

: セブン&アイ・フードシステムズでは、食材をそのまま提供するのではなく、加工、調理してお客様に味わっていただいています。したがって私どもの商品は食材の原型をとどめておらず、お客様には「どんなものを 使って、どういうふうに調理したのか」がわかりにくいのです。だからこそ、一品一品をお客様に安心して、信用して召し上がっていただけるよう、徹底的に安全性を追求する必要があります。

久塚 : それがトレーサビリティの確立や品質管理・鮮度管理への努力につながっているのですね。

: はい。例えば、原材料の調達にあたっては、契約農家での栽培状況を定期的に視察して、残留農薬などの安全性・合法性をチェックしていますし、食品加工工場の視察にも行っています。また店内では、ISO9001規格に基づいて衛生状態を管理し、それを記録にとどめ、従業員への衛生管理教育にも力を注いでいます。

久塚 : そうした、お客様から見えない部分で科学的なエビデンス(根拠)を積み重ねているからこそ、自信をもってお客様に笑顔で接することができるのですね。

: おっしゃる通りです。サプライチェーンを適切にマネジメントすることで確保した「安全」をお客様の「安心」に繋げていく。その一環として、一人ひとりのお客様に応じた高いホスピタリティを発揮することが大切です。食材の調達から物流、調理、接客、そしてお客様満足度を高めるサービスも含めたトータルな活動の質を高めていく──いわば「安全・安心のバリューチェーン」を構築していくことが私たちの使命だと考えています。

久塚 : 仕組みづくりだけでなく、接客を含めたトータルな活動で「安心の一皿」を提供するという姿勢は大いに共感できます。

人々の健康に積極的に貢献するという外食産業の新たな役割

久塚 : ところで、最近、ファミリーレストランで食事をして実感したのが、サラダの価値です。数十種類の野菜を家庭で毎日食べることは難しいのですが、レストランでは簡単に食べられます。外食産業はこれまで「豊富なメニュー」「手軽さ」「快適な時間や空間」を提供するという役割を担ってきましたが、一方で、冷凍食品が多いなど健康面でのイメージはあまり良くなかったように思います。ところが、40種類もの新鮮な野菜をいろいろな料理で使っており、サラダ一つをとってみても、外食産業の社会的役割が「健康の維持向上」という方向にシフトしていっているような気がしたのです。

サラダ画像 2007年4月からは、気軽に野菜メニューを追加しやすいハーフサイズ(写真左)の提供や、野菜が苦手なお子様でも食べやすいように工夫した「キャロットラペ」(右)などを販売して好評です。

: 大変嬉しいご指摘です。実際、デニーズで冷凍野菜を使っているのはフレンチポテト1品だけで、他はすべて栄養価の高い生鮮品を調理することにこだわっています。

久塚 : 手軽に食べることができて、言い換えれば、外食だからこそ健康に良い、という新たな価値観を提示しているということですね。

: 外食だから健康に良い、とまで自分たちが言うのは難しいのですが、そうしたご評価をいただけるよう努力していきます(2)。そして、「食の安全・安心」だけでなく「生活習慣病の予防」や「食育」など、さまざまな社会的課題に目を向けながら、これからの外食産業が担うべき役割を考えていきたいですね。

(2)健康に配慮したメニューやサービスの開発 デニーズでは、新メニューの開発に際して外部の検査機関と連携し、栄養計算・分析を行い、栄養バランスのよい料理の提供に努めています。新鮮な野菜を数多く使ったサラダや温製、スープなど、不足しがちな野菜をおいしく召し上がっていただけるメニューをご用意しています。 また、コントラクトフード事業では、運営受託している社員食堂などのお客様に、栄養相談指導システムを用いた「運動指導」「栄養指導」「献立処方」などを実施。生活習慣病などの予防に役立てていただいています。ご希望の方には栄養士がアドバイスもしています。

栄養やカロリーが気になったらぜひメニューブックをご確認ください デニーズでは、「品目ごとのカロリーや栄養成分を知りたい」というお客様の声に対応し、業界に先がけて1988年3月からすべてのメニューについてメニューブックにエネルギー(カロリー)表示を開始。その後も1996年には食塩相当量(塩分)を、2004年からは脂質や食物繊維の表示をスタートし、掲載情報の充実に努めています。最近では、お客様に料理の内容が伝わりやすいように、素材や調理方法などを織り込んだメニューのネーミングにも力を入れています。